俳句の箱庭 top

お気入俳人の俳句鑑賞します。
多側面から俳句を分類します。
俳句付きイラストを描きます。

俳句の箱庭

「箱庭へ風の粒子の粗く吹く」(透次) ◯浮かんだときが作るとき。作ることに無理はしないように。 ◯各俳人の情報は書籍・ネット他で一般に公開されたものから得ています。各俳人の情報は最新でない場合があります。各俳人の敬称略させていただきます。Tweet句については作者の承諾を得ていませんが、営利目的の要素はありませんのでご了承ください。 ◯「俳句の箱庭」ヽ(^ι_^)ゞノ♪透次

透次第6句集「剥離」50句

2010-07-11 00:00:14 | 透次句集

第1句集「眼光」50句  →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句   →第7句集「接岸」50句   →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句

〇そろそろ記憶の欠片もうすく剥がれてくる世代。透次第6句集「剥離」。句集名は「路面より剥離の止まぬ師走風」より。その他、「石蕗に映る青空まで歩く」「ぼんぼやーじゅ横浜に霾る日」など。電網俳壇へさらなる透次50句が発信された。帯文:統治下の透次。泡沫出帆社(2016.7.9感光)

 

○透次第6句集「剥離」50句

 

251膝下を寒流よぎる立ち泳ぎ(泳ぐ・夏)2015/8/1

252立秋をはさむふたつの殺戮忌(立秋・秋)2015/8/8

253敗戦忌日向と日陰押し合ひて(敗戦忌・秋)2015/8/15

254県道に雨の轢かれて文の月(文の月・秋)2015/8/22

2552015/8/29

256教室の誰話すともなき秋意(秋意)2015/9/5

257ひらひらり葉月の葉(葉月・秋)2015/9/12

258午後となる稲田一枚昃れば(稲田・秋)2015/9/19

259スリッパで歩く学校颱風裡(颱風裡・秋)2015/9/26

260首都圏の圏外にゐて雨の月(雨の月・秋)2015/10/3

261木犀落花白壁へ吹き寄せる(木犀・秋)2015/10/10

262長月ノ雨ノ痕跡発光ス(長月・秋)2015/10/17

263左眼の遮眼子秋の冷へ帯びて(秋)2015/10/24

264石鹸の銘消えかかる十三夜(十三夜・秋)2015/10/31

265秋風や豆腐喇叭の二音階(秋風)2015/11/7

266冬耕の足跡舗道へと消ゆる(冬耕)2015/11/14

267電網にひとしきり居てゐなくなる(無季)2015/11/21

268てのひらがあつまつてくる夕焚火(夕焚火・冬)2015/11/28

269杭打たれたる野面より枯兆す(枯れ・冬)2015/12/5

270石蕗に映る青空まで歩く(石蕗・冬)2015/12/12

271ながながとある霜月の路面文字(霜月・冬)2015/12/19

272路面より剥離の止まぬ師走風(師走風・冬)2015/12/26

