→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
●透次第1句集「眼光」
句集名は「眼光ひとつ六月の鍵穴に」より。電網空間に浮遊するがごとき軽快な第1句集。他の代表句に「1ギガの鳥獣戯画を曝しけり」、「ソノシート透かしてアノヨめく景色」など。帯文:帰ってきた透次。架空出帆社(2011.7.2感光)
○透次第1句集「眼光」50句
001箱庭へ風の粒子の粗く吹く(箱庭・夏)2010/7/19
002『カタカゲデマツ』黄泉からの電報に(片陰・夏)2010/7/19
0031ギガの鳥獣戯画を曝しけり(曝書・夏)2010/7/20
004八時十五分に既に焦げている(無季)2010/8/5
005十一時二分佇つひと座るひと(無季)2010/8/6
006匙が曲がるとすれば無月の真下(無月・秋)2010/8/31
007爆音下舗道をすべる犬の爪(無季)2010/9/12
008星月夜都市より帰る小都市へ(星月夜・秋)2010/9/17
009方位とは稲穂の垂るる向きのこと(稲穂・秋)2010/9/22
010きちきちや機械の国の虫として(きちきち・秋)2010/9/24
011どの虫がどの金管を持ち来たる(虫・秋)2010/10/1
012高階へ踊場毎の月を視て(月・秋)2010/10/9
013秋風や瞼を持たぬ信号機(秋風)2010/10/16
014木犀の風日蓮の辻々に(木犀・秋)2010/10/23
015此岸よりはずれて稲架の列に入る(稲架・秋)2010/10/30
016累累と熟柿を残し小家族(熟柿・秋)2010/11/6
017ソノシート透かしてアノヨめく景色(無季)2010/11/15
018鍵穴より前方後円墳の風(無季)2010/11/20
019獣の如く冬服の端を咬む(冬服)2010/11/27
020寒鴉黒の衣を着て来たり(寒烏・冬)2010/12/4
021黒髪が繁茂するコートの女(コート・冬)2010/12/11
022鍵屋出て鍵二つある懐手(懐手・冬) 2010/12/18
023庇老ゆ日蔭の雪の溶けぬまま(雪・冬)2010/12/25
024賀状繰りながら四階まで昇る(賀状・新年)2011/1/1
025農学校ノ下ノ畑モ時雨ルルカ(時雨・冬)2011/1/8
026厚き書の真中冷えて出羽山地(冷え・冬)2011/1/15
027漆黒の受話器に雪の重さあり(雪・冬)2011/1/22
028ポスト雪の足跡蛇行して(雪・冬)2011/1/29
029冬の列原爆ドームの横を行く(冬)2011/2/5
030別れきて掌は断面となり痛む(無季)2011/2/12
031白息をことさら白く吐くゴジラ(白息・冬)2011/2/19
032頼朝の鳥居をくぐる二月かな(二月・冬) 2011/2/26
033春埃舞ふ映写光動くたび(春埃)2011/3/5
034耳朶近くさらさら鳴らす種袋(種袋・春)2011/3/26
035春の雲この寅映画見覚えあり(春の雲)2011/4/2
036春時雨関東ローム層の上(春時雨)2011/4/9
037・2011/4/13
038風ぬくく生死に浸かるごとくなり(温し・春)2011/4/15
039口紅は弾丸に似て花曇(花曇・春)2011/4/16
040携帯が鳴る黒鞄三鬼の忌(三鬼忌・春)2011/4/23
041爆音のしたで埴輪となつてゐる(無季)2011/4/30
042行く春や表紙の固き出席簿(行く春)2011/5/7
043ゴシックの『五月』に色を着けて寝る(五月・夏)2011/5/14
044鯉はづされて矢車のひた回る(矢車・夏)2011/5/21
045汁椀にひらかぬ蜆沖の雨(蜆・夏)2011/5/28
046トンネルの入口万緑の出口(万緑・夏)2011/6/4
047牛乳を立ち飲みしたる薄暑かな(薄暑・夏)2011/6/11
048眼光ひとつ六月の鍵穴に(六月・夏)2011/6/18
049蒼々と水衰へて河鹿鳴く(河鹿・夏)2011/6/25
050夏の宵カレーの皿を鳴らし食ふ(夏の宵)2011/7/2
○透次第1句集「眼光」50句
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
●透次第2句集「潟風」
