つれづれなるままに落書き

オタクの毎日は実に刺激的で彩りゆたかなのであります。せっかくなので、おもしろかったこととか記録しとこうかな…とか。

「守教 」 帚木蓬生〜降誕節におもうこと。

2018-12-13 13:54:19 | 

帚木蓬生の「守教」、昨晩一気に読み終えました。

戦国時代に九州の農村でひっそり息づいたキリスト教の、
伝来から禁教の時代を乗り越えてふたたび信仰を公にするまでの300年の物語。


興味深いのは舞台が長崎や五島の島々ではなく、福岡の平野のど真ん中の農村であること。あんな開けっぴろげな場所で明治まで信仰を隠し続けることができた奇跡。


ぜったいに棄教はしない、この教えに悪いところはなにひとつないのだから。むしろ貧しく小さいものを労ってくれるたったひとつの教えなのだから。


信じて、教えを守り、まっすぐに慎ましく団結して生きていく村人。村人と信仰を守り抜くと決めた庄屋一族の覚悟。そして、村人の信仰を見て見ぬ振りを続けた周囲の村や寺院の心意気。度重なる小さな奇跡は何か大きな力によるものだと思わざるを得ない。


禁教の時代、4000人の信徒が殉教している。江戸は決して平和な時代ではなかった。幕府のしたことは最後の方ではもう意味を失っていた部分があって、ナチスのユダヤ人虐殺と大差ない。
あの時代、農村で搾取され虐げられた生活を耐えるのに、あの教えは必要だった。だからあれだけ一気に広まり根付いたんだと。

この物語には、直接的に悪者が登場しない。
責め苦も虐殺も、そんな時代だった、そう割り切っている。
なので、読後感が爽やかなのが救いだ。

秋に予約したこの本が、降誕節の今図書館から回ってきたのにも意味があるような気がしてくる。

自分はどうだろう。

慣れた仕事を辞めてまで敢えて奉仕職に就いた、あのときの思いを忘れていないか。

丁寧に暮らそう。と思った。


三渓園がじつはすごい場所だった話。

2016-05-24 15:25:02 | 

この本、「横浜王」というのは原三渓のことです。
妹が「三渓先生ステキすぎるから是非読んで!」としつこくすすめるので借りてみた。

原三渓、横浜市民なら名前だけはぜったい知ってる。
三渓園つくった金持ち。それ以上でもそれ以下でもない(笑)
いちおう歴史好きなワタシですら、生糸で儲けて富岡製糸場にもかかわってことくらいしか知らん。
三渓園は何かにつけて(地方から来た友人案内したりとか)訪れてるけれど、
あちこちから建物移築したり美術品収集したり好き放題道楽してんなー(((o(*゜▽゜*)o)))…と、どちらかというといけすかねぇ金持ちくらいに思ってた(笑)

。。。。。ぜんぜんちがった!!!

まったくおどろくほどに無欲な、私財を投げ打って横浜の復興ために尽くした人だった。
次の時代のために芸術家や文学者を育て、日本の芸術を残すために奔走した人だった。
そして震災で困窮する市民やとくに親を亡くしたこどもたちのために居場所を作った人だった。
横浜を愛するものとして知らなかったことがはずかしい(T ^ T)

で、熱がさめんうちに!!さっそく妹と三渓園いってきましたよ!!
何度もきてるはずなのにやたら浮き足立つオタク姉妹(笑)
何度も見たはずなのに、見るものすべてが輝いて見える(笑)
今までスルーしてきたものすべてじっくり鑑賞して3時間。
ここに配置されたものにはすべて意味がありました。
単なる成金の道楽ではなかった。はんせいしました。

この本自体はざんねんながら文章がチャラくて。。。。( ;´Д`)
内容はいいんだけれど。
ライトノベルか、失敗した翻訳小説みたいだった💦
タローがいうには、「キャラが立ち過ぎてるから漫画みたいなんじゃないの?」
んーなるほどするどいね。登場人物いちいちキャラ濃いわ。

