日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(西原理恵子著)を読んで

2010年02月08日 01時43分42秒 | 日本事情
 
 両親が日本から送ってくれた『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(西原理恵子著)という本を読んだ。

 僕は恥ずかしながら、今まで著者の西原理恵子氏のことは全く知らなかったが、どうやら日本ではかなり著名な漫画家のようである。外国で10年以上も生活しているので、日本の流行に遅れてしまっている…

 本書ではお金の話を中心に、彼女の半生に関するエピソードがサラーッと書いていて、すぐ読めてしまうのだが、彼女の人生は普通の人の人生と比べて、とにかく濃度がコイ!!

 3歳でアルコール依存症の実父と死に別れ、母親はその後何度か再婚を繰り返し、2人目の義父はギャンブル依存症で西原氏の大学受験日に自殺した。

 一方、西原氏自身は、高校時代に飲酒により退学処分を受けたが、それを不当な処分として学校側を提訴するなど、普通の高校生では考えられない行動力を披露する。

 その後、高知県から上京して、美大を目指し予備校に入るが、予備校内のテストでは最下位を取る。自分の絵の実力を思い知りながらも、「絵で食べていく」という夢を諦めきれずに、「最下位の自分だからこそ、やっていける仕事があるはずだ」と自分を信じ、何十社もの出版社の門を叩き、最終的にはエロ雑誌でカットを描く仕事をもらい、プロとしてのキャリアを始める。

 その後、彼女の仕事ぶりが大手出版社である小学館の編集者の目に留まり、成功への道を歩み始めるのだが、西原氏自身が本書で述べられているように、「自分自身は絵が下手で、最下位の実力しかないと自覚していたから、選り好みせずに来た仕事は、自分なりに工夫を凝らして何でもやった。」そうである。

 人が生きていくためにはお金を稼ぐ必要がある。お金を稼ぐということは、誰かがお金を払ってもいいサービスをその代償として提供することである。そして、そのサービスというのは、基本的には需要さえあれば何だっていいのだ。

 世の中の多くの人は、自分が何をやりたいかを見定められまま大人になってしまう。親から「大学だけは行っておけ」と言われたから大学は卒業するが、大学4年生になっても自分が何をしたいかがはっきりしない。

 自分が何をしたいか、何ができるかが分からないから、一番安全で窓口が広い大企業のサラリーマンなんていう仕事を第一希望に就職活動したりしてしまう。でも、冷静に考えれば、自分が何をしたいかが分からなかったら、どう考えたって自分がやりたい仕事が見つかる分けないのだ。だって、自分がしたいことがイメージできていないわけだから。

 西原氏は自分に絵の才能がないのは自覚していた。でも、絵を描いて生活していきたいというイメージは彼女の中で決まっていたし、その夢をかなえる情熱が才能のなさを上回っていたのである。だから、多くの出版社に断られても、ハングリー精神で頑張れたし、エロ雑誌のカットという普通の女性なら嫌がる仕事でも喜んでできたわけだ。

 もちろん、誰も彼もが彼女のように努力すれば成功できるわけではない。情熱だけでは成し遂げられない事も存在する。でも、自分が誰よりも本人の望みを知り、自分自身を信じてあげ、行動に移さなければ、何事も成し得ない。

 だからこそ、自分が人生でやりたい事をして生活していけている人というのは、それだけで人生の成功者であると言えると思う。

 仕事に関して悩まれている方、生きる勇気・元気をもらいたい方には是非読んでもらいたい一冊である。

「信じれば、夢はきっと叶う」(*行動することが大前提だが)

 

 P.S. 同著に対するプレビューはこちら



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