映画の影響力は素晴らしく、高畠村(今は町)は有機農業をやりたい若者が多く移住し、お米と葡萄のブランドも確立して流通もうまく行っています。
こうした村ぐるみの取り組みならば有機農業は実現可能ですが、個人でやるのは非常な困難を伴います。
まず壁として立ちはだかるのは土作りです。日本の農地の9割以上は化学肥料でミネラルバランスが崩れており病気が多発し、農薬で土壌微生物の生態系も破壊されて悪玉菌がはびこってしまっています。
そこでなにも手をうたずに有機農業をしても確実に失敗し、無理して作物を大きくしようと堆肥(一般的な)を沢山入れると、上手く分解されずに硝酸態窒素が多い作物となり、これはマズくて不健康です。
高畠村も以前は無機農業しかなく、土は死んでいましたが、それを甦らす為に若手農家が研究会を立ち上げ、有効微生物群(EM)を上手く活用した事で一早く成功を収められました。その経緯は「EM農法」という本に書かれております。
この有効微生物群が天然に生きずいている土壌が日本には存在し、それは薩摩隼人を生んできた九州の阿蘇盆地です。
これほどの土壌生態系のホットスポットは世界的にも貴重とされ、自然農法の師として世界的に尊敬される福本正信の「麦わら一本の革命」は、その天与の土でこそ成し遂げられたのでしょう。
次回はそんな希望の土を作る、特別な堆肥について書きます。