273地球独楽宇宙の色で廻るなり(独楽・新年)2016/1/2

274年男誕生石はサファイアで(年男・新年)2016/1/9

275螢光の髑髏を握る懐手(懐手・冬)2016/1/16

2762016/1/23

277天敵はあたたかな雨雪女郎(雪女郎・冬)2016/1/30

278理科室に棲みつく白衣春隣(春隣・冬)2016/2/6

279眸のなかに種火を熾すルオーの忌(ルオー忌・春)2016/2/13

280海市まで帰してあげるこの人形(海市・)2016/2/20

281月光仮面の日光写真焼く(日光写真・)2016/2/24

282啓蟄の土もて埋める土の穴(啓蟄・)2016/3/5

283青き踏む信号機より抜けだして(青き踏む・)2016/3/12

284彼岸西風学校の額ガタガタす(彼岸西風・)2016/3/19

285ぼんぼやーじゆ横浜に霾る日(霾る・)2016/3/26

286花曇鉛筆文字の鉛色(花曇・)2016/4/2

287室内の眼差となる花見茣蓙(花見茣蓙・)2016/4/9

288王冠の裏ぎつしりと春の土の土)2016/4/16

289段々に鉄棒高くなるさくら(さくら・)2016/4/23

290人の入口より入る春のZOO)2016/4/30

291セビリアの利発な女青嵐(青嵐・)2016/5/7

292薔薇五月外交官の居ない家(薔薇五月・夏)2016/5/14

293約束の鳥が露台に来る時刻(露台・夏)2016/5/21

294薪風呂のキンと鼻うつ遠花火(遠花火・夏)2016/5/28

295夏虫がこつこつ当るキハ18(夏虫)2016/6/4

296ビニル傘サドルに挿して梅雨に入る(梅雨入り・夏)2016/6/10

297麦の穂のやや傾きて極まりぬ(麦の穂・夏)2016/6/18

298校庭に雨脚刺さる五月雨忌(五月雨忌=村下孝蔵忌日1999・夏)2016/6/24

299ネクタイに首を差し出す半夏かな(半夏生・夏)2016/7/2

300納豆をぐるぐる混ぜてプールの日(プール・夏)2016/7/9

(透次第6句集「剥離」50句)

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透次第7句集「接岸」50句

2010-07-11 00:00:13 | 透次句集

第1句集「眼光」50句  →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句   →第7句集「接岸」50句   →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句

〇そろそろ流れ着いた岸から上陸したい。透次第7句集「接岸」。句集名は「接岸し巨船は春と地続きに」より。その他、「花の雨ラジオを細く点けておく」「涅槃雪夕刊薄く届きけり」など。回収不能の幻視界へさらなる透次50句が発信された。帯文:杜氏になりたかった透次。幻視出帆社(20170624感光)。

 

透次第7句集「接岸」50句

 

