確かな記憶
2020-11-28 | 詩
たしかな記憶
雑踏で父さんを見つけて苦笑した
たしかにお父さんだったけど
子供の手をひいている若いお父さんだった
幼い頃
あんな風に手をひいてもらった
転ばないよう 迷わないよう
いつの間にか
一人で歩けるようになった
あの時 手をひいてもらったから
転んでも 再び挑むことができるのだろう
愛された たしかな記憶がこの手にある
雑踏で母さんを見つけて苦笑した
たしかにお母さんだったけど
子供の涙をふいている若いお母さんだった
幼い頃
あんな風に涙をふいてもらった
転んだ時 迷った時
いつの間にか
ささいなことで泣かなくなった
あの時 涙をふいてもらったから
迷っても 立ち直ることができるのだろう
愛された たしかな記憶がこの胸にある
愛された たしかな記憶がこの胸にある
第四十回 新潟県小千谷市文芸祭 現代詩の部 入賞しましたー