なぜ人はマイホームを欲しがるのだろうか?
人生を通じて今まで特にマイホームが欲しいとは思ったことがなかった。家賃を払って住もうが、家を買ってローンを払っていこうが、同じ家に住んでいるなら、実質上は同じことだと思っていた。
でも、実際はかなり違う。
借家に住んで家賃を払っている場合、何年払い続けてもその物件が自分のものになることはない。そして、その家賃も通常は割高である。しかも、物件は大家さんの所有物であるから、好き勝手にリフォームしたりすることはできない。また、大家さんから立ち退いてくれという要望があった場合、一定期間内に次の引越し先を探し、引っ越さなければならない。
色々と問題は多い。
これらの問題の多さに比べると、その利点も少ない。最大で唯一の利点は、引越しの自由度の高さである。住んでいる物件に問題があったり、飽きたりすれば、引っ越せばいいのである。住む所を頻繁に変えたい人にとっては、借りて住むというスタイルは身軽だし、大いにメリットがある。
ブラジルでアパートを借りるには、大きく分けて2つの方法がある。1つは家主さんと直接賃貸契約を結ぶ方法で、もう1つは不動産屋を通じて間接的に家主と賃貸契約を結ぶ方法である。
契約を結ぶ場合に問題となるのは、日本でも同じだが、借主に支払能力があるかどうかの査定である。どこの家主も支払いが滞ってしまうような支払能力が低い借主には貸したくないのが心情である。
不動産屋を通じて借りる際の査定基準は、借主の給料が家賃の5倍以上であることである。つまり、家賃が3万円であれば、借主の給料は最低15万円は必要であり、家賃が5万なら、給料は25万円を超えていなければならないということである。借主は収入を証明する書類を不動産屋に提出しなければならない。正直、結構厳しい査定基準だと思う。
さらに、借主に保証人がいない場合、借主は支払えなかった分の保険代として、毎年およそ家賃2か月分に相当する金額を納めなければならない。日本の敷金や礼金と違って、このお金は掛け捨てで、一切戻ってこない。毎年家賃を14か月分払っているのと同じことであるから、借主にとってこの負担はとても大きい。
この余分な2か月分の保険代を払いたくなければ、不動産を1軒持っている保証人を2人見つけるか、不動産を2軒以上持っている保証人を1人見つけて、不動産屋に適正なる証明書を提出する必要がある。借主が家賃を支払わない場合、不動産屋から支払請求が保証人にいくわけであるから、誰も保証人になりたくないという状況は日本と全く同じである。
アパートの大家と直接交渉する場合は、基本的に保証人は必要ない。保険金は存在しないし、家賃に対する融通もきく。お互い信頼関係さえあれば、どんな条件で契約を行っても基本的には自由である。しかし、普通は慣例に従って、当事者間で基本的な賃貸契約書に則って行う。ただ、規則が明確でない代償として、家主側にも借主側にもリスクはある。
ブラジルでは家賃の見直しは一般価格指数を使って毎年行われる。昨年度は約8%。つまり、家賃が5万円であれば、翌年は5万4千円に値上げされるわけだ。そして、その翌年の一般価格指数がまた8%であれば、前年の家賃に8%が上乗せされて、5万8320円となっていく。
今のブラジルは高度経済成長時の日本と同じ状況で、賃金も含めて、すべての物価が上昇していっている。銀行における利子は高いが、インフレ率を考慮すると、実際の利子はマイナスという場合もある。こうなると、銀行にお金を預けて利回りで儲けるより、不動産を投資目的で購入して、不動産価格の上昇を期待したほうが賢いと言える。
僕が現在住んでいるアパートは住み始めて6年ほどだが、この間にアパートの価格は2倍に跳ね上がっている。築27年の中古なのにである。最近のアパートは建坪面積が非常に小さいが、僕が住んでいるような古いアパートは広いのが特徴である。従って、新しさより広さ・快適さを追求する人からすると、高くても買う価値がある。
自動車の購入に関するブログでも書いたが、日本は自動車も不動産も新車・新築と中古では価格が大きく違うが、ブラジルの場合新しいということよりも、実際の使い勝手・スペックがどうかということの方が評価されて価格に反映されるため、中古であっても物件内容さえいいものであれば高く売れる。
僕がブラジルに来伯して以来、ブラジルの不動産物件、物の値段は下がり知らずである。サブプライム問題による世界恐慌で、アメリカの不動産、日本の不動産は軒並み価格を下げている。しかし、ブラジルはこのような経済状況下においても、値段はなお上がり続けている。
それを考えれば、不動産の購入は安全な投資方法の1つと言えるかもしれない。ただし、ブラジルにおいてもいつかこの住宅バブルがはじけると信じて疑わない。日本の土地神話がバブル経済終焉時に崩壊したように、ブラジルでも必ず起きる。問題はいつ起きるか、どのように起きるかである。
ただ、どちらにしろ、自分の棲家を確保しておくということは生活防衛手段として有効であることは確かだ。何事にもリスクはともなう。
自動車会社ホンダの創業者、本田宗一郎の言葉。
「最大のリスクとはリスクを負わないことである」
人生を通じて今まで特にマイホームが欲しいとは思ったことがなかった。家賃を払って住もうが、家を買ってローンを払っていこうが、同じ家に住んでいるなら、実質上は同じことだと思っていた。
でも、実際はかなり違う。
借家に住んで家賃を払っている場合、何年払い続けてもその物件が自分のものになることはない。そして、その家賃も通常は割高である。しかも、物件は大家さんの所有物であるから、好き勝手にリフォームしたりすることはできない。また、大家さんから立ち退いてくれという要望があった場合、一定期間内に次の引越し先を探し、引っ越さなければならない。
色々と問題は多い。
これらの問題の多さに比べると、その利点も少ない。最大で唯一の利点は、引越しの自由度の高さである。住んでいる物件に問題があったり、飽きたりすれば、引っ越せばいいのである。住む所を頻繁に変えたい人にとっては、借りて住むというスタイルは身軽だし、大いにメリットがある。
ブラジルでアパートを借りるには、大きく分けて2つの方法がある。1つは家主さんと直接賃貸契約を結ぶ方法で、もう1つは不動産屋を通じて間接的に家主と賃貸契約を結ぶ方法である。
契約を結ぶ場合に問題となるのは、日本でも同じだが、借主に支払能力があるかどうかの査定である。どこの家主も支払いが滞ってしまうような支払能力が低い借主には貸したくないのが心情である。
不動産屋を通じて借りる際の査定基準は、借主の給料が家賃の5倍以上であることである。つまり、家賃が3万円であれば、借主の給料は最低15万円は必要であり、家賃が5万なら、給料は25万円を超えていなければならないということである。借主は収入を証明する書類を不動産屋に提出しなければならない。正直、結構厳しい査定基準だと思う。
さらに、借主に保証人がいない場合、借主は支払えなかった分の保険代として、毎年およそ家賃2か月分に相当する金額を納めなければならない。日本の敷金や礼金と違って、このお金は掛け捨てで、一切戻ってこない。毎年家賃を14か月分払っているのと同じことであるから、借主にとってこの負担はとても大きい。
この余分な2か月分の保険代を払いたくなければ、不動産を1軒持っている保証人を2人見つけるか、不動産を2軒以上持っている保証人を1人見つけて、不動産屋に適正なる証明書を提出する必要がある。借主が家賃を支払わない場合、不動産屋から支払請求が保証人にいくわけであるから、誰も保証人になりたくないという状況は日本と全く同じである。
アパートの大家と直接交渉する場合は、基本的に保証人は必要ない。保険金は存在しないし、家賃に対する融通もきく。お互い信頼関係さえあれば、どんな条件で契約を行っても基本的には自由である。しかし、普通は慣例に従って、当事者間で基本的な賃貸契約書に則って行う。ただ、規則が明確でない代償として、家主側にも借主側にもリスクはある。
ブラジルでは家賃の見直しは一般価格指数を使って毎年行われる。昨年度は約8%。つまり、家賃が5万円であれば、翌年は5万4千円に値上げされるわけだ。そして、その翌年の一般価格指数がまた8%であれば、前年の家賃に8%が上乗せされて、5万8320円となっていく。
今のブラジルは高度経済成長時の日本と同じ状況で、賃金も含めて、すべての物価が上昇していっている。銀行における利子は高いが、インフレ率を考慮すると、実際の利子はマイナスという場合もある。こうなると、銀行にお金を預けて利回りで儲けるより、不動産を投資目的で購入して、不動産価格の上昇を期待したほうが賢いと言える。
僕が現在住んでいるアパートは住み始めて6年ほどだが、この間にアパートの価格は2倍に跳ね上がっている。築27年の中古なのにである。最近のアパートは建坪面積が非常に小さいが、僕が住んでいるような古いアパートは広いのが特徴である。従って、新しさより広さ・快適さを追求する人からすると、高くても買う価値がある。
自動車の購入に関するブログでも書いたが、日本は自動車も不動産も新車・新築と中古では価格が大きく違うが、ブラジルの場合新しいということよりも、実際の使い勝手・スペックがどうかということの方が評価されて価格に反映されるため、中古であっても物件内容さえいいものであれば高く売れる。
僕がブラジルに来伯して以来、ブラジルの不動産物件、物の値段は下がり知らずである。サブプライム問題による世界恐慌で、アメリカの不動産、日本の不動産は軒並み価格を下げている。しかし、ブラジルはこのような経済状況下においても、値段はなお上がり続けている。
それを考えれば、不動産の購入は安全な投資方法の1つと言えるかもしれない。ただし、ブラジルにおいてもいつかこの住宅バブルがはじけると信じて疑わない。日本の土地神話がバブル経済終焉時に崩壊したように、ブラジルでも必ず起きる。問題はいつ起きるか、どのように起きるかである。
ただ、どちらにしろ、自分の棲家を確保しておくということは生活防衛手段として有効であることは確かだ。何事にもリスクはともなう。
自動車会社ホンダの創業者、本田宗一郎の言葉。
「最大のリスクとはリスクを負わないことである」
ブラジルに住みたいのですが、なにか助言があればお願いします。