★弁天喜楽会囲碁★

     

平行型第四局

2006-10-04 21:55:53 | 布石の順位と着点
2006/10/5(木) 


布石の順位と着点
地の大小によって勝敗が決まる一局の碁は、一般に(序盤)中盤、終盤(ヨセ)の三段階を経て終局に至るのが状態である。
中盤戦を有利に導いて有終の美を飾るためには、序盤戦で相手をリードしなければならない。一局の基礎工事の段階とも言うべき布石時代は、中盤戦を有利に戦うための根拠又は勢力争い。言い換えれば縄張り争いの場といっていいでしょう。


平行型第四局 (白)向かい小目
白2,4の向かい小目は流行型の一つである。
黒5の一間高ガカリは黒1,3の勢力と関連して中央の厚みを意識した趣向だが、黒6と小ケイマにカカってももちろんさしつかえない。白6のツケに対し、黒7白8と交換したまま黒9と左下隅に転じたのは布石の機略である。
第一譜(1~18手)


一譜の黒9とかカル手で定石通り1図の黒1とツギ、白2の受けと換わって黒3とヒラけば白4とシマられる恐れがある。黒1とツグ手で黒イとカケツギ、白2の後黒ロとヒラいても白4とシマられる。黒3とヒラく手で2図の黒1とカカれば白のシマリは妨げられるが二図の白2によってヒラキと根拠を失う黒三子の将来の負担が大きい。
1図

2図


一譜の白10とツケれば白14のトビまではまず必然。そこで黒15と堅くツゲば白16の受けも省略できないから黒17の一手で上下からのヒラキを兼ねるというのが黒の注文である。
したがって黒17までの布石は黒に働かれたようだが、上下両隅に実利を占め、先手を取って白18の割打ちに転じたところに白も満足があるわけである。
但し、白が黒の言いなりになることを嫌えば、白10とツケる手で白イとケイマに受ける変化や白ロとハサム型、が有り、3図の左上に転じて白1とキルことも可能である黒2以下はその後の応接の一例を示したが、別の碁になると言うだけで、よしあしはいえない。なお一譜の黒17が絶対に逃せぬ大場であることは4図の白1によって上下の黒三個が一時に根拠を失う不利を想定すれば明らかである。また、黒17はこう高く構えて左辺の規模の拡大を図りたい気分のところで5図の黒1の第三線は白2のボウシによって位を低くされる点に不満がある。
3図

4図

5図




第二譜(19~25手)
黒21のコスミでは6図の黒1と広いほうに発展するのが普通だが、白2のハシリが第二線ながら根拠に関する要点で、白二子を攻める楽しみが失われることになる。黒21は右上隅の実利を守ると同時に白二子の根拠を奪って攻める狙いを後に残した意味だが、遠く左上隅の白の構えが堅固で近寄りがたいことも、6図の黒1と打つ気分になれなかった理由のひとつである白22のカカリは黒22の理想型を妨げた意味で、黒23の受けと換われば不満はない。その黒23は絶対の守りで、白イのハシリを許すことはできない。

6図

7図


要点
白の態度  第二譜の白24は黒の上辺進入を迎えて戦機をつかもうとする白の態度である。7図の黒1と打ち込めば白2、白4と自然に手順で右辺の白も強化されるし、黒二子を攻める楽しみ残る。

第二譜の白24では上辺に関する限り 8図の白1と囲うほうが勝っているが、左上方面の白の陣容が堅いので、白の勢力が上辺に重複する嫌いがある点が不満である。後に黒イのトビを利かされて白ロと受けるのでは白つらい、黒25のコスミは黒19と大ゲマとコンビを組んだ三手のしまりと言う星の理想形である。
8図


要点
第二譜の左下方面の備えが堅く白△の切っ先が低く構えているので下辺の大場の値打ちが低い。 黒25でロやハに急ぐ気になれないという布石感覚に注意したい。


第二譜の黒25とシマる手で9図の黒1とヒラけばすかさず白2と打ち込まれて隅をあらされる。黒15までの結果は黒1の狭いヒラキが不満である。黒5では10図の黒1とハネるほうが下辺の黒地は得だが、白イのキリに備えて黒15とカケツイだ外勢の構想も、黒△が狭いのでこの形も黒やや不満である。
9図

10図


11図の黒1と星下まで進めるのも左下隅の白に響かぬ天で疑問の感覚といえるが、ここで前例道り白イと打ち込むのは黒ロと押さえられて黒1のヒラキが広いだけ10図より劣ることになる。また白ハとカカルのも黒ロとシマられて感心しない。
11図


12図の白1のツケがこの黒模様の中心点に当たる侵略の急所である。黒2と隅を守れば白3のヒキから白5と二間にヒライてハサミを兼ねる。
12図


13図の黒2と外からオサえれば白3以下9と隅を荒らしていい。
13図


14図の黒△と基地を固めた後では時機を見て黒1と発展するのが下辺の好転になり15図の白1の四間ギラキぐらいが相場と言うことになる。
14図

15図




第三譜(26~30手)
白26のトビは上辺を広げつつ右辺の白二子に声援を送った積極的略装である。上辺だけについていえば白26で白イと囲う方が堅いが、守勢一方で黒に響かない。
黒27の進出は右上隅の強化と言うより右辺の白二子の攻めを見た方針である。



黒27を省けば16図の白1と封鎖されて外勢を厚くさせるばかりでなく、白イとオクいじめなどを見られて隅の味が悪い。
16図


第三譜の白28のトビは右辺を強化すと同時にしろロの打ち込みを狙った意味、黒29のトビに対し17図の白1などと右辺に備えれば黒2の打ち込みは必死で白3とボウシしてもつかまらない。黒14のノゾキに対して白イとツゲば黒ロのオシが厳しい。
17図




第四譜(31~36手)
黒31のオキは二間開きの根拠を侵す常用の手方である。


この時点で黒31を急いだのは18図
時期を失して白1とコスマれるとの差が大きいからで、その白1に対して黒イとオサえるのは後手だしオサえなければ白ロとトビ込まれて根拠があやしい。
18図


第三譜の黒31のオキに対して19図
白1,3とつながれば黒2,4と実利を占めながら白の根拠を奪って攻勢に転じようという作戦。その黒の意図を察して第三譜の白32と打ち込んだのは白36のツケを含んでサバこうと言う考えである。白32の打ち込みに対する黒33のオサエは一種の決まり手である。この手で20図の黒1などと封鎖して白2と隅の実利を荒らされては黒の損が大きい。
19図

20図




第五譜(37~52手)
黒37のノビはこの一手。


この手で21図の黒1とハネるのは白の注文通りで、白2とキリチガエる筋で楽にさばかれる。本図はその変化の一例だが、白20までと進出されては黒成功とはいえない。
21図


第五譜の黒41とノビる手で32図の黒1と突き当たれば右下の実利は守れるが、白2が痛烈なタタキで、多くの場合、このようなアテを許すことはできない。黒51では黒52とノビれおくほうが賢明であった。
22図