301白シャツの胸に「Peace」といふ煙草(白シャツ・夏)2016/7/16

302空は空つぽ空罐も空蟬も(空蟬・夏)2016/7/23

303風孕む白シャツ海へ行きたがる(白シャツ・夏)2016/7/30

304影ひとつ増やして青野より帰る(青野・夏)2016/8/6

305盆の雨匂袋に幽かな香(盆・秋)2016/8/13

306空襲とは地を襲ふこと茄子の馬(茄子の馬・秋)2016/8/14

307団地より団地を見るや稲光(稲光・秋)2016/8/27

308新涼の碧き畳に遺る聲(新涼・秋)2016/8/29

309畑昏れて戰のあとのごとくなり(無季)2016/9/10

310龍田姫からりとけふは竜田揚(龍田姫・秋)2016/9/17

311平日も休日めきて吾亦紅(吾亦紅・秋)2016/9/24

312匍匐前進葡萄棚下集合!(葡萄棚・秋)2016/10/1

313畦道や案外子らは案山子好き(案山子・秋)2016/10/8

314木製の木星欲しや木犀香(木犀香・秋)2016/10/15

315銀杏の潰されてゐるひとところ(銀杏・秋)2016/10/22

316ピグモンもガラモンもゐる紅葉山(銀杏・秋)2016/10/29

317冷まじや教諭と教諭すれ違ふ(冷まじ・秋)2016/11/5

318こがらしを追ふ大勢のえきすとら(こがらし・冬)2016/11/12

319嵌殺す窓に洩れ来る冬ともし(冬ともし)2016/11/17

320海風に幟はためく博多場所(博多場所・冬)2016/11/26

321アパートへ右折の標実南天(実南天・冬)2016/12/3

322黒塗りのピアノに映る雪女(雪女・冬)2016/12/10

323繪圖面の抽斗の冷え極まれり(冷え・冬)2016/12/13

324東京タワー赤備へして寒波待つ(寒波・冬)2016/12/23

325歳晩の書物の重さ慥かなり(歳晩・冬)2016/12/30

326人日や堰切つて人流れ出す(人日・新年)2017/1/7

327乾杯の瞳を探すボガート忌(ボガート忌・冬)2017/1/14

328綾取や雁字搦めの糸梯子(綾取・冬)2017/1/21

329遺跡へとちかづく廃墟寒月光(寒月光・冬)2017/1/28

330接岸し巨船は春と地続きに(春)2017/2/4

331仁丹の香と乗り合はす建国日(建国日春)2017/2/11

332春仄か冥王星も冥界も(春仄か)2017/2/18

333涅槃雪夕刊薄く届きけり(涅槃雪・春)2017/2/25

334日に温きパイプ椅子より折り畳む(温し・春)2017/3/4

335春泥にゲソ痕乾ききつてゐる(春泥)2017/3/8

336春靴で緑の窓口に並ぶ(春靴)2017/3/15

337夕刻の翳あをあをと白木蓮(白木蓮・春)2017/3/25

338地球儀を置き忘れたる花の窓(花・春)2017/4/1

339西棟の窓悉く花の窓(花・春)2017/4/8

340花の雨ラジオを細く点けておく(花の雨・春)2017/4/15

341花の塵掬へるほどに堆く(花の塵・春)2017/4/22

342四阿の屋根を目指して桜蘂(桜蘂・春)2017/4/29

343冷蔵庫唸りを変へて五月来る(五月・夏)2017/5/1

344噴水の傍の噴水蛇口かな(噴水・夏)2017/5/13

345吊革に革を探してゐる薄暑(薄暑・夏)2017/5/20

346薄暮来て赤銅色の麦酒瓶(麦酒・夏)2017/5/27

347しばし蚊遣の残香に立て籠もる(蚊遣・夏)2017/6/3

348夏空を焼きつけて着く無蓋貨車(夏空)2017/6/10

349青嵐一揆の群を傾かす(青嵐・夏)2017/6/17

350裏返る水中貯木梅雨の果(梅雨の果・夏)2017/6/24

(透次第7句集「接岸」50句)

 

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透次第8句集「浮游」50句

2010-07-11 00:00:11 | 透次句集

第1句集「眼光」50句  →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句   →第7句集「接岸」50句   →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句

〇浮遊とはほんの一つの支点を探し続けることである。透次第8句集「浮遊」。句集名は「垂下がるとも浮遊とも吊し雛」より。その他、「硬券に入鋏のM冬の果」「十薬の群れて太古の日暮なり」など。帯文:陶磁化寸前の透次。虚影出帆社(20180707感光)。

 

透次第8句集「浮游」50句

 

