吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

耐える風琴屋

2007年07月26日 | 自分のこと
待つしかないというのは辛いものです。

いきなり何かというと、アメリカから取寄せる素材の発送が遅れているのです。
今回の修復プロジェクトの要なので、これが着かないことにはどうにもならないのです。
お客の都合で、こちらの予定していた時間の半分で仕上げることになってしまったのです。
もちろん、勝算があるので受けたわけですが。

最初から懸念していたことではあるのですが、やはり外国からの素材の調達の時間がネックになりました。
普段の仕事でも使うものであれば、あらかじめストックしておくこともあるのですが、今回のそれはちょっと他には使わないものなのです。

ずれるスケジュールを補正しつつ、作業工程を変更しつつ、作業を進められないストレスに耐えなければなりません。
睡眠のリズムが乱れ、体調が落ちますが、なんとか踏みとどまらねばなりません。
気力勝負です。

ま、仕方ないものは仕方ないですからね。肚を据えてかかるとしましょう。

運命などというと陳腐ですが、僕らは常に不確定要素の中に居るのですね。
人間はその不確定性の不安に立ち向かって、社会やそのシステムを高度に発達させて、先の見える環境を創って来たのですが、それでもやはり、不確定性から自由になったわけではありません。
予測可能な日々に慣れてしまった僕らは、不確定性の闇におびえるのですが、なあに、安全で確実なんてことの方が幻想なのです。

この不安で脆弱な世界を感じる時、なんだか人間ってものが可愛く思えます。
仲間と火と犬を得て初めて人類は安眠出来たそうですが、そのころの人達もさぞ不安だったんだろうね。

さて、よく考えて今出来ることをしなくちゃ。

寝よっ、明日は東京だ。あれ、もう今日だ。

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