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推理小説と論文試験

2005-04-02 11:15:00 | 勉強のやり方
 吉田ゼミではゼミ終盤は予備校の答練などでは決して出題されるようなことはない、楽しい(?)問題を出題しました。
 (最近は架空の事件としてタイトルを問題文の冒頭に付するようになっていました。)

 私は論文試験の問題というのは出題者と解答者とのコミュニケーションであるべきという思いがあります。論文問題には出題者が投げかける出題の意図を解答者に的確に把握して欲しい、その中で特許法等の理解が十分に伝わる答案を書いて欲しいという思いがあると考えています。たまには出題者が意図していなかったポイントに気がつくかもしれない。それは出題者と解答者のまさに知恵比べという感覚かもしれません。

 そういう意味で、私が出題の参考にしているのは推理小説の手法です。 「吉田先生の問題を解くときにはまるで推理小説を読んでいるような面白さがあります。」と、ある受験生に言われたときには、推理小説を意識して問題を作っていたことを見破るなんてすごいなとドキッとしました。

 推理小説では、ストーリーを成り立たせるための材料をいろいろなところに事前にちりばめておくスタイルが原則的なスタイルですね。事件を成り立たせるストーリーのために必要な材料が事前にきちんと示されているのです。
 後になって、「あのときのあの記載はこの場面を導くためのヒントだったのか。」と気づくことがあるわけですが、凡人にはなかなか見破れません。言われてみるとその場面の記載は確かにそのストーリーが成り立つために必要な記述だったと思うのですが、読んでいる間は何気なしに見送ってしまうのですね。「ピンとくるアンテナ」の性能が悪いのです。

 この感覚は試験の解答に際しての感覚と同じであると考えるに至りました。注意深く問題を読む、そこらにちりばめられている条件群から一つのストーリーが成り立つのではないかと推理する。
 結論において妥当でなくなっていないか。問題文の条件から導いたストーリーに無理がないか。この条件は解答のどこに生かすべきなのか。ピンとくるアンテナの性能は、自分が持っている専門知識の習熟度そのものです。

 よし、このストーリーが出題者の意図に違いない。しかし、少し懸念があるな。だから違う可能性にも少し触れておこう。

 自分が勉強してきた専門知識と出題者の意図する方向性との知恵比べ。
 勉強がそういう領域になってくるときっと面白くなってくるでしょう。

 短答式試験の勉強でも同じような場面を経験することでしょう。出題者が用意する「トリック」にだまされないように注意しましょう。信じることができるのは自分が今まで勉強してきたことだけしかなくて、その知識と練習問題を積んだ経験とによって、ひとつひとつ問題(事件)を解決していくのですよ。そして迷宮入りしそうな事件でも、最後に頼れるのは「条文」ですね。条文が我々にとって譲れない最後の砦なんだという気構えでぜひ進んで下さい。

吉田
 




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