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「老後2000万円問題」抗議声明

2019年06月19日 | 活動
全日本年金者組合中央本部は、6月12日、「老後2000万円問題」 について抗議の声明を発表しました。以下、全文を紹介します。

内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様

金融庁報告「老後2000万円問題」 麻生大臣の受け取り拒否及び安倍内閣の対応に抗議する

金融庁は 6 月 3 日、「高齢社会における資産形成・管理」報告書を公表した。その内容は、 「年金だけでは老後の資金が賄えず、月 5 万 5 千円の赤字になり、95 歳まで生きるには夫婦 で約 2000 万円の“資産寿命”が必要となる。そのためには、運用方法としては“つみたて NISA や iDECO(イデコ)”を利用するとよい」というものである。 金融庁試算の年金月額 21 万円(夫婦のみの無職世帯)は、厚生年金でも平均を上回る額 であり、基礎年金だけの人(平均月額 5 万 1500 円、約 720 万人)はまったく無視されて いる。国会論戦で明らかになったことは、2000 万円の“資産寿命”は、現在 65 歳の人で あり、現在 41 歳の人はマクロ経済スライドなどで削減が続くことから、65 歳となる 2043 年時点で約 3600 万円が必要だという試算も出ている。 30 代半ばから40代半ばの“就職氷河期世代”は、フリーターが 52 万人、非正規労働者 317 万と推定されているが、65 歳となった時点で月 20 万円の年金を受け取れるはずもな く、ましてや 2000 万円の“資産寿命”は絵空事でしかない。かれらを含む 2000 万人の 非正規労働者全体の老後問題が深刻なことは言うまでもない。 6月 10 日の参議院決算委員会では、この金融庁「報告」 が重大な論争点となった。安倍首 相は、「国民に誤解や不安を広げる不適切な表現だった」 と弁明したが、不適切なのは表現で はなく、老後のくらしを支えることができない公的年金制度そのものであることを全閣僚は 知るべきである。しかるに、麻生金融大臣は昨日 11 日、「報告書」の受け取り拒否を表明し た。金融大臣自らが諮問した金融審議会「報告」の答申を拒否するなど、前代未聞の暴挙で ある。 政府がこれまで「厚生年金で必要な生活費はまかなえる」「100 年安心の年金」 と繰り返し 国会で答弁し、国民に喧伝してきたが、 金融庁報告書はそれが偽りであり、老後の暮らしを 支える年金制度になっていないことを認めたことにほかならない。 「100 年安心」どころか、 「自己責任で 2000 万円も貯金せよ、投資せよ」では、まさに国家的詐欺と言わざるを得ない。 そのことをごまかし、隠蔽するために、今回の報告書の受け取りを拒否したことは、参議院 選挙を意識したふるまいと思うのは至極当然である。 2007 年、年金記録のずさんな管理(消えた年金問題)が発覚し、第一次安倍内閣が退陣 に追い込まれ、安倍首相は「最後の一人まで解決する」と豪語していたが、いまだに2千万件 弱の持ち主不明記録が残されたままである。重ね重ね、安倍内閣の責任は重大である。 年金制度問題の抜本的解決のためには、「マクロ経済スライド」の廃止、「最低保障年金制 度」の確立こそが必要である。大企業や富裕層へのゆきすぎた減税をやめれば、消費税増税 に頼らなくても実現可能である。年金者組合は、「若い人も高齢者も安心できる年金制度」 の確立のために引き続き奮闘するものである。

2019 年 6 月 12 日    全日本年金者組合 中央執行委員長 金子民夫


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