351返り梅雨十円切手貼り足しぬ(返り梅雨・夏)2017/7/1

352電池舐めて遠雷ほどの痺れあり(遠雷・夏)2017/7/8

353蠅帳を被せしままに日暮れたり(蠅帳・夏)2017/7/15

354十二円貼り足す切手梅雨の明(梅雨明・夏)2017/7/22

355蠅取紙螺旋に戻るちから亡し(蠅取紙・夏)2017/7/29

356カレーうどんの汁白シャツへ跳ねたがる(白シャツ・夏)2017/8/2

357晩夏光歩廊短き無人駅(晩夏光)2017/8/7 

358門火無キ団地ナレドモ迷ハズニ(門火・秋)2017/8/13

359畦畔に横並びして花火待つ(花火・秋)2017/8/26

360途中まで切り途中から割る西瓜(西瓜・秋)2017/8/31

361惨劇の未だ始まらぬ柘榴の実(柘榴の実・仲秋)2017/9/9

362くれなゐを夜陰に点す唐辛子(唐辛子・三秋)2017/9/14

363コスモスの軽々と地に繋がれて(コスモス・仲秋)2017/9/23

364秋茄子を油まみれに焼きにけり(秋茄子・仲秋)2017/9/30

365新藁にたましひ軽くして潜む(新藁・晩秋)2017/10/7

366秋雨の高架下にて受け渡す(秋雨・三秋)2017/10/14

367エキストラより戻り来て秋燈下(秋燈・三秋)2017/10/21

368漂着の軽さを拾ふ秋の浜(秋の浜・三秋)2017/10/28

369半回転廻す施錠や十三夜(十三夜・晩秋)2017/11/1

370立冬のビー玉影をながく曳く(立冬・初冬)2017/11/7

371冬雲や自動階段地に呑まれ(冬雲・三冬)2017/11/18

372冬の虹CDROMの片面に(冬の虹・三冬)2017/11/23

373切先の三又蒼き葱選ぶ(葱・三冬)2017/12/2

374生牡蠣の亜鉛含有率啜る(牡蠣・三冬)2017/12/9

375襤褸市や襤褸の如き襤褸着て(襤褸市・仲冬)2017/12/16

376冬籠BCGの痕撫ぜて(冬籠・三冬)2017/12/18

377ポインセチアどこから見ても紙細工(ポインセチア・仲冬)2017/12/24

378硬券に入鋏のM冬の果(冬の果・晩冬)2018/2/3

379團欒の中の初戀春炬燵(春炬燵・三春)2018/2/10

380直角に折れる駅道白椿(白椿・三春)2018/2/15

381春の雪屋根の片側重く積む(春の雪・三春)2018/2/24

382垂下がるとも浮游とも吊し雛(吊し雛・仲春)2018/3/3

383行先のくるくる巻かれ春のバス(春・三春)2018/3/10

384嘴細を春の疾風に向けにけり(春疾風・三春)2018/3/17

385リモコンに青赤緑黄砂降る(黄砂・三春)2018/3/24

386連翹や大日輪の黄を集め(連翹・仲春)2018/3/31

387さくら東風五色幔幕膨らます(さくら東風・三春)2018/4/1

388心より心へ積る桜蕊(桜蕊・晩春)2018/4/14

389朧より移動電話の声突如(朧・三春)2018/4/21

390雨晴海岸沖のあめふらし(あめふらし・三春)2018/4/28

391幟旗はためくほどに戦めく(幟・初夏)2018/5/5

392まじまじと飯の粒見る五月かな(五月・初夏)2018/5/12

393雲の峰書物に閉ぢる力あり(雲の峰・三夏)2018/5/19

394いつも遠き風力風車日雷(日雷・三夏)2018/5/26

395十薬の群れて太古の日暮なり(十薬・仲夏)2018/6/2

396紫陽花の房を掠めて分け入りぬ(紫陽花・仲夏)2018/6/9

397峡の田に風が片寄すあをみどろ(あをみどろ・三夏)2018/6/16

398竜頭巻く音の確かさ青山河(青山河・三夏)2018/6/19

399夕立の寸前に立つ埃の香(夕立・三夏)2018/6/30

400凌霄を左に折れて道なりに(凌霄・晩夏)2018/7/7

(透次第8句集「浮游」50句)

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透次第9句集『蒼穹』50句

2010-07-11 00:00:10 | 透次句集

第1句集「眼光」50句  →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句   →第7句集「接岸」50句   →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句

〇脳天にはいつまでも筒抜けの蒼穹がある。透次第9句集「蒼穹」。句集名は「九月の蟬よ蒼穹を謳歌せよ」より。その他、「雪合戦にも各々の戦後あり」「逝く春や音ひとつ欠くオルゴール」など。帯文:湯治に行きたい透次。空振出帆社(20190618感光)。

 

〇透次第9句集『蒼穹』50句

 

