part1では、「2019年は、日本の平均気温の基準値からの偏差が+0.92℃となり・・・」という表現を気象庁が使っているということでした。
この基準値はどうやって導き出しているのか?
まず、観測場所はどうなってるのか?
15地点です。網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島です。
長期間にわたって観測を継続している気象観測所の中から、都市化による影響が比較的小さく、また、特定の地域に偏らないように選定されているとしている。
気象庁では、偏差について富士山を例に説明している。次のとおり。
山麓、5合目、山頂など、観測点ごとの気温は、登山などをする上では重要な情報ですが、標高により気温が異なることからも、それらを平均した値自体が富士山の気候を代表しているとは言えません。
富士山の気候変動を監視するためには、ある年、月の富士山の気温が通常の状態と比べて高いのか低いのか、また、富士山の気温は過去100年でどのくらい変化しているかを知ることが重要です。
これは、観測点ごとの平均的な状態からの気温のずれ(偏差)を元に計算することで、把握することができます。
確かにすべて平均にしてしまうことは、短期間の変化を正確にとらえにくいとも思えるし、なんの意味をもなさなくなるとも思える。
気象庁では、偏差を求めるための基準値をどう算出しているのか?
10年ごとに基準値を更新しています。
例えば現在は1981~2010年の30年平均です。
2021年以降は1991~2020年の30年平均が基準値になります。
平均気温偏差の算出方法は?(気象庁の説明)
1.15の地点ごとに,月平均気温の偏差(観測された月平均気温から、1971~2000年の30年平均値を差し引いたもの)を求めます。
2.各地点ごとに年・季節で平均します。
3.各月および2で算出した値について、15地点の偏差を平均します。
4. 年・季節・月のそれぞれについて、1981~2010年の30年間の平均と、1971~2000年の平均との差を2や3で算出した値から差し引いて、その年・季節・月の日本の平均気温の偏差(1981~2010年を基準とする偏差)とします。
普段、何気なく聴いているお天気ニュースですが、今回、平均気温について正しく理解できました。地球規模の気候変動も基本はこのように算出しているのか!海洋の温度も特別な観測方法があるようだし、大変な作業だ。
おまけに年降水量偏差で算出するデータの観測地点を見てみた!
51地点です。
旭川,網走,札幌,帯広,根室,寿都,秋田,宮古,山形,石巻,福島,伏木,長野,宇都宮,福井,高山,松本,前橋,熊谷,水戸,敦賀,岐阜,名古屋,飯田,甲府,津,浜松,東京,横浜,境,浜田,京都,彦根,下関,呉,神戸,大阪,和歌山,福岡,大分,長崎,熊本,鹿児島,宮崎,松山,多度津,高知,徳島,名瀬,石垣島,那覇です。降水量は地域によってまちまちなので、長期間にわたって観測を継続しているすべて(51地点)の気象観測所のデータを用いています。
気象庁の観測データは、1898年から存在します。地球の気象の変化からすれば、ほんのわずかなわずかな期間のデータでしかありません。
現在の気象庁の観測体制を最後に見てみました。
1 地上気象観測
全国約150地点の気象官署及び特別地域気象観測所(気象官署における観測に準じた観測を自動で行う 観測施設)において、気圧、気温、湿度、風、降水、積雪、雲、視程、天気、日照、その他の気象現象を自動または目視で観測している。
2 地域気象観測
さらにきめ細かく降水や気温、風などの状況を把握するために、気象官署及び特別地域気象観測所を含む全国約1300地点の観測所において、気温、風向・風速、降水量、日照時間、積雪の深さを自動で観測している。
これは地域気象観測システムでアメダスという。
これは地域気象観測システムでアメダスという。
アメダス(AMeDAS)=「Automated Meteorological Data Acquisition System」
3 高層気象観測
高層大気における気圧、気温、湿度、風向・風速などの気象要素を測定する。気球に吊り下げた測器により大気を直接測るラジオゾンデによる観測(全国16地点)と電波により間接的に高層の風向・風速を測るウィンドプロファイラ(全国約30地点)による観測がある。
参考:気象庁の「気象観測統計の解説」は
「気象観測統計指針」のうち、統計の方法に関する部分を抜粋したものです。参考まで。
参考:気象庁サイト