ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

トランプの関税政策を問う

2025-01-22 10:38:37 | 日記
う〜む、よくわからない。
トランプはアメリカの大統領としてホントに適任なのかどうか。
トランプが打ちだす政策は、ホントに合理的なのかどうか。

タリフ(関税)マン」を自認するトランプは、中国製品に60%の高率関税をかけるとうそぶいているという。
その気持ちはわかる。「アメリカ・ファースト」をかかげ、「アメリカをふたたびグレイトにする」と公言するトランプは、アメリカを脅かしそうな新興国、台頭いちじるしい中国に脅威を感じ、まっさきにこの国をたたきのめそうと思ったに違いない。
トランプが最初にアメリカ大統領に就いた2017年、まっさきに対中貿易戦争を仕掛けたことはまだ記憶に新しい。

だが、中国製品に高率の関税をかけることは、中国をたたくことにつながるのかどうか。

朝日新聞は次のように述べている。

関税の引き上げは、米国への輸入品価格を上昇させ、インフレを再燃させるおそれがある。

問題は、中国製品が今やアメリカの産業にとって欠かせなくなっていることである。

トランプはこう考えたに違いない。
「中国製品に高率の関税をかければ、中国製品の価格が高くなるから、アメリカでは中国製品が売れなくなる。そのぶんアメリカ製品に需要が生まれ、アメリカの産業は復活するはずだ」。

だが、中国製品の価格が上がっても、アメリカの国民はそれを買うしかない、ーーそれが問題なのだ。

たとえば何でもいい。今まで1万ドルで買えた中国車が(関税引き上げによって)1.6万ドルに値上がりしたとしよう。アメリカの国民は中国車を買うのをやめて、1.2万ドルのアメ車を買うだろうか。
おそらくそうはならない。アメリカの自動車メーカーは、自動車製造の原材料を中国からの輸入部品に頼っており、それらも(高関税のため)値上がりするから、それまで1.2万ドルで売れたクルマは、1.7万ドルで売るしかなくなるのである。
他の製品も同様で、その結果、「関税の引き上げは、米国への輸入品価格を上昇させ、インフレを再燃させる」ことになる。

朝日新聞は次のように記している。

経済政策を研究するブレンダン・デューク氏は公聴会で言い切った。関税は輸入品価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担する。全輸入品に20%、中国製品に60%の関税をかけた場合、平均的な家庭で年3900ドル(約60万円)の負担増になるとの試算もある。デューク氏は、家計の関税負担がトランプ氏の別公約である大型減税の恩恵を打ち消し、『純粋な増税になる』とみる。
(同前)

それだけではない。ダメージは輸出産業にも及ぶ。アメリカは農業大国だから、農産物の輸出に頼っている。中国はアメリカ農産物のいいお得意様だ。ところが、アメリカが中国製品に高率の関税をかければ、中国は報復のためにアメリカ農産物に高関税をかけることになり、その結果、アメリカ農産物の輸出は振るわなくなる。

朝日新聞は次のように述べる。

心配するのはトランプ次期大統領の通商政策だ。トランプ氏は全輸入品に10~20%、中国製品に60%の関税をかけると公約。実現すれば中国から報復関税をかけられるのは必至だ。
(大豆・トウモロコシ農家の)ガックルさんが会長を務める米大豆協会が発表した研究では、米中貿易摩擦の再燃で米国産大豆の対中輸出は年1400万~1600万トン減る見通し。貿易摩擦がない場合からほぼ半減するという。トウモロコシも同84・3%減。これほどの需要減を補う市場は存在しない。

(同前)


さて、大統領に就任したトランプは、ホントに中国に対して60%もの高関税をかけるのだろうか。きのうの大統領就任式でのトランプの演説を伝えるきょうの新聞には、そんな話は出ていなかった。
「どういうことだろう」と思ってネットで調べると、中国製品への高関税の導入を、トランプはすぐには実施せず、見送っているのだという。
おそらく、政権内の側近から、「そんなことをしたら、大変なことになりますぜ」と異論が出て、「待った!」がかかっているのだろう。
異論に耳を傾ける余裕がでたぶんだけ、「トランプ2.0」は進化したのかもしれない。

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他国からのサイバー攻撃に対処せよ

2025-01-20 09:10:37 | 日記
「歌は世につれ世は歌につれ」という諺がある。ネットでは、「歌謡の世界は世の姿をそのままに映し出し、世の中も歌謡の移り変わりに影響されて変動することをいう」と説明されている。
これをもじって言えば、「SNSは世につれ世はSNSにつれ」ということになるだろうか。
これを私に引きつけていえば、「私のブログは世の出来事につれ」ということになる。「世の出来事は私のブログにつれ」ということになるかどうかは、わからない(たぶんならないだろう)。

このところ私の目にとまった世の出来事は、次の記事に述べられている。

政府は16日、サイバー攻撃を未然に防ぐ『能動的サイバー防御(ACD)』導入に向け、24日召集の通常国会に提出する関連法案の概要を自民党に示した。通信情報の収集や攻撃元サーバーへの侵入・無害化を可能にするなど政府の権限を大きく強化する内容だ。
(朝日新聞1月17日)

