このタイトルはディランの『悲しみは果てしなく(It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry)』の歌詞から取りました。
この歌もやはりジョージ-ハリスンの「バングラデシュ支援コンサート」での弾き語りが素晴らしく、「ローリング-サンダー」バージョンも弾けていて良いです。
「スリルはお金では買えない」は列車にタダ乗りするコトを歌っていますが、これは自伝的なメタファー(隠喩)で付き合っている女の子との冒険旅行が謳われています。
「もし私が丘の上で死んでも、きっとベイビーが代わりに果たしてくれるだろう」という歌詞は、「ルーガのエクソダス(長征)」のような革命運動に参加するカップル達にも捧げられます。
そんな冒険を求める若いカップルは中国にも多く居り、彼等にとって中国共産党(ドン)の支配からエクソダスする「長征」は最高にスリルのある冒険で、この「列車」にタダ乗りしようとするカップルは後をたたないとします。
「長征神話」は始まりから既に人々の間で形成されており、300万ものドンの軍隊による包囲陣をたった300人程の「満洲馬賊隊」が打ち破ったという神話は、誇張して語られ指揮官の愛新覚羅傑は「武神」に祭り上げられます。
中国革命のリーダーである徳流河(ドゥルーガ)も「勝利の女神」と讃えられ、彼女と一体化しているかの様な「美の女神」パールと「戦いの女神」カーリーの活躍は、まるでインド神話のようだと多くの人々を魅了します。
ルーガ率いる「女子革命突撃隊」の公式ブログ「八路和提(パールワティー)」では、これまでモンゴル草原に居るパールが主に書いて来ましたが、ずっとルーガとの共著だったコトが明かされて、「長征」が始まってからはルーガによる現場ルポルタージュの割合が大きくなります。
このルポは非常にスリリングに描かれ、100万人もの大所帯が一斉に西へと向かう大行進は、ゆっくりしたペースですが明確な目標に向かって進みます。
それは共闘するSFF(スペシャル-フロンティア-フォース)がチベットとウイグルの辺境に築いた革命根拠地に向けてで、そこに「新たな国」を築こうとルーガは呼びかけます。
この呼びかけに多くの若者達は応え、「新たな長征」はその列車の規模をどんどん膨らませて行きます。