AVGO1062.9us$ 24/1/11木BX120.07$ MCHP84.17$

米国株BX119.62us$ AVGO1065us$ MCHP84.06(24/1/10水:現在

25/1/23水11:30大手商社が「サーモン養殖」に本腰を入れる理由 陸上養殖に続々参入、普及のカギは価格競争力

2025-01-23 11:30:16 | 米国株

大手商社が「サーモン養殖」に本腰を入れる理由陸上養殖に続々参入、普及のカギは価格競争力大塚 隆史 様記事抜粋2020/10/03 6:10

近い将来、食卓には「海を知らない」サーモンが並んでいるかもしれない。

世界的に需要の増加が見込まれるサーモンの陸上養殖に大手総合商社が力を入れ始めている。丸紅は、日本水産と共同でデンマークのダニッシュ・サーモン(DS)社を2020年4月に買収した(金額は非公表)。

DS社が取り組んでいるのは、使用する水をろ過し、循環して使う「閉鎖循環式」と呼ばれる陸上養殖だ。DS社は年間およそ1000トンの陸上養殖サーモンをデンマークの養殖プラントから出荷する。これほどの規模を出荷する企業は世界でも数少ない。DS社は養殖設備を拡張し、2022年には生産量を2750トンにまで引き上げる計画だ。

環境負荷の少ないサーモン養殖

人口増加や先進国でのヘルシー志向の高まりなどによって、世界の水産物需要は年々拡大傾向にある。丸紅の中村一成・水産部長は「新型コロナウイルスが発生する前だが、世界の水産物需要は年率1.5%の伸びをみせており、特にサーモンの伸びは7%にものぼった」と語る。

サーモン養殖は他の魚種に比べて環境負荷が少ない。WWFジャパンの前川聡・海洋水産グループ長は「1キログラムのマグロを育てる場合は餌が10~15キログラム必要だが、サーモンは1~2キログラムの餌で育成できる」と説明する。水産物の中でもサーモンはヘルシー志向の人々の間で人気が高い。DHAなどを豊富に含んでおり、健康によいとされているためだ。

50年ほど前と比べると、世界の1人当たりの魚介消費量(年間)は9キログラムから20.5キログラムへ、約2倍に増加した。だが、1990年ごろから世界の漁獲量は年間およそ9000万トンのほぼ横ばいで推移しており、漁獲量をこれ以上増やすのには限界がある。

漁業生産の停滞とあわせて1990年ごろから急速に増えたのが養殖だ。今や漁業・養殖生産量の半分ほどを占める。増え続ける水産物需要には養殖で対応していくことになりそうだが、サーモンの海面養殖はそれほど簡単ではない。A Flourish chart

サーモンの育成には摂氏12~15度程度の低水温が必須条件になる。仮に日本で海面養殖しようとすれば、夏場に水温が上がってしまうことがネックになる。そのため、サーモンの海面養殖は1年を通して水温の低い、ノルウェーやチリ、カナダ、スコットランドといった高緯度の国々で行われてきた。

注目を集める陸上養殖

海面養殖は適地に限りがあり、「波の立たない入り江で海水温14度前後という制約があるため、海面養殖によって生産量を大きく増やしていくことは難しい」(丸紅の中村水産部長)。しかも、餌の食べ残しや排泄物で海が汚染される環境汚染リスクもつきまとう。

そこで昨今注目を集めているのが、陸上プラントの中でサーモンを成育して養殖する陸上養殖だ。円形の水槽の中でサーモンを飼育する。人工海水をろ過し、循環させているのが特徴だ。そのため、海面養殖と違い、地理的制約もない。

DS社の場合、まずは受精卵を業者から購入して育てる。小さなサーモンと大きいサーモンを交ぜて育てると、餌の奪い合いに負けてしまうため、サーモンの成長ステージごとに分けて飼育する。病気にならないように気を配りつつ、水温や水質をきめ細かく管理する。

稚魚から3~4キログラムの出荷サイズとなるまで約2年かかる。海面養殖に比べて高コストになるのは否めず、今後はコストを抑えながら出荷量をいかに拡大するかがポイントになる。

丸紅のほか、三井物産が2017年、国内でのサーモンの大規模養殖に向けて取り組むベンチャー企業「FRDジャパン」に9億円を出資。伊藤忠商事はポーランドで陸上養殖を手掛けるピュアサーモングループの日本法人と、サーモンの国内販売で合意したと2019年7月に発表した。ピュアサーモングループは三重県に養殖場を建設し、2023年に出荷を開始する見通し。年間生産量は1万トンに及ぶ。

FRDジャパンは現在、千葉県木更津市で小規模な養殖場を運営しており、2019年6月から千葉県内のスーパーや飲食店に出荷を始めた。年間出荷量は約30トン程度にとどまるが、2021年度以降に年間1500トンを生産する養殖プラントを建設する計画だ。

普及のカギは「価格」

今後、国内で陸上養殖サーモンが普及するかどうかは、海で獲れた輸入サーモンと同等の価格を実現できるかがカギを握る。海面養殖に比べ、自由に設置できる陸上養殖場を国内に設けることができれば、鮮度や輸送コストの面でも有利になる。重要なのは生産施設を大規模化し、1プラント当たりの生産量を増やすことだ。

また、環境負荷の低さを消費者に周知できるかもポイントになる。消費者の環境意識が高いヨーロッパでは、サステナブル認証のラベルがついた商品がごく身近なものとなっている。スーパーなどの小売店もサステナブル認証が付いた商品の販売に積極的だ。

丸紅は天然・養殖を問わずサーモンのトレーディングを長く手掛けてきた。アメリカ・アラスカにサーモンなどの生産・輸出を行う子会社を持つ。その丸紅が陸上養殖に積極的なのは、ヨーロッパ市場では環境に優しい水産物を高価格で売ることができるからだ。実際、DS社はASC認証(地域社会や環境負荷軽減に配慮して操業する養殖業に対する国際的な認証制度)を取得しており、「プレミアムを付けて販売している」(丸紅の中村部長)という。

FRDジャパンも2020年5月にASC認証を取得したが、日本の知名度はまだ高いとは言えない。FRDジャパンの十河哲朗COOは「小売業界内ではこうした認証を評価しようという考えが広がってきており、『ASC認証があるから取り扱いたい』という引き合いも複数受けるようになった」と話す。GMS(総合スーパー)最大手のイオンも、ASC認証の付いたサーモンを販売しており、サステナブル認証に対する企業や消費者の意識の高まりが注目される。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