構成はよかった。
主人公は若手実業家(チャラ男)で、原三渓の弱みを握って金を出させたい。
周辺人物に接触して三渓の黒い噂をゲットしようとするも、どいつもこいつも褒めちぎるばかり。
どこをつついてもボロが出てこない。
一体原三渓とはどんな人物?
満を持してラストに登場する三渓先生がステキすぎる。

三渓園はこれからも四季折々の美しさを愛でに訪れたいとおもいます( ´ ▽ ` )ノ


「海を渡ったサムライ魂」…アメリカ人が描くジョン万次郎

2014-01-31 21:00:17 | 

何ヶ月か前、テレビの情報番組でとりあげられていて気になっていた本です。

地元の中学校の図書館で偶然借りることができました!!

なんと、まだ誰も読んでない!!もったいない!!何をやっとるんだ中学生!!(笑)

 

井伏鱒二やら山本一刀やら、日本でも有名どころが次々と題材に選んでいる中浜万次郎。

江戸時代末期(幕末一歩手前)、アメリカに渡ったはじめての日本人。

その人生自体がドラマチックすぎるので、誰が書いてもまあおんなじようにおもしろいわけなんだけれど(^^;)

アメリカ人が小学校高学年~中学生くらいの青少年をターゲットに書いたというのと、

しかも何ヶ国語にも翻訳され、おかげで今世界中でジョン万次郎が有名人になっているらしい(笑)というので!!

オタクで歴女で日本をこよなく愛する腐女子といたしましては読まないわけにはまいりませんよね(^o^)/

 

感想はもう「スゴイ。」の一言に尽きるんですが、

なにがスゴイって、日本の少年の心の機敏をものすごく丁寧に描いている。

はじめて出会う物事について万次郎が示す反応が、いちいち「150年前の、日本の、土佐の、漁師の少年」だということ。

このアメリカ人女性は、どうしてこんなに「150年前の、日本の、土佐の、漁師の少年」になりきることができたのかな。

こんなに丁寧に、しかも鮮やかに描いていただいてありがとうと言いたくなるくらい。

 

万次郎の人生はほんと誰がどう見てもドラマチックで幸運でワクワクする素材にあふれているんだけれども、

その上にこの作者と出会って、ますます魅力的なキャラになって、世界中の子供たちから賞賛されて、ほんとうに幸運な男だね(笑)

これね、宮崎駿が映画にしてくれたらいいのにね(^^;)

ていうか自分で漫画にしてみたいな!!あはははは!!

ひさしぶりにアガル↑小説でした♪

 

 

 


こちらがわの戦争、あちらがわの戦争。…『本泥棒』と『第八森のこどもたち』

2013-12-16 16:15:23 | 

この秋、海外の戦争児童文学を2冊読みました。

ひとつは『本泥棒』 第二次大戦下のドイツのおはなし。

敗戦間近の郊外都市で、身寄りのない女の子が養子縁組先の両親や近所の家族、友人、隠れユダヤ人らとともに終戦を迎えるまでの物語。

舞 台がドイツなので、日本の終戦間近の頃のように空襲でめっためったにやられ、主人公とユダヤ人以外はリアルに全滅。

児童書なのに身もフタもない内容でした(^^;)

一方、『第八森の子供たち』こちらはドイツとの国境付近のオランダが舞台。

ドイツに侵攻されたり軍隊の通り道になったりはするものの、物語の舞台が田舎の農村なため、どこか「対岸の火事」的。

作者の体験をもとに書かれたものだそうで、描写はかなりリアルだけれど、

たまに流れ玉が飛んできたりドイツ兵が食べ物を要求してきたりする程度で、かくまっていたユダヤ人一家以外は、終戦まで家族全員無事。

児童書らしく、おだやかにかつ正面から戦争をとらえた(敢えて泣かせ文学にしてないところがいい。)良書でした。

戦争文学、戦争映画というとやはりドイツを舞台にしたものに触れる機会が多く、

主人公がドイツ人にしろユダヤ人にしろただただ悲惨で・・・という印象ばかり残るんだけれど、

(『本泥棒』のほうはそういうかんじ。お涙頂戴的ではあ る。)

同じ戦争の同じ時期、国境をはさむだけでこうも見方が変わるのか…と。

屋根にのぼるとかすかに見えるドイツの、見えないし手で触れられない戦争が、ひたひたと森の奥から近づいてくる感覚…

この「静かな不安」が伝わるような語り口は実に秀逸だとおもいました。

オランダは地理的にドイツとイギリスにはさまれており、 ドイツが開発途中だった大陸弾道弾(テポみたいなやつ???)がイギリスに到達せず落ちてくることがあったとか!

