真の動物福祉牧場を目指して

デリー探訪記

 人口世界一のインドの首都デリーは、野宿者人口もおそらく世界一で、わたしの様な彷徨者にとって非常に探訪(たんぼう)し甲斐のある都です。

 デラドゥンからの夜行列車がオールドデリー駅に着いたのはもうスッカリ朝が明けてからで、ギュウギュウ詰めの2等車両も慣れたモノで荷棚に横になって悠々と来れました。

 まずは7年前に泊めて貰った駅前のヒンドゥー寺院に行きましたが、野宿者で溢れていた夜の活気は見られず、夜通しボン-パーティーを開いているサドゥー達だけが朝寝していました。


 その寺院の裏のガンディー公園で、若者達の見事なクリケット-プレーを見ながら「デラドゥン彷徨記」をサラッと書き上げて、朝食はパパイヤ半分(20ルピー、40円弱)で済ませてオールドデリーの迷路の中へと進んでいきました。


 このとても歴史感のある迷路はバナーラス迷路よりも行き止まりが多くて入り組んでおり、ヒンドゥー-エリアよりもムスリム-エリアの方が広いのが特徴です。
 グーグルマップを駆使してもよく迷い、夜中は行き止まりに巣食っている犬に襲われる危険があるので、探訪するのは昼間だけにした方が無難です。

 南方向に迷路を突っ切ったら Jama Mosque という巨大モスクに行き着き、ここは外国人から300ルピーも取るので入りませんでしたが、前に広がるバザールはイスラム情緒に溢れており、小さなモスクもあって多くの人が寝ており、昨晩は音楽を聴いたり本を読んだりであまり眠らなかったので一緒にお昼寝させて貰いました。

 モスクでゴロゴロしている人がやたら多いなと思いましたが、今はラマダーン月で日中は水も飲めないからだと知り、わたしはもう飲み食いしていたので少し悪い気がしましたが、明日からラマダーンするというコトで勘弁して貰いました。

 本当のイスラム圏ではラマダーン月には日中は食堂がみんな閉まっているのですが、バザールでは牛のモツ煮込みが20ルピーで食べられたりして、インドに来てから初めての肉料理を食べられました。
 この巨大モスクの周りには物乞いも非常に多く、ついウッカリ少女に小銭をあげたら他の子ども達が群がって来てしまい難儀しました。
 もう小銭がないので折り紙をあげましたが、それでは執拗に手を握って来る子ども達を振り切るコトが出来ず、モスクに逃げ込み集団礼拝で30分くらい間を置きましたが、それでも外でずっと待っていた少年に10ルピーあげるハメとなりました。

 10ルピーあればザクロを1個食べられ、これは食べるのに時間がかかりますが(種は吐き出した方が良い)とても美味しく、路地の脇に座ってじっくりと雑踏を味わえます。
 しかし迷路の中にもバイクが多く入って来るようになってしまい、その喧騒と埃っぽさにはウンザリとさせられます。
 そんな時にはモスクに避難するのが善く、寝転がって本を読みながらスマホの充電もでき、とても落ち着けて流石に「神の家」と呼ばれるだけのコトはあります。

 そこで坂口安吾の「堕落論」を読破してから、ニューデリー駅前のツーリスト通りにある古本屋へ向かいました。
 その通りではインド人から日本語でよく声を掛けられ、日本人旅行者とも会って安宿情報などを聞きましたが、20年前みたいに100ルピーで泊まれるドミトリー宿はもう無くて、その頃のようなツーリスト達の賑いも見られませんでした。

 古本屋も一軒しか残っておらず、そこで200ルピーの本を読み終えた本との交換で150ルピーで入手して、ついでに馴染のラーマクリシュナ-ミッションにも行きました。
 これはアメリカ発祥の新興ヒンドゥー教団で、カルカッタの本拠地は日本山妙法寺のすぐ側に在るので、生涯学習センターの日本語クラスを手伝ったり図書館を利用させて貰ったりしました。

 こうした新興教団はデリーの人々の心を掴んでいる様で、原始的で野蛮な感もある古いヒンドゥー教よりも、洗練されて明るい感じのミッションには裕福そうな人々が多く通っており、図書館も英語の本がメインで盛況でした。

 そこでの礼拝にも参加したらスッカリ夜となり、そろそろ宿を決めなければならなくなりました。
 ツーリスト通りには日本人宿サンタナも在りますが、ドミトリーで600ルピーもするのでパスして、オールドデリー駅前のヒンドゥー寺院にまた泊まろうかとも思いましたが、前にサドゥー達とガンジャを吸い過ぎて翌朝のエジプト行きの飛行機を逃したコトがあるので、今回は無難にシーク寺院に泊まるコトとしました。

 ダラムサラーで会った靴磨きのリッキー君から、デリーではシーク寺院に泊まるのが良いと聞いており、確かに駅の側の大きなシーク寺院は最高の宿でした。
 そこでは夜中の12時までずっと賑やかに礼拝が続けられており、それは夜の迷路の中で無数に行われている小さなヒンドゥー寺院の賑やかな礼拝よりも洗練されており、多く人を集めていて食事まで24時間無料で提供してくれてます。

 ここではアムリトサルのゴールデンテンプルの様に、外国人旅行者向けの部屋までは用意されていませんでしたが、ソファーの上で寝られて外の大通りで寝ている数百人もの野宿者の群れよりもずっと恵まれて良く眠れました。

 シーク寺院の礼拝は朝の4時から賑やかに始まり、それに合わせて食堂の準備もガチャガチャと煩くなるので起こされますが、ラマダーンは朝5時からなのでそれまでにチャイを5杯頂いて、今日は夜7時まで飲み食い無しの旅をスタートさせました。

 

 

 
 

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