401蚊遣香真直ぐのぼりのち乱る(蚊遣香・三夏)2018/7/14

402夏の大三角織女星(ベガ)を頂点に(夏の大三角・晩夏)2018/7/21

403紙芝居終の一枚夕焼けて(夕焼・晩夏)2018/7/26

404定期入れ改札機に叩き付けて炎天へ(炎天・晩夏)2018/7/26

405夕かなかな廃銀山の墓道に(かなかな・初秋)2018/8/11

406石渡にフラスコ滾る敗戦忌(敗戦忌・初秋)2018/8/15

407黒板の僅かに反りて夜学校(夜学校・三秋)2018/8/25

408九月の蟬よ蒼穹を謳歌せよ(九月の蟬・初秋)2018/9/1

409唐辛子買ふ陸奥の道の駅(唐辛子・三秋)2018/9/8

410秋場所の土俵の縁を降りる罅(秋場所・仲秋)2018/9/15

411大山はおほやまと咏む雨の月(雨の月・仲秋)2018/9/22

412御堂筋欧陽菲菲子糠雨(無季)2018/9/29

413線香に混じり易くて木犀香(木犀・晩秋)2018/10/6

414秋霖や机上に医薬部外品(秋霖・三秋)2018/10/13

415深秋の何処にかけてもつながりぬ(深秋・晩秋)2018/10/20

416藁の字のやうな藁塚ばかりなり(藁塚・晩秋)2018/10/27

417冬隣側臥の膝を曲げそろへ(冬隣・晩秋)2018/11/3

418トルソーの胸板に射す寒茜(寒茜・三冬)2018/11/10

419罫線をはみ出す文字や小六月(小六月・初冬)2018/11/17

420鼓膜より配線垂らし着膨れて(着膨れ・三冬)2018/11/24

421十二月捌けぬレジに並びをる(十二月・仲冬)2018/12/1

422枯草を噴き上げてゐる通気口(枯草・三冬)2018/12/7

423私をスキーをした頃へ連れてつて(スキー・三冬)2018/12/15

424短きは冬空色のクレヨンか(冬空・三冬)2018/12/22

425カリヨンの余韻を冷ます聖夜かな(聖夜・仲冬)2018/12/24

426考妣の重さは同じ初雨降(初雨降・新年)2019/1/2

427身の内の深き昭和や竹スキー(竹スキー・晩冬)2019/1/12

428水仙へ白秋碑前下車五分(水仙・晩冬)2019/1/19

429雪来れば百葉箱の小家めく(雪・晩冬)2019/1/26

430雪合戦にも各々の戦後あり(雪合戦・晩冬)2019/2/1

431本堂に入りてもしばし春嵐(春嵐・三春)2019/2/9

432石鹸玉密に生まれて疎に漂ふ(石鹸玉・三春)2019/2/9

433遠蛙厨と厠読み違ふ(遠蛙・三春)2019/2/23

434捨土のいま草萌の山となる(草萌・初春)2019/3/3

435黄沙降るおほかた空の観覧車(黄沙降る・三春)2019/3/9

436春雨の湿りを十字縛りにす(春雨・三春)2019/3/16

437春分の日に分別を考へる(春分の日・仲春)2019/3/21

438春雨の髪手櫛して盛り場へ(春雨・三春)2019/3/30

439流木のかぎろひ燃ゆる旧市街(かぎろひ・三春)2019/4/6

440ガリバーは杉を杉菜と思ふだらう(杉菜・晩春)2019/4/13

441闊歩せよ種蒔く人の構へして(種蒔く・晩春)2019/4/20

442黄水仙黄泉比良坂緩やかに(黄水仙・仲春)2019/4/25

443逝く春や音ひとつ欠くオルゴール(逝く春・晩春)2019/4/30

444チューリップの花瓣に雨の溜まらざる(チューリップ・晩春)2019/5/5

445御守の繭弄ぶ掌(繭・初夏)2019/5/18

446海月透く水族館の最深部(海月・三夏)2019/5/25

447卯の花腐し海淵の匂ひせり(卯の花腐し・初夏)2019/6/1

448豆皿に醤油の乾く祭の夜(祭・三夏)2019/6/7

449銘違ふ麦酒二罐だしてくる(麦酒・三夏)2019/6/15

450ビリヤードクロスの碧き梅雨湿り(梅雨湿り・仲夏)2019/6/18

(透次第9句集『蒼穹』50句)

 

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透次第10句集「道界」50句

2010-07-11 00:00:09 | 透次句集

第1句集「眼光」50句  →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句   →第7句集「接岸」50句   →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句

〇地に突き刺さる道界のように揺るぎなく。道界の上を過ぎる風のように奔放に。透次第10句集「道界」。句集名は「道界を跨げば秋の美術展」より。その他「籠枕夢に籠目のくつきりと」「糸蜻蛉昨日の尻尾齧りをり」など。妄想出帆社(2020.7.11感光)。

 

〇透次第10句集「道界」

 

透次第10句集「道界」50句

 

