第１６２話 いろいろな難儀の舞台裏を知る。

静かで空気のきれいな公園に来ました。

今ひとりの中年の男性がベンチで涙を流しています。

何が起こっているのでしょうか。

その人の許しを得て話を聞いてみましょう。

どうされましたか？

まさに踏んだり蹴ったりの目に会っています。

私にがんが発見されたところに　コロナ禍で失業となりました。

いったい神は居るのでしょうか。なぜこんな絶望的状況を体験せねばならないのでしょうか。これは何かの罰なのでしょうか。

私がよっぽど日頃の行いが悪かったというのでしょうか？

今あなたの内部に別の誰かがいるのが見えます。

この人にも話を聞いてみましょう。

あなたはどなたですか？

ひょっとしてあなたがこの人のいわゆる神なのでしょうか？

私はこの人の中の魂意識というものなんです。

でも実質は魂の一部であり　また神の一部と言ってもよいと思います。

ふつう人間といえば顕在意識あるいは自我意識ともいう意識が取り仕切っています。私は魂意識といって　自我意識さんとは別の存在です。

ですが　人間とは自我意識と魂意識　それに肉体意識の３つから構成されているのですよ。でも今は話を分かりやすくするために　メインな存在である自我意識と魂意識の関係に絞ってお話ししたいと思います。

　

この２つのメインの意識体が表裏一体となって人間の中で密接な関係を結んでいます。そのおかげで　私たちはこの地球で人間としての人生を体験させてもらえるのです。これはいつやっても実に感慨深いものだと思います。それは自我意識さんの協力のおかげであり　私も彼への愛と感謝の涙を抑えることは困難です。

さてそれで　彼が今体験している大きな難儀は　もともと私たち魂が選んだものなのです。自我意識さんがいいかえれば人間がこうしようと思ってそうなったわけではないのです。世の中では因果応報とか言ってその人間が何かの原因を創ったせいであるなどと信じられていることが多いのです。

そういう意味で彼に直接の責任はないのです。だから罰として難儀を受けているわけでは全くないのです。本当はそんなものはないのです。だから私たちはいつも彼が絶望して自分をつぶしてしまわないように警戒しています。

もし　そうなったら困るのは私たちたましいですから・・・。

私たちがなぜこんな難儀な出来事を彼に対して選んだかというと　私たち自身がこういう状況を体験したかったからです。私たちの実家の世界ではこういう体験はできないからです。私たち魂はすべて愛であり善であり永遠で完璧な存在なのです。つまり愛でないものも悪も存在できない世界に住んでいるのです。しかし元々私たちはすべてである存在なのですが　そうすると例えば善であることだけでなく悪でもあるはずなのです。だから悪も体験したいのです。

ですから魂たちみんなですべてを分け合って　表も裏も体験しようとこの地球に来ているのです。そうすると自分たちがどんな存在なのかが体験的に理解できるのです。

魂だけの世界では悪もなければ失敗もありません。悪も失敗も一切無い完璧で永遠で　なおかつ愛だけの世界です。なぜそうなるのかというと端的に言えば波動が最高に高い世界だからです。善や成功と同じように　悪も失敗も波動を持っていますから　その世界全体の波動をどんどん下げて行けば悪も失敗も存在できる世界になるでしょう。

完璧な世界の住人は比較する「波動の低いもの」が無いから　逆に善であることもどういうことなのか実際のところわからなくなるのです。

私たちは　悪を体験してみて初めて善とはこういうものかと実感できるというわけです。悪だけではなくすべてのニュアンスの違いが体験的にわかるのです。

失敗のない世界じゃ成功の味はわからないし　すべてが愛である世界では愛の存在しない辛さは理解しにくいと思いますね。そのために私たちはわざわざこちらのような世界を「創った」のです。自分自身をよく理解できるようにと。

すべてが完全な世界に住んでいると　頭ではわかるんですが身体を通して体験することができないから実感が湧かないのです。

だからこの地球のような物質世界じゃ　私たち魂の世界にはない体験ができることに価値があります。そしてこの世界で実際の人間として行動する役目は　私たちでは不都合ですから自我意識さんにお願いしてあるわけですが　自我意識さんは事前に何も知らない状態になって参加しているのです。

お蔭で自我意識さんにとっては自分が望んでもいないような辛い体験ばかりが突如現れたりしてびっくりするしショックも受けます。そこを体を張って受け止めてもらっていることに対し大変感謝しています。

とはいっても私たち魂も自我意識さんにピッタリ寄り添って気持ちを理解し　自我意識さんが今心の内側と外側で自分をどのように考えているか　すべてを知っているのですよ。そしてそのお返しと言ってはなんですが　これらの難儀な体験をツールとして利用して　自我意識さんが強く望んでいる成長ということを達成できるようにお手伝いさせてもらっているのです。

今回のインタビューは以上ですが　私は全く人間が被害者のようにしか見えないこの世でのいろいろな辛い出来事体験の舞台裏が少しでも明かされるように　と願わざるを得ません。

以上ですが次回に続きます。