第1句集「眼光」につづく「潟風」。まるで虚空を漂うかのごとき軽妙な第2句集。句集名は「団扇より蘇り来る潟の風」より。他の代表句として「黄水仙緑の風を呼びにけり」、「百日紅街道北へ帰るらむ」他。帯文:もうひとりの透次。仮想出帆社(2012.7.21感光)
○透次第2句集「潟風」50句
051笹舟のほぐれて疾し夏の川(夏の川)2011/7/9
052水馬一航跡も残さずに(水馬・夏)2011/7/16
053故郷に遠く花火の音近く(花火・夏)2011/7/23
054波乗の彼女や彼に波波波(波乗・夏)2011/7/30
055原爆の日に当直をしてゐたり(原爆の日・秋)2011/8/6
056水道の出だしを捨てる終戦忌(終戦忌・秋)2011/8/13
057歩道橋の天辺あたり月恋し(月・秋)2011/08/20
058秋風をパントマイマー掌で押して(秋風)2011/8/27
059秋暑き佛が仏迎へる日(秋暑し)2011/10/2
060葬列を生者が組みて欄干まで(無季)2011/10/2
061黄水仙緑の風を呼びにけり(黄水仙・春)2011/10/2
062春嵐遺影遺骨に後れとる(春嵐)2011/10/2
063主の亡き夏の背広の濃紺に(夏)2011/10/2
064潟の雨昇華の床に垂直に(無季)2011/10/2
065団扇より蘇り来る潟の風(団扇・夏)2011/10/2
066木犀の風の塊縫ふごとく(木犀・秋)2011/10/2
067枝に帰る花ことごとく秋の花(秋の花)2011/10/2
068百日紅街道北へ帰るらむ(百日紅・夏)2011/10/2
069便りせよ木犀週間過ぎ去るぞ(木犀・秋)2011/10/8
070分解して組み立てられず秋の風(秋の風)2011/10/13
071あきかぜのすくらんブルーこうさてん(秋風)2011/10/15
072雁や河口は河の終わるところ(雁・秋)2011/10/22
073・2011/10/29
074飛行機雲ほぐれて秋の雲となる(秋の雲)2011/11/5
075冬耕の農夫の貌はキリスト似(冬耕)2011/11/12
076ゴム長の片方転び雪催(雪催・冬)2011/11/19
077焚火跡四囲の土より冷ゆるかな(焚火・冬)2011/11/26
078白き犬失ひし夜の虎落笛(虎落笛・冬)2011/12/3
079虹色の路上の油雪降りだす(雪・冬)2011/12/10
080遺跡より冬満月の揚がりけり(冬満月)2011/12/17
081山眠る草食竜の背のごとく(山眠る・冬)2011/12/24
082凩や仏吐き出す空也像(凩・冬)2011/12/31
083くろぐろと空濡れてゐる時雨かな(時雨・冬)2012/1/7
084少年の己からくる雪礫(雪礫・冬)2012/1/14
085一月の卓逆立ちのマヨネーズ(一月・冬)2012/1/21
086春寒の地べたに冷ゆるえきすとら(春寒)2012/4/14
087あんいんすとーるできれば春の出来事も(春)2012/4/21
088射的屋で踵を浮かす春の雪(春の雪)2012/4/28
089春の窓極彩色のもの垂らす(春)2012/5/5
090鯉幟はためくほどに寡黙なり(鯉幟・夏)2012/5/12
091飛行機の影よぎりゆく麦の秋(麦の秋・夏)2012/5/19
092麦秋をたてがみ持たず抜けて行く(麦秋・夏)2012/5/26
093夏兆す象の口中桃色に(夏)2012/6/2
094藻臭帯び河より還る夕まぐれ(無季)2012/6/9
095雨の中車が撥ねる水溜り(無季)2012/6/16
096地下鉄が地上を走る蝉丸忌(蝉丸忌・夏)2012/6/23
097夏草にたゆたふ陸の破船かな(夏草)2012/6/30
098梅雨寒に深海嗅くなる友ら(梅雨寒・夏)2012/7/7
099図書館の弱冷房の会話かな(冷房・夏)2012/7/14
100浜草履海知らぬまま古りにけり(花草履・夏)2012/7/21
○透次第2句集「潟風」50句
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
●透次第3句集「起伏」