451球体の果実と並ぶ昼寝かな(昼寝・三夏)2019/6/29

452百日紅白百日紅百日紅(白百日紅・仲夏)2019/7/6

453ここが雲の源流といふ青峠(青峠・三夏)2019/7/13

454かはほり飛んで不規則となる暮色(かはほり・三夏)2019/7/20

455幽霊は人事か地理か動物か(幽霊・晩夏)2019/7/26

456それぞれの晩夏持ち寄りお茶ノ水(晩夏)2019/8/2

457銀漢へスカイツリーを錐揉に(銀漢・初秋)2019/8/10

458鈍化してやうやく純化生身魂(生身魂・初秋)2019/8/17

459重機の肩に颱風の風残る(颱風・仲秋)2019/8/24

460道界を跨げば秋の美術展(秋・三秋)2019/8/31

 
461つくつくし追ひつかぬやうひとに蹤く(つくつくし・初秋)2019/9/7
 
462大運動会グランドの隅が好き(運動会・三秋)2019/9/14
 
463明朝を秋のfontに据ゑにけり(秋・三秋)2019/9/21
 
464九月尽姫蔓蕎麦の地を割りて(九月尽・晩秋)2019/9/28
 
465十月のチューバに映る遠き雲(十月・晩秋)2019/10/5
 
466刈田よりゴムプロペラ機行方絶つ(刈田・晩秋)2019/10/12
 
467濃きも淡きも木犀の風の層(木犀・晩秋)2019/10/26
 
468列島の北から点る秋燈(秋燈・三秋)2019/11/2
 
469立冬の便器に座り白くなる(立冬・初冬)2019/11/8
 
470雪雲や翳りの速き小盆地(雪雲・三冬)2019/11/16
 
471季語に九音もとられ勤労感謝の日(勤労感謝の日・初冬)2019/11/23
 
472晩年の軌道に入る炬燵部屋(炬燵・三冬)2019/11/30
 
473冬日和どの教室も試験中(冬日和・三冬)2019/12/7
 
474義士の日や電車の座席青く炎ゆ(義士の日・仲冬)2019/12/14
 
475雪富士の二糎見ゆる高架駅(雪富士・三冬)2019/12/21
 
476悉く赤目で写る生誕夜(生誕夜・仲冬)2019/12/24
 
477絶滅のかの狼のスミレ腺(スミレ・三春)2020/2/1
 
478落椿のなかのひとつを仰向かす(落椿・三春)2020/2/8
 
479無名なる風を斂めて春一番(春一番・仲春)2020/2/15
 
480錆猫の紛れてゐたる春の闇(春の闇・三春)2020/2/22
 
481春疾風スカイツリーに付根あり(春疾風・三春)2020/2/29
 
482瓣(はなびら)の銀線細工春の雪(春の雪・三春)2020/3/7
 
483忘れても亡ばぬ心涅槃西風(涅槃西風・仲春)2020/3/14
 
484削らねばならぬ文字数雪解月(雪解月・仲春)2020/3/21
 
485終着は青年の家花の雨(花の雨・晩春)2020/3/28
 
486残雪の畔垂直に飛ぶ車窓(残雪・仲春)2020/4/4
 
487ぼうぼうと何商ふや海市にて(海市・晩春)2020/4/11
 
488花篝の再のあたりに点火せよ(花篝・晩春)2020/4/18
 
489花の風対岸もまた雄物川(花の風・晩春)2020/4/25
 
490書を抱へ町へ出るなと五月来ぬ(五月来ぬ・初夏)2020/5/1
 
491焦茶色の当りの文字や棒アイス(棒アイス・三夏)2020/5/9
 
492軽暖や右上腕に種痘痕(軽暖・初夏)2020/5/14
 
493籠枕夢に籠目のくつきりと(籠枕・三夏)2020/5/23
 
494扇風機売場あちこちよりの風(扇風機・三夏)2020/5/30
 
495雨に掌を享ける容に芒種かな(芒種・仲夏)2020/6/5
 
496卯の花腐し別容疑めく月曜日(卯の花腐し・初夏)2020/6/8
 
497糸蜻蛉昨日の尻尾齧りをり(糸蜻蛉・三夏)2020/6/20
 
498秋成忌雨の月には雨の書を(秋成忌・仲夏)2020/6/27
 
499集電装置は梅雨空を乞ふかたち(梅雨空・仲夏)2020/7/4
 
500凌霄花雨後の落花の鮮しき(凌霄花・晩夏)2020/7/11
 
透次第10句集「道界」50句
 
 
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