V1ミサイルというのだそうだけれど、そんなのぜんぜんしらなかった。

そういえば「戦場のピアニスト」でめためたにされたのはポーランド。

いろいろな国の立場からあの戦争を眺めてみると、またちがった発見があるんあるんだろうなぁ…とおもいました。

うっかりすると我々は、今もどこかで戦争が続いてることを忘れてしまうよね。

それを忘れないでいること、いつも気にしていること、あの戦争を子供たちにつたえていくこと、大切だなあとおもいます。

・・・まあ、できることなんかそんなにないけどさ。

どちらもとてもいい本ですのでおすすめです(^o^)/

『本泥棒』はそうとう重たいので、再起動に時間がかかりますよ~~ねんのため!!(^^;)


りょうかんさまとフランチェスコ・・・・・・

2013-04-19 06:40:41 | 
教皇さまが「フランチェスコ」になったので、
フランチェスコってどんな人だったんだろう?とおもいまして

『アシジの貧者』 ニコス・カザンツァキ

という本を読んでみました。
伝記小説・・・・
忠実な兄弟レオーネが語るフランチェスコの苦悩の生涯。ってかんじの内容でした。
おもしろかった。
レオーネ、「もー正直こんな変人ついていけねぇよ!!」と常に逃げ出したいような想いをかかえながら、
それでもフランチェスコに魅せられてしまってどうしても離れられない・・・っていう(ToT)
究極の師弟関係を見たよ・・・・

で、

「なんか・・・・この人良寛さまに似てる・・・・」

と思ったんですよ。

(※良寛さま→わがふるさと新潟の英雄!!禅宗界の聖人!!)

清貧とか、平和とか、自然だいすきとか、山に篭るとか、庶民の味方とか、
ほんとにもういろんな面で!!!
宗教違うのにオモシロイネ(^o^)/

・・・・と思ってたら、おなじこと考えてる学者さんがけっこういて、
そういう論文ががたくさんあるようです♪
そんな中で、偶然手に入ったやつを読んでみました。

『良寛と聖フランチェスコ』 石上・イアゴルニッツアー・美智子

著者はフランスで仏教とキリスト教の比較研究をされてる方のようです。
二人の間には6世紀も時間の隔たりがあり、生息地も東西かけ離れているのにもかかわらず、
まったくその共通点の多さはワタシが思いついた以上でした!!

二人とも、おのおのお宗教の余計なかざりをすべて捨て去って、
その本質だけを忠実につらぬいたこと。
その結果、本質である「愛の実践」にたどりついたこと。(仏教でいうと「慈愛」になりますか?)
仏教の中でも禅はもともとそういった思想をけっこう表にだしてますが、
キリスト教世界では稀だということ。(おそらくフランチェスコだけではないかという話。)
残念ながら二人の間に接点はないが、(良寛がフランチェスコの人となりを伝え聞く機会はなかったようです。)
キリストの教えを徹底的に実践したフランチェスコのほうが、究極の形として偶然仏教の思想に近づいていったんではないか。

すごいおもしろい!!
壮大ですねッッ(^o^)
久しぶりにもりあがりました!!

この本では、二人について以外にも、良寛が暮らしたあたりの「隠れキリシタン伝説」などにも触れられており、
歴史好きにはかなりツボな内容でした♪
そういえば、新潟のうちのほうに「マリア観音」とかあったな・・・・
今度帰ったときさがしてみよう・・・・

フランチェスコにいっきに親近感が沸いたので、映画とか観てみようかなとおもいます♪
なんか有名なのがあるとかないとか・・・・♪

自分なりに、もうちょっと二人のことを考えてみようかなーと思いました。