真の動物福祉牧場を目指して

「ヒーリング・ライト」の評価

 今回は音楽評論家の視点から、光復党の2ndアルバムを評価してみます。

 因みに近未来では、音楽をCDアルバムで聴く人はかなり減っており、ストリーミングにシェアを奪われてCD産業はますます苦戦を強いられます。
 そんな中で、久々に1000万枚超えヒットを飛ばした「ライト・リバイバル」には、衰退産業の救世主として注目が集まり、音楽評論家からも非常に好意的な評価が得られます。

 なので2ndアルバム「ヒーリング・ライト」にも出来るだけ高い評価を与えるのが音楽評論家の仕事となり、「音楽の醍醐味はアルバムで聴かなければ味わえない」と云った論調になります。 −−
 
−− あの台湾の「ライト・リバイバル・パーティー(LRP)」が、中国で革命の機運が高まっているこの時に、2ndアルバム「ヒーリング・ライト」を発表しました。

 このアルバムは明らかに、革命機運を盛り上げるコトを目標としているので、その線で評価が成されるべきでしょう。

 まずオープニングを「わたしは愛国者」とした徳流河(ドゥルーガ)の意図は、「自由な河の流れ」を堰き止めている観のある中国共産党への、ハッキリとした挑戦状と受けとめられます。
 「真の愛国者によって河は開かれる」というコーラスは流河の名前とライム(脚韻)しおり、実際に中国人の自由と真実を求める心は、河の流れのように溢れ出しております。

 次曲を「愛の如く赤裸々」にした意図も明確に読み取れ、これは散華した東チベットの蜂起軍に捧げる鎮魂歌として、ミュージック-ビデオにも成っています。 
 女性がこのハードな歌をカバーした例はとても珍しく、「女子革命突撃隊」を率いる流河(ルーガ)ならではの迫力が伝わって来ます。
 
 3曲目の「Within you without you」は、多くの音楽評論家から最大限の評価を受けている名曲です。 
 LRPはインド音楽に対する深いコダワリも魅せており、本場インドのダラムサラーで収録されています。
 ルーガのボーカルは呪術的なインド音楽と良くマッチし、「愛によって世界は救える」と信じさせてくれます。

 次曲に軽いノリの「Upside down」を持ってきた意図も買え、中国の強権体制はいつか「ひっくり返る」べきだと云う思いが伝わって来ます。
 それに続く「Shelter from the storm」では、革命運動をロマンチックに詠っており、実際に「女子革命突撃隊」はモンゴルで「シェルター」を運営しています。

 トリを飾る6番目のアーティストはピンク・フロイドで、この6人の有名アーティストの曲を同じ並びで2回くり返すスタイルは、スッキリしていて良いと言えます。
 ここでは静かな名曲「Palanoid eyes」が唄われ、戦いにはキビシイ代償が伴うコトを伝えてくれます。
 
 再びジャクソン-ブラウンの番となり、評価の高い彼のファースト-アルバムから「A Child in These Hills」をカバーしています。
 これはヒッピー運動を詠った名曲で、「これらの丘の子供」は丘を占拠して暮らしたヒッピー達と、その子供等を指しています。
 ジャクソンの「I am a child」の歌声はとてもポジティブで、自分を産んでくれた両親への感謝の気持ちが溢れています。 一方でルーガは、「闇っ子」として売られた身でありながらもそんなポジティブさを持ち、「特別な子供」であるという気概を伝えてくれます。

 ジミヘンの「Drifting」は隠れた名曲で、これをカバーしたがったブルース-チェンの気持ちは良く理解できます。
 この香港の革命児によるギターはかなりのモノで、ジミヘンをも凌駕しようという気概が伝わって来ます。
 
 次にジョージ-ハリスンの歌の中でも特に評価の高い「Cheer down」がカバーされて、チル(醒めた)感が良く出ています。
 ここでは、人は分をわきまえて謙虚に生きるべきだと詠われ、中国共産党も世界制覇の野望など抱かずに「気を落とせ」と唄っているように響きます。

 チルな歌の続きとしてジャック-ジョンソンの名曲「Supporsed to be」が唄われ、醒めた感覚で革命の成就が「そうあるべき」と詠われます。
 この辺の流れは実に見事で、ルーガの音楽センスが光っています。

 そしてボブ-ディランの「It’s alright, ma」に移りますが、このラディカル(過激)なプロテスト-ソングを中国人がカバーするコトには、特別な意義があると思えます。
 ルーガはそれをハッキリ意識して唄っており、それは一部の歌詞を中国語にして詠っているコトからも伺えます。
 ディランは英語の勉強になるアーティストとして中国では人気が高いのですが、アメリカ人の私としては中国語の勉強が初めて歌で出来て、とてもタメになりました。

 ラストソングの「Echoes」では、前曲ラストの「It’s life and life all」という歌詞がライムして、「生命の歴史」が詠われています。
 このプログレッシブ-ロックの金字塔と言える90年前の名曲が現代に甦ったコトには特別な意義が認められ、陰惨なイメージのカラスの鳴き声が響き渡るパートで、ルーガの明るい笛の音がフィーチャーされるのが特に画期的です。
 ルーガは「生命の歴史に癒しの光を灯したかった」と語っていますが、その意図はとてもハッキリと伝わって来ました。   
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