透次第3句集「起伏」。句集名は「掌で顔の起伏を撫でる冬の果」より。その他の代表句は「夥しきOの唇爆音下」、「忌野忌RADIOバラード遠くより」、「号令は短き言葉晩夏光」など。透次が送り出す、まるで電子の塵のように軽妙な50句。帯文:遅れてきた透次。幻想出帆社(2013.7.20感光)
○透次第3句集「起伏」50句
101乱歩忌の鉄路の上を来る常夜(乱歩忌・夏)2012/7/28
102遠泳の抜き手の上の乱層雲(遠泳・夏)2012/8/4
103長崎忌雨中にて喉渇きけり(長崎忌・秋)2012/8/11
104号令は短き言葉晩夏光(晩夏光)2012/8/18
105夥しきOの唇爆音下(無季)2012/8/25
106一箇ずつ椅子を抱えて震災忌(震災忌・秋)2012/9/1
107餡麺麭に餡が片寄る九月かな(九月・秋)2012/9/8
108教室の誰話すともなき秋意(秋意)2012/9/15
109高階のプランターにもある花野(花野・秋)2012/9/22
110台風圏発光しあう家族かな(台風圏・秋)2012/9/29
111どの窓より鼻を出しても木犀香(木犀・秋)2012/10/6
112東北の新米くだる関東へ(新米・秋)2012/10/13
113おのづから稲穂の生みし稲穂風(稲穂・秋)2012/10/20
114十月の喇叭に映る歪み顔(十月・秋)2012/10/27
115末枯るる買物籠の真下より(末枯れ・秋)2012/11/3
116月欠けて厚木の次は本厚木(月・秋)2012/11/10
117ハートブレークウインドブレーカー着て(冬)2012/11/17
118吹雪く夜の電子時計の刻なめらか(吹雪・冬)2012/11/24
119霜夜より顎尖らせて戻りけり(霜夜・冬)2012/12/1
120古びゆくもの手袋と掌と(手袋・冬)2012/12/8
121食肉目イヌ科を放つ枯野原(枯野・冬)2012/12/15
122馬蹄型で歌ふ聖夜の黒人霊歌(聖夜・冬)2012/12/22
123歳晩の家屋が宿す真暗がり(歳晩・冬)2012/12/29
124かまくらの中雪の香のざんざ降り(かまむら・新年)2013/1/5
125爆音へマスクの男降りゆけり(マスク・冬)2013/1/12
126人に蹤き人に蹤かれて鬼房忌(鬼房忌・冬)2013/1/19
127人に憑き人に憑かれて法然忌(法然忌・冬)2013/1/26
128エスカレーター冬の階段生み続け(冬)2013/2/2
129ビクターの犬首傾げ春の雪(春の雪)2013/2/9
130雪解けて百葉箱の白さかな(雪解け・春)2013/2/16
131うすあかりあるや二月のポケットに(二月・冬)2013/2/23
132掌で顔の起伏を撫でる冬の果(冬の果)2013/3/2
133たしかなる根雪の底の伏流水(根雪・冬)2013/3/9
134栄螺焼陸繋島の奥深し(栄螺・春)2013/3/16
135朧夜のズックの底に迷路あり(朧夜・春)2013/3/23
136携帯の声突然に朧より(朧・春)2013/3/30
137提灯を灯してよりの夕桜(夕桜・春)2013/4/6
138大学の名のつく駅や花の雨(花の雨・春)2013/4/8
139花時に遅れて届く宅配便(花・春)2013/4/20
140黄水仙風がいよいよ生きてきて(黄水仙・春)2013/4/25
141忌野忌RADIOバラード遠くより(忌野忌・夏)2013/5/2
142傘雨忌やわがよたれそつねに呑む(傘雨忌・夏)2013/5/6
143桜桃届く地方紙に包まれて(桜桃・夏)2013/5/18
144三鷹市の上連雀の夕焼雀(夕焼・夏)2013/5/25
145扇風機の反復一日昏れにけり(扇風機・夏)2013/6/22
146マンションの最上階の油虫(油虫・夏)2013/6/28
147そのなかに無鉄砲な百合もゐる(鉄砲百合・夏)2013/7/06
148額の花来てより帰ることばかり(額の花・夏)2013/7/13
149祖母が来て陽のあるうちに蚊帳を吊る(蚊帳・夏)2013/7/20
150麦藁のぼんやりとした不安顔(麦藁・夏)2013/7/25
(透次第3句集「起伏」50句)
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
●透次第4句集「雷光」
