こんにちは
ササキングです
1月3日(月)に今年度最後となる
やさしいねぶた学が開催されました
トリは第五代ねぶた名人千葉作龍さんが講師でした
千葉作龍さんには現在ワ・ラッセに展示されている
「安倍晴明・泰山府君を鎮める」(サンロード青森)についてや
昭和の頃のねぶたについてお話をしていただきましたよ~
【題材を選んだ理由】
「年から年中(ねぶたのこと)を考えてしまう。アンテナが常に出ている状態です。
今回の題材は2年前(コロナ前)から考えていた題材で、その頃は洪水や山火事など
世界的に災害が拡がっていました。」
「この異常気象を鎮めたい」という想いから、このテーマを考えていたそうです。
残念ながらコロナの影響で2020年に制作されることはなかったのですが、
2021年にようやく制作され、今に至りました。
また、2021年は東日本大震災から10年目という年でしたので、
まさに今作られるべきして出来たねぶたなんだと思ったそうです。
【題材の説明について】
陰陽師・安倍晴明は現代で言うところの科学者であり、哲学者であり、天文学者のような人です。
数々の逸話や迷信が伝えられています。
千葉作龍さんはそういった夢(ロマン)があるお話が好きとのことです。
基本的には縁起が悪いもの・怖いものをねぶたで作らないそうです。
過去にそういったねぶたを作った際に、自身に悪いことが起こったらしいですよ~
(何があったんだろうか・・・)
対する泰山府君は中国にある泰山の主・神様です。
安倍晴明は泰山府君を自然界の神だと思っていました。
泰山府君の周りにある表現は下記のような意味があるそうです
火 → 山火事
鯰 → 地震
水 → 洪水
送りの風神・雷神 → 台風
泰山府君が起こすこれらの災害を鎮める安倍晴明・・・という構図なんですね
そしてこの特徴的な五芒星
陰陽五行説を表すマークであり・・・
このように五つの元素からなる自然界のバランスが
星型で表されています
この五芒星は魔除けの意味もありますので、「災害を鎮める」という
このねぶたのテーマに合っているマークなのであります。
そしてそして、
泰山府君の横にある虎
「寅年でちょうどいいね」というお話もありつつ、
虎のねぶたについても昔のねぶたと合わせて語ってくれました
千葉作龍さんの著書「名人が語る・ねぶたに賭けた半世紀」の中に
「龍は比較的に簡単だが、馬や虎が難しい」とあります。
昔から龍のねぶたは多かったが虎のねぶたは少なかったそうです
龍に関してはギザギザを付ければだいたいそう見えると言ってましたが、
龍に似た蛇を作るのは難しいと言っていました。
(シンプルなものほど表現が難しいそうです)
そういった観点から、虎はねぶた制作者にとってあまり作りたがらない
ねぶただったそうです。ちょっと間違えれば猫になっちゃうそうです。
「誰に聞いても虎は難しい。ごまかしがきかないねぶた。」
それほどに難しいねぶたなんだなということがわかりました。
そんな虎のねぶたで千葉作龍さんが「傑作だ!」とお話していたのが
1963年(昭和38年)に二代名人北川啓三さんが制作した「加藤清正」(魚河岸)です
写真がワ・ラッセアーカイブに残っていました
「加藤清正の虎退治」と言えば有名な題材の一つでありますが、
こちらのねぶたは虎の舌を掴んでいる特徴的なねぶたとなっており、
唯一で素晴らしいとお話していました
このお話の流れで、その後は昭和30年~40年代の
当時の街の様子、ねぶた小屋、ねぶた制作の雰囲気などを語っていただきました
講演の中で「好きこそ物の上手なれ」(好きだからこそ上達する)という言葉がありましたが、
千葉作龍さんのねぶた愛がとても伝わるお話でしたし、
若手だったころに経験したことや多くのねぶた制作者との出会いが
ねぶた技術を向上させ、そして数々の名作ねぶたを生み出した所以なんだということがわかりました
あまりにも濃い内容でブログではまとめきれませんでした すみません!
こちらの続きは後日青森ケーブルテレビさんの放送、またはワ・ラッセYouTubeチャンネルにて
講演の動画をUPしたいと思いますので、準備が整うまでお待ちいただければと思います
現在、ねぶた師北村蓮明さん、北村麻子さんの講演をYouTubeで公開中です
・2021年11月7日 北村蓮明さん講演(YouTube)
・2021年11月28日 北村麻子さん講演(YouTube)
竹浪比呂央さんの講演は動画の準備中ですのでもうしばらくお待ちください
今年度は久しぶりに展示ねぶたが入れ替えしたということで、
各ねぶた師の皆様からとても興味深いお話を聞くことが出来ましたね
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました
次年度のやさしいねぶた学もぜひお楽しみに
ササキングのレポートでした