SPA!という雑誌4月12日号に記事が掲載された。
実は3週間ほど前に、僕が半年以上前に書いたブラジルの選挙事情のブログを読まれた同誌の記者の方から、今度雑誌の企画で世界の選挙事情について特集するので、是非ブラジルの選挙事情についても詳しく教えて欲しいと言う事で連絡をいただいた。
2つ返事でOKし、記者の方のメールによる質問に対して、こちらの選挙最高裁判所のサイトにアクセスして情報収集活動をしたり、職場の同僚に直接聞いたりするなどして、より詳しく正確な情報を報告した。
ご興味がある日本にお住まいの方は、コンビニなどでご覧になってください。
因みに、ご参考までに、僕が調べたブラジル選挙事情の詳細は以下の通り。
1.選挙権
選挙権は18歳以上70歳未満にあり、義務であるために選挙しないと罰則が適用されます。16歳以上18歳未満及び70歳以上の国民にも選挙権はありますが、義務ではないため、罰則は適用されません。
2.罰則
提出しなかった場合の罰則の主な内容は以下の通りです。
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パスポートや身分証明書が発行できない。
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政府関係機関で働いている場合、給料がもらえない。
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公務員試験を受験できない。
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公的金融機関からローンができない。
罰金は1レアルから3レアル(50円から150円程度)。選挙委員長の判断により、その罰金の額を10倍にする事も罰金の支払いを免除する事もできます。
当日に何らかの理由で選挙ができない場合、選挙ができない理由を説明する証明書に必要な情報を記入して提出するほか、各種身分証明書のコピーなども添付する必要があるなど、手続きが非常に面倒臭い。
この書類の提出は、選挙日から数えて60日以内にしなければなりません。また、選挙日に外国にいる場合は、ブラジルに帰国した日から数えて30日以内に書類を提出する必要があります。
3.被選挙権及び各役職の任期
被選挙権の最低年齢はその役職によって違います。
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大統領及び副大統領:就任日までに満35歳以上に達すること
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州知事及び州副知事:就任日までに満30歳以上を達すること
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上院議員:就任日までに満35歳以上を達すること
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連邦議員・州議員:就任日までに満21歳以上を達すること
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市長:副市長:就任日までに満21歳以上を達すること
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市議会議員:就任日までに満18歳以上を達すること
大統領・州知事・連邦議員・州議員・市長・市議会議員の任期は4年です。
上院議員の任期は8年です。
4.選出方法
すべての選挙において、第1回選挙で50%以上の得票率を獲得した候補者がいなかった場合、1位の得票数の候補者と2位の得票数の候補者による第2回選挙(決選投票)が別の日に実施されます。
ただし、人口が20万人以下の市の市長選挙に関しては、一番票を得た候補者の得票率が50%を超えなくても、1位の候補者が市長に選出され、第2回選挙は実施されません。
5.投票方式
電子投票(1996年から実施)
6.投票場所
選挙人が事前に選挙管理委員会に行って、自分が投票を行いたい投票地区を申し込み、承認されれば次回からそこで投票ができます。投票場所は、通常は州立学校や体育館など、ある程度大きな場所を借りて実施しています。
7.投票時間
ブラジル全土で午前8時から午後5時までです。
8.投票率
私が住むリオグランデドスル州の2010年の選挙での投票率は約85%でした。ブラジル全体の投票率はなぜか選挙最高裁判所のサイトに載っていません。
9.不在者投票の有無
ありません。外国に住むブラジル人は在外投票を事前にできるところもあります。
10.具体的な投票手順
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まず受付で選挙人登録書及び身分証明書を提示し、職員が選挙人の名前をリストから探し出し、あったらそこにサインをし、選挙をしたことを示す証明書をもらいます。(ただし、選挙人登録書はなくても、身分証明書だけでも選挙できます)
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選挙管理人の指示に従い、選挙人は右・左・前の三方が仕切りで区切られた電子投票所に入ります。その際、選挙管理人が専用の番号を押し、電子投票用の機械を開放し、そこからは選挙人が画面の指示に従ってボタンを押していきます。
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選挙人は各カテゴリーで投票したい候補者の候補者番号をあらかじめ紙に書くなどして持って行きます。その番号を押すと、候補者の名前・政党・写真が画面上に表示されるので、投票したい候補者であれば確認ボタンを押して投票します。これをカテゴリーごとに繰り返し、すべての投票を終了します。
11.開票結果が出るまでの所要時間
即時集計のはずですが、すべての結果が出るのは翌日になります。これはアマゾン地域などの遠隔地では、そのコンピューター自体の回収などに時間がかかることが原因のようです。
12.一般的な選挙運動の方法
選挙運動はポスターと政見放送が主です。街頭宣伝は選挙資金に余裕がある政治家しかしません。政治家によってはテーマ曲を作って宣伝カーを使って市内を流し回っていますが、日本と比べればかなり少数派です。
お金がある政治家は、多くの人を雇い、彼らを交差点などに立たせ、政治家のポスターを掲げながら、旗を振るなどして、各政治家に与えられた候補者番号の周知を計ります。
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遠隔地はコンピュータの回収に時間がかかるのでは、とのこと、確かにそうですね。
でも翌日に発表されるのでしたら、他にも理由があるのでは、とも思いました。
(翌日じゃまだ難しい地域もあるのでは、と思いました。)
選挙は義務なので、その日は公共交通機関が無料になる、と聞いたことがありますが、どうでしょうか?
ただ、同誌の編集者がブラジルの日本大使館に問い合わせたところ、そのような事実を把握していなとのことだったそうです。
僕がネットで調べると、いくつかの町でバスが無料になっているという記事を発見しました。
従って、全国的に行われているものではないようです。