ここで述べられているのは、他国からの「サイバー攻撃」に対処するための法案の整備事情である。
この記事の1週間前に、こんな記事があった。

警察庁は8日、中国系の『ミラーフェース』と呼ばれるハッカー集団が日本国内の政府機関や企業などを対象に、安全保障や先端技術に関する情報の窃取を目的としたサイバー攻撃を繰り返している、と発表した。捜査などの結果、中国政府の関与が疑われる組織的なサイバー攻撃と判断したという。
(朝日新聞1月9日)

他国からのサイバー攻撃、とりわけ中国からのサイバー攻撃は、今や見過ごせないほど深刻なものになっている。電気や鉄道、通信、金融などの重要インフラが絶えず攻撃にさらされ、これに迅速に対処しなければ、我々国民の生活が脅かされることになるのだ。

今、必要とされるのは、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」の導入によって、敵の攻撃能力を「無害化する」ことである。

記事によれば、これは事業者などから通信情報を収集し、それらを分析することによって行われる。ところが、これについて記事は次のように述べる。

政府による通信情報の収集は、プライバシー侵害との懸念が根強いため、運用を監視する独立機関を設置。政府の職員による情報の不正利用や漏洩(ろうえい)には罰則を科す方針だ

つまり、他国からのサイバー攻撃に対処するための情報分析の過程で、政府職員や自衛隊員が知り得た個々人のプライバシー情報は、一切他言無用、情報漏洩には刑罰を科すというのである。

ここには、2つの項が対立している。1つは国家の安寧、もう1つは個々人の権利である。石破政権は、国家の安寧をはかりつつ、個々人の権利の保護(プライバシーの保護)をもはかろうとしている。

その基本姿勢は是とすべきだろう。戦前のように、国家のために(特高警察によって)市民の権利が平気で蹂躙される、あの暗い時代に逆戻りしてはならない。
国家と個人、ーーその2つの項を両立させることは容易ではないが、両立させようとする努力は、ネトウヨでなくても認めざるを得ないのではないか。私はそう思う。

今後、この法案が施行された後、具体的なケースでいろいろ問題が出てくるだろうが、そうなったときは(勢力を盛り返した)野党の、その監視機能に期待したい。

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おまえが言うな!

2025-01-18 09:07:56 | 日記
おまえが言うな!

そのニュースを聞いたとき、私は無性に腹が立った。

自民党最高顧問の麻生太郎元首相は12日、地元の福岡県飯塚市で20歳を対象にした『成人の日』の関連式典に出席し、高額な報酬をうたって犯罪行為に誘導する『闇バイト』を巡り、『二十歳になったら『闇バイト』なんて引っかからない』と呼びかけた。(中略)
『まともな大人なら、楽しくてうまい話があって、銭がもうかるものなど世の中にないと知っている』などと、『麻生節』で注意を促した。
(読売新聞オンライン1月12日配信)

たしかにそうだ、とも言える。「楽してもうかる、うまい話」なんて、この世の中にあるわけがない。
そういう「常識」を弁(わきま)えない世間知らずの若者が多いから、「闇バイト」の怪しげな勧誘に引っかかり、盗賊の一味になり果てる甘ちゃん坊やが絶えないのだ。

鉄は熱いうちに打て!そういう風潮に歯止めをかけるべく、成人をむかえる若者たちにガツンと一発かますのは悪いことではない。

だが、こういうお説教をたれたのが誰あろう麻生太郎氏だというのが、何ともいただけない。
というのも、この御仁こそ「楽してもうかる」政治屋稼業を事とするあの悪名高い自民党集団の、その「最高顧問」に鎮座しているからである。
その錬金術の手口は、「販売ノルマを超えてパーティー券を売った所属議員に手渡しで超過分を還付する」(毎日新聞)というもので、この「パー券販売」による錬金術の手口は、カネに目がくらんだ不良大学生がそれを真似るほど、世に知れわたるようになった。
麻生太郎氏こそ、そういう形で「うまい話は闇の世界にたくさん転がっている」という「裏社会の真実」を世に広めた張本人なのである。

子供は親の背中を見て育つ。若者は政治家の背中を見て育つ。その意味で政治家のセンセ方は「若者の範」となるべき存在なのだが・・・。

若者たちは、「この世の中にうまい話はそうそうない」と知っている。
しかし同時に、「この世の中の裏の部分、裏社会には、うまい話がそこそこ転がっている」ことも知っている。
だから彼らは、裏社会からの「闇バイト」の誘いに、いとも簡単に乗ってしまうのである。
その一因は、繰り返しになるが、麻生氏を始めとした自民党のセンセ方にあると言わなければならない。センセ方は、派閥の「パー券錬金術」に加担することによって、「この世の中の裏の部分、裏社会には、うまい話が転がっている」ことを身をもって示しているのだ。

その裏社会のボス・麻生氏が「楽してもうかる、うまい話なんて、ないと思え」と宣(のたま)うとは、一体どういうことなのだろう。

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大