このところ、何冊か立て続けに読み漁ってるのがこの人の本、
名前は媒体でよく見ていたがいつも海外の本が多いので手に取るとは予想外。
まさかハマるとは想定外。
一気読みとはこのことで半日で一冊、もう読むわ読むわ、、、
読み終えたら本屋さんへ行って探してもらう、なければAmazonで頼む、それでもなければ古本を買う。
揃ったのが映像の通りです。(といっても今手元にあるのは見出しの本だけ)
「夏物語」でスタート、しかし初っ端から大阪弁の会話がエンドレス
「、、ん」「、、んわ」が目についてわぁ〜疲れるわーと2、3日置いたまま、
歳をとるとカタカナや方言の字面を追うのが難しくなるのですよ。
しかし、何とか再スタートするとあとは一気読み、時々、プファゎ〜と吹き出すような大阪のお笑い系の面白さが飽きさせない。
好き好き、この本、
すごいな、、この文章力、そして経験が透けて見えるリアリティがさらにしっかりこちらに届くのだ。
次は「ヘブン」
これは難しいなー、
いじめがテーマだが「斜視の僕」は二人のクラスメートに惑わされる。
一人はコジマといういじめられている同じクラスの女の子。
もう一人はいじめる側の首魁の取り巻きの百瀬という男の子。
冒頭、コジマからヘヴンの絵を見に行こうと誘われていく美術館にはそのタイトルの絵はどこにもない。
コジマが自分で勝手につけたタイトルだという。(多分シャガールの絵なのではないだろうか。サーカス、馬、首が長い人物などなど)
これからして宗教の匂い。
いじめられてるのは試練、これを乗り越えてこそ意味がある。美しい弱さであるが実は強いことなのだと「僕」に耐えようと迫る。
宗教決定。
一方、百瀬はニヒルというか、老成しているような世界観、「悪も正もこの世にはないのだ。やるかやられるか、したいかしたくないのか、だけ」「お前がいじめられて辛いんだったらやり返せばいいじゃないか。やるんだよ、」という。
「僕」はその狭間で葛藤する。
結局、いじめの現場を通りかかったおばさんに見つかり、学校は警察沙汰になり騒ぎとなる。
「僕」はこの目撃者のおばさん、そしていじめの怪我で診てくれた医者から斜視の手術を勧められ、6歳の時に来た賢い継母に、学校なんて行かなくていい、まずは目の手術をしよう、と言われ、「僕」は3人の大人に救われる。
手術が終わって見る空、生まれて初めて世界に奥行きがあることを知る感動的なシーンで終わる。
次は「すべて真夜中の恋人たち」
冬子は37歳、独身。東北から東京に出てきて成り行きで入社した部署で校閲を始めて今やフリーサンスの校閲者。
典子は高校の友人で既婚、二人の子供を育てつつ夫婦は倦怠期、それぞれ不倫をしつつ家庭の形だけは保っている。
聖は大手出版社で仕事一筋、独身。しかし後半はシングルマザーになる設定。
この3人の設定を見ただけで、テーマは軽くわかりすぎ、一気読みが加速した。
3冊の本、どれも最後はかなりハッピーなんですよ。
「夏物語」は望んだ子供を体外受精で授かり、「ヘヴン」は大人に救われて穏やかな日常を取り戻す、「すべて真夜中の恋人たち」は、今までのぼんやりした冬子の人生に初めて失恋という形ではあったが自分から好きになった人ができ、自ら行動を起こす。これからはきっと意思的な人生を送るであろうことを予感させて終わる小説。
出せば重版、今や勢いが止まらない作家ではあるが、時間をかけた小説も楽しみにしたい。
閑話休題
「シャンデリア」という短編があるのですがもう大阪ど根性、これが胸がすく痛快エッセーなんですよ。
関心がある方はどうぞ。