A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

忙しさに追われると気軽に聴けるアルバムについつい手が伸びる

2007-04-20 | MY FAVORITE ALBUM
GRADY TATE / After the long drive home

クリードテイラーのプロデュースしたアルバムのドラムの常連がGRADY TATEだ。
WESの「A DAY IN THE LIFE」の軽快なリズムはTATEのドラム。
リーダーというより、スタジオワークでどんなセッションでも確実に何でもこなすのが彼の特徴かもしれない。JAZZではないアルバムのクレジットをふと見ると、TATEの名前があることも多い。TATEの加わったアルバムの数はいったい何枚あるのだろう。
数からいえば、きっとドラマーのベスト5には入るだろう。

このTATEも実は歌が上手い。
BUDDY RICHの歌よりは低めのバリトン。温かみがあり、スローな中にもどこかリズム感があり、語りかけるような歌い方はジョニーハートマンをソウルっぽくした魅力がある。

もともと子供の頃から教会で歌を歌っていたが、12歳の時に喉を痛めて歌を止めたいたらしい。その後、独学で始めたドラムが本業になってしまったとは皮肉なものだ。
彼は陸軍に入っていた時も、ドラムを叩きながら歌を歌うのを夢みていたそうだ。演劇の勉強をして一時教職にもついていたのを、ドラマーとして発掘してNew Yorkに連れて来たのはWILD BILL DAVIS。
そして、その才能を見抜いて自分のBIG BANDに起用したのがQuincy Jones。Quicyの人材発掘そして育てる能力には感心する。1963年のことだった。
そしてCreed Taylerとの出会いで、その後のTATEのとんとん拍子の活躍の道筋が作られるのだ。
New Yorkに来ても、演劇を学んでいたらしいが、自分の想いとは異なりドラマーへの道がどんどん開けてしまったのかもしれない。
人のつながりで、生き方自体がどう変わっていってしまうか。人の一生とは偶然の積み重ね。不思議なものだ。

このアルバムは、1970年の録音。
「A DAYIN THE LIFE」の3年後。セッションドラマーとしては、すでにVERVE、A&Mなどでテイラーのプロデュースしたアルバムを通じて確固たる地位を得ていた。

ここでは、全編ボーカリストとしてのTATEの側面が聴ける。
もともと、歌手になることを夢見ていたTATEにとって、このレコーディングはやっと念願がかなったものかもしれない。
しかし、レーベルのSkyeも短命に終わってしまった。
メジャーレーベルで本格的に売り出していたら。そのまま、ベンソンのようにボーカリストとしての人生を送っていて彼の人生も変わっていたかもしれない。
もっとも、最近、またVocalアルバムもまた出しているようなので、結局、夢は叶えられているのかもしれない。2つの人生を歩めたのであれば最高の幸せものだ。

Prologue
After The Long Drive Home
Follow The Path
I Can Deliver
I Think It’s Going To Rain Today
There’s Nothing Between Us Now
In My Time
Interlude
Bridges
I’ll Try Again
Suicide Is Painless(Song From M*A*S*H)

Grady Tate (vol)
Arranged & Conducted By Harold Wheeler

James Buffington (frhrn)
Phil Bodner, Jerome Richardson, Walter Kane, Romeo Penque (reeds)
George Ricci (cl)
Jay Berliner (g)
Ron Carter (b)
Phil Kraus (perc,vib)
Grady Tate (vcl)
Gene Orloff, Aaron Rosand (vln)
Alfred Brown (viola)
Margaret Ross (harp)

Recorded A & R Recording Studios; New York City: April 1970
コメント (2)
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