透次第4句集「雷光」。句集名は「真夜中の雷光静か黄水仙」より。その他の代表句は「忘れぬために名簿を曝書せよ」「まつはりてまつはり解きて蝶空へ」「帰れない二人が灯る忌野忌」など。被爆国日本からネットへ打電する50句。帯文:あいつもこいつも透次。幻影出帆社(2014.8.09感光)
○透次第4句集「雷光」50句
151きな臭き背広を背負ふ西日中(西日・夏)2013/8/3
152忘れぬために名簿を曝書せよ(曝書・夏)2013/8/9
153走馬燈のなかを百年走者の儘(走馬燈・秋)2013/8/15
154群衆に胡桃をかくし持つてをり(胡桃・秋)2013/9/21
155虫の中でトンボが一番飛行機似(トンボ・秋)2013/9/28
156唐黍の群れて人類より高し(唐黍・秋)2013/10/5
157黙読の言葉も訛る星月夜(星月夜・秋)2013/10/12
158色のなき風といへども淡き色(色なき風・秋)2013/10/19
159白くなる便器のうえの秋思かな(秋思)2013/10/26
160台風圏発光しあう家族かな(台風・秋)2013/11/2
161鶏頭にとり囲まれて熟睡す(鶏頭・秋)2013/11/9
162冬装備してゐる夢の薔薇かな(冬装備)2013/11/16
163シャーペンの芯装着す冬日中(冬日中)2013/11/23
164冬ざれや海老名太古は海といふ(冬ざれ)2013/11/30
165モネの真似マネの真似してモネ忌かな(モネ忌・冬)2013/12/5
166ポイントを貯め込んでゐるマスクかな(マスク・冬)2013/12/14
167そのなかにサンタクロース装束も(サンタ・冬)2013/12/21
168短日の上野で過ごす短時間(短日・冬)2013/12/23
169こちらの世よりあけましておめでとう(短日・冬)2014/01/4
170丑三におでん屋台が離陸する(おでん・冬)2014/1/11
171・2014/1/13
172レジ袋不要の親爺着膨れて(着膨れ・冬)2014/1/25
173春時雨テレビにでないひとたちへ(春時雨)2014/2/1
174針供養ほつたらかしのレコード針(針供養・春)2014/2/8
175雲籠る陽や聖バレンタインデー(バレンタインデー・春)2/14
176少しづつ風生きてきて風生忌(風生忌・春)2014/2/22
177夕風や汚れて残る春の雪(春の雪)2014/3/1
178鈍色に光る横顔ハチ公忌(ハチ公忌・春)2014/3/8
179コンビニのしらじら灯る涅槃の夜(涅槃会・春)2014/3/15
180まつはりてまつはり解きて蝶空へ(蝶・春)2014/3/22
181横顔の小泉八雲鳥雲に(鳥雲に入る・春)2014/3/29
182花影より重く漕ぎでる三輪車(花影・春)2014/4/5
183花蔭に屋台の休む真昼かな(花蔭・春)2014/4/12
184ガチャガチャでコトンと落とす春の色(春)2014/4/19
185真夜中の雷光静か黄水仙(黄水仙・春)2014/4/25
186帰れない二人が灯る忌野忌(忌野忌・春)2014/5/2
187聖五月水に両掌を溺れさす(聖五月・夏)2014/5/10
188罪状は聲の捨てすぎ青嵐(青嵐・夏)2014/5/18
189投函後手首確認青葉風(青葉風・夏)2014/5/24
190時空を迷ふ迷彩色のプラモデル(無季)2014/5/31
191苺匙で潰しミルクに色をやる(青嵐・夏)2014/6/7
192夕焼や電話BOX遺跡めく(夕焼・夏)2014/6/14
193マンションの一階の夏暖簾かな(夏暖簾)2014/6/21
194江ノ島は鯨のかたち明易し(明易し・夏)2014/6/28
195踏切のカンカン照りに立止まる(無季)2014/7/5
196雨傘を日傘に差して化粧坂(日傘・夏)2014/7/12
197勲章の如くに胸の兜虫(兜虫・夏)2014/7/19
198麦藁帽ほつれしところ掌に熱く(麦藁帽・夏)2014/7/26
199一輪車壁に逆立つ阿久悠忌(阿久悠忌・夏)2014/8/1
200風死すや凡そ原子炉に似つかはしくない建屋といふ言葉(風死す・夏)2014/8/9
(透次第4句集「雷光」50句)
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
○待ちに待った(人はいるかいないか)透次第5句集「残光」。句集名は「稲妻の残光遥か汀女の忌」より。その他、「百日紅街道北へ帰るらむ」「仏壇に紫檀黒檀春の雷」「麗かや猫が飛び乗るボンネット」「短日のぎいと鳴り止むオルゴール」など統一性を越えた自信作が満載。俳人一の寡作作家ではあるが、透次渾身の50句が再び電網宇宙に垂れ流された。 帯文:当時の透次 空想出帆社(2015.7.25感光)
○透次第5句集「残光」50句
201晩夏光眸の潤む馬ばかり(晩夏光)2014/8/11
202海鳥の陸深くゐる一遍忌(一遍忌・秋)2014/8/23
203百日紅街道北へ帰るらむ(百日紅・夏)2014/8/29
204爆音は機影におくれ秋暑し(秋暑し)2014/9/6
205鳥威極彩色の昏さかな(鳥威・秋)2014/9/13
206稲妻の残光遥か汀女の忌(稲妻・秋)2014/9/20
207颱風圏盥の底の多重円(颱風圏・秋)2014/9/27
208蛇笏忌や伏せて置かるゝ水杓子(蛇笏忌・秋)2014/10/3
209フェンス越すBlues柳ジョージの忌(柳ジョージ忌・秋)2014/10/10
210麗かや猫が飛び乗るボンネット(麗か・春)2014/10/18
211長き夜の夢で斬られてやはり流血(長き夜・秋)2014/10/25
212秋黴雨みなとみらいといふ駅まで(秋黴雨)2014/11/1
213なんじやこりやと腹をおさへる優作忌(優作忌・秋)2014/11/6
214短日のぎいと鳴り止むオルゴール(短日・冬)2014/11/10
215鈴扉押しサテンへ入るロダンの忌(ロダン忌・冬)2014/11/17
216金屑を路上に踏むや神無月(神無月・冬)2014/11/29
217光る家光らぬ家も十二月(十二月・冬)2014/12/6
218眼鏡屋の人みな眼鏡レノンの忌(レノン忌・冬)2014/12/8
219おでん鍋もう討入に加はれず(おでん鍋・冬)2014/12/14
220X-mas無音のTV点けておく(X-mas・冬)2014/12/24
221また起きて元日の昼飯を喰ふ(元日・新年)2015/1/1
222初夢や富士山麓に鸚鵡鳴く(初夢・新年)2015/1/4
223地吹雪に人無きリフト戻りけり(地吹雪・冬)2015/1/14
224赤煉瓦さすつてみれば冬煉瓦(冬)2015/1/24
225待春の飛行機雲を手繰り寄す(待春・冬)2015/1/30
226春立つや歩道を渉るビートルズ(立春)2015/2/4
227出鱈目に割れる板チョコ春浅し(春浅し)2015/2/14
228虹色の路面の油睦月(睦月・春)2015/2/21
229保護色で二月の列に並びをり(二月・春)2015/2/28
230河辺郡雄和村字椿川(椿・春)2015/3/6
231如月のカーブミラーに籠る貌(如月・春)2015/3/14
232箸立に箸ぎつしりと涅槃の日(涅槃の日・春)2015/3/15
233雨傘の取手の?弥生尽(弥生尽・春)2015/3/28
234関節の一本鳴らず万愚節(万愚節・春)2015/4/1
235地下を出て書肆まで春の傘さして(春の傘)2015/4/11
236桜騒鉄路一本踏み損なふ(桜騒・春)2015/4/18
237仏壇に紫檀黒檀春の雷(春の雷)2015/4/25
238上顎に最中の皮が付く遅日(遅日・春)2015/5/2
239深緑色の黒板夏立ちぬ(立夏)2015/5/9
240急坂に無数の◎や卯月風(卯月風・夏)2015/5/16
241突き出した唇が迎へに行く冷酒(冷酒・夏)2015/5/23
242鉛筆の尻の歯型や五月尽(五月尽・夏)2015/5/30
243六月や舌にぴりりと煙草の葉(六月・夏)2015/6/6
244階段に滝なす雨や長明忌(長明忌・夏)2015/6/10
245轟轟と暗渠の奔る皐月かな(皐月・夏)2015/6/20
246夕凪や魚拓魚鱗を忘られず(夕凪・夏)2015/6/27
247七月になつても富士の見えぬ部屋(七月・夏)2015/7/4
248髪切虫きつと醫院の壁にゐる(髪切虫・夏)2015/7/11
249青水無月舗道をすべる犬の爪(青水無月・夏)2015/7/18
250螺旋より螺旋を剥がし蚊遣香(蚊遣香・夏)2015/7/25
(透次第5句集「残光」50句)