やさいの家

小さな日常・小さな風景

記憶の中の味

2014-12-07 20:58:16 | 日記
じゃがいもをストーブの上で焼くと、思い出すことがあります。

それは、以前働いていた職場のすぐそばにあった、
「蝦夷」という名前の小料理屋さんで食べた、じゃがいものオーブン焼きのことです。

「蝦夷」は、激しく車の行き交う道路沿いに面した、小さなお店でした。

今はもう失くなってしまって、記憶の中で思い出を辿るほかは、
なにも出来ないのですが・・。

すごく狭い入口。
中に入るとやっぱり狭いけど、ほんわりした優しい空気に包まれているような、
そんなお店だったように思います。

「蝦夷」と言う名前のお店だったけど、
女将さんは北海道出身じゃなかったらしい・・・。

いつも常連さんでいっぱいのそこは、私の職場の人達にとっても、
とても大切な場所だったようでした。

疲れるとふらりと寄って、ごはんを食べてお酒を飲んで。

時々連れて行ってもらったことは、良い思い出です。

そこでは冬になると、大きなじゃが芋のオーブン焼きが出てくるのです。

すごく大きなじゃがいもを、丸ごと焼いて、ほくっと半分に割って、
真ん中にどっさりバターをのせて、出てくるのです。

ほくほくのじゃがいもを、熱いうちにみんなで頬張る。

今でも、じゃがいもをストーブで焼くたびに、
あの時のことを思い出します。

    

熱々の湯気や、じゃがいもやバターの香り。

その時の照明の感じや、一緒に出してもらった大きなホッケの焼いたののことや。

いつもじゃがいもを丸ごと焼くと、その時のことを思い出します。

そして、あの時の感動的だった美味しさには及ばないなあと、
そんなことを思うのです。

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