物価が安い日本、物価が高いブラジル

   日本は物価が安い。特に外食産業は不景気下の過当競争の中でどんどん値段が下がっている。

   日本滞在中に松屋で牛丼の並を食べたが、２５０円だった。しかも、お茶とお味噌汁まで付いてきて、十分お腹一杯になった。

また、マクドナルドでも食べたが、セットで５００円程度であった。

もちろんこういったジャンクフードを毎日食べる訳にはいかない。しかし、最近の日本のサラリーマンは昼食に５００円以上支払わないという統計も考慮すれば、日本では外食でも比較的安く抑えられることが分かる。

その点、ブラジルは外食が本当に高い。

僕がお昼に行くレストランは量り売りなのだが、１キログラムで３３レアル（１６５０円）する。つまり、４００グラム取れば１３．２レアル（６６０円）である。これに３レアル（１５０円）のコカ・コーラ（２５０ml）を頼めば、もう１６．２レアル（８１０円）である。

この時点で松屋の牛丼の３倍以上の値段である。

「あれ？ブラジル人の平均月給って日本人より多いんだっけ」と首を１２５度くらい傾けたくなる。

しかも、４００グラムという量は大人にとっては少ない。

これがショッピングセンターでの食事になると、１人当たり２０レアル（１０００円）近くに達する。そして、この値段は物価が高いサンパウロではさらに上がる。

ガソリン代も高い。

日本にいた時、友達や両親は１ℓ１２６円のガソリン代が高いと文句を言っていた。

でも、僕が住むポルトアレグレでの現在のガソリンの最安値は１ℓ２．４９レアル（約１２５円）である。近年ブラジルは海底油田がいくつも見つかり、その膨大な埋蔵量から南米のアラブとも言われ、石油自給率も１００％を達成している。

それなのにこの異常な高さ。半分は税金らしいが、一体何なの！？

日本では１リットルで２０キロメートル以上走る車が多いが、ブラジルでは一番燃費がいいと言われている車でも１２，１３キロメートルしか走らない。

「何じゃそりゃ」ってノリ突っ込みしたくなる。

   ホンダのフィットなんて一番シンプルなのが５５０００レアル（２７５万円）する。日本での販売価格より１００万円以上高い。

  ブラジルでは衣服も高い。

ちょっとした上着を量販店で買おうとすれば、６０レアル（３０００円）はする。これがメーカー物になると、ブラジル製であってもその倍の１２０レアル（６０００円）にまで跳ね上がる。

ユニクロの何と安い事か！？しかも、製品の質もデザインもいい。

ブラジルは書籍も高い。

こちらには基本的にハードカバー本しかなく、日本のような新書はない。そして、そのハードカバー本は最低２０レアル（１０００円）し、普通は３０レアルから４０レアル位（１５００円から２０００円）はする。

日本もハードカバー本は１５００円から２０００円程度だが、新書は高くて７００，８００円程度である。しかも、ブックオフに行けば、数年前にベストセラーになった書籍が１００円で売っていたりする。

日本も昨今は貧富の格差が増大し、年収が少なくなった階級の人にとっては、デフレでこれだけモノの値段が安くなった日本社会でも生活が苦しいのかもしれない。でも、なければないなりにある程度楽しめるんじゃないだろうか。

その点、同じく貧富の格差が世界最大と言われるブラジル社会に生きている収入が少ない階層の人達は、一体このような物価高の社会でどう生きて行けばいいのだろう？

「日本は物価が高い」はもう日本人の幻想でしかない。