日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

ポルトガル語翻訳業と日本語教師業

2009年08月08日 07時56分44秒 | ブラジル事情
 ブラジルに住み始めて今年で12年目。ポルトガル語の翻訳という仕事を始めて6、7年。

 大学がポルトガル語学科だったわけでもなく、正式なポルトガル語教育を受けたこともなく、すべて独学である。でも、語学でも何でも、一定の指導を受けたら、あとは一人で勉強していくしか方法がない。

 日本で中学1年生から英語教育を受けた。英語の勉強は好きだったが、高校に入ると、英語の成績が他人と比べて格段に優れいているわけでもないことに気づき、自分は語学の才能なしと決め付けて、翻訳の仕事に就くことなどは始めから諦めていた。

 現在、ポルトガル語の翻訳の仕事をさせてもらっているのも、単純に一言語としてポルトガル語がマイナーで、翻訳者の数自体が少ないからだと思っている。ただし、英語などと比べれば、仕事量も格段に少ない。

 つまり、ポルトガル語翻訳業界というのは、少ない仕事を少ない翻訳家で争っているという状態なのだと思う。一方、英語の翻訳業界は、大量の仕事を多くの翻訳家で争っているという状態なのではと推測する。

 この業界で仕事をもらうためには、とにかく与えられた少ないチャンスに全力を尽くし、翻訳会社の人にこの人は「使える」と思われるしか方法がない。そして、翻訳家としての力量があることは必要最低条件だが、重要なのは約束を守ることである。納期などを守れないのは、問題外である。能力と責任感、両方大事である。

 プロ野球なんかでも、一軍の選手が怪我で選手登録を外れた時などに、監督が二軍から選手を抜擢する。そして、試合で代打などにその選手を使ってみる。普通に考えれば、打率は良くて2割5分から3割弱なのだから、打てなくて当たり前である。でも、そこできっちり打つことでレギュラー奪取につながってくる。

 翻訳家も同じ。与えられたチャンスをものにするしか生き残る手段はない。

 今年3月にブラジルの正書法が大幅に変更されるに当たって、僕がお世話になっている地元の翻訳会社が新正書法に関する講演を開催してくれた。その時にほかの翻訳家の方と話す機会があった。彼らは有名な語学学校の元英語教師だったりしたが、給料が安いことを理由に翻訳家に転身したそうだ。

 つまり、金銭面だけを考えれば、英語の授業をしているより、翻訳家として翻訳作業をしていたほうが儲かるというわけだ。僕は今までたいした量の翻訳をもらったこともなかったので気づかなかったが、どうやら1日中翻訳していれば、1日中授業をしているよりはるかに金銭的には恵まれるようだ。

 僕自身は、どれだけ翻訳家として成功しても、日本語教師として日本語に興味を持つ目をキラキラさせている生徒に直接教える喜びを手放したいとは思わない。お金は大事だが、僕らはお金だけのために働いているわけではない。

 でも、翻訳家として成功できるように、どんどん仕事をしていきたいのは偽らざる気持ちである。何でも長く続けていれば、才能がなくても、能力は少しずつでも伸びていくものだと思う。まさに「継続は力なり」。今後2、3年のうちに、何とかフリー翻訳家としての地位を確立できたらいいなと思っている。

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