ここのところ、翻訳の仕事が立て続けに舞い込んだ。
ありがたいことである。
翻訳の仕事において、一番大切なのは2つあると思う。翻訳の正確さと日本語としての読みやすさである。
翻訳された文がいくら原文に忠実で正確であっても、日本語として読みづらかったり、理解しにくければ悪訳と言える。
逆に、日本語として読み易くても、意訳され過ぎてオリジナルの原稿の内容から逸脱してしまっては、本末転倒である。
翻訳家の仕事とは、正確さと日本語らしさがちょうど交わる接点を見つける作業なのではないかなと僕は考えている。
僕の翻訳作業の流れは以下の通りである。
10ページの原稿の翻訳を5日で仕上げる場合
1.未知の語彙は辞書などで調べながら、原文に忠実に日本語に直訳していく。
(1日3、4ページのペースで、2日半で10ページの翻訳を終了させる)
2.自分が翻訳した翻訳文と原稿を照らし合わせながら、翻訳文をより分かり易い日本語にする。
(約1日半かけて、この校正作業を終了させる)
*その際、インターネットで検索しながら、固有名詞の翻訳をチェックしていく。
3.1度自分が校正し直した翻訳文を父親にメールで送付し、校正し直してもらう。
4.自分が校正した翻訳原稿と父親が校正した翻訳原稿を比較しながら、日本語だけを読んで仕上げる。
(この最終校正に約1日かける)
最初から1日2ページを完璧に仕上げて5日間で翻訳作業を終了させるという方法もあるかと思う。
もし僕自身に語学のセンスがあって、文を読んだ瞬間に一番適した訳が閃くのであれば、そういう方法でもいけるかもしれない。でも、残念ながら、そんな非凡な才能はない。
また、とにかく1度全部翻訳し終える事で、1度安心したいという気持ちもある。
だから、この2段構えの方法を取る。翻訳文を何度も何度も読み返す時間が欲しいのである。時間をかけて、日本語らしい適訳が頭に浮かぶのをひたすら待つのだ。
翻訳者としての生産性は悪いのかと思う。でも、仕方ない。
ただ、あまりに長い時間をかけて訳文を吟味し始めると、もう本当に気が狂って来てしまう。だから、どこかで見切りをつけて、納品せざるをえない。
こんな時、一番大事なのはポルトガル語の能力というより、日本語に関する感性・センスのような気がする。そういう力って一朝一夕で身につくものではない。
いろいろな著書を読んで、言葉に対するセンスを磨いていけたらなあと思う。
これも、わかります。同感です。
翻訳って、訳すことより、ほんと、日本語のセンスですよね。私も以前仕事の中で英語のメールを訳して上司に転送することがあり、1つの単語でも、たくさんの意味があり、どれを使うか迷うことがよくありました。
逆に英訳する場合も、普段使っている言葉でも、その日本語の意味が本当はよくわかっていなかったりすることもあり、日本語って難しいな~とよく思ったものです。
そう、私も、だからたくさん本を読まなきゃなーと思った1人です。
辞書に載っていない意味を選択することもあります。
それは前後の文脈からどれもそぐわないんです。
日本語として自然に流れないと意味がないですから。。
ブラジル在住33年、翻訳を始めて1年半になります。ポルトガル語からの和訳が得意です。
翻訳は、その内容に沿った的確な言葉や言い回しをどれだけ使いこなせるかだと思います。
そのために、テレビ、ラジオ、新聞、本な何でも片っ端から聞いたり、話したり、読んだりすることです。
また、翻訳をするようになってから、文章を吟味する習慣がつき、以前(?)よりは幾分か文章がまともになったと思います。どうでしょうか。
お互いに頑張りましょう。
翻訳はやればやるほど、上手になっていくのかと思います。
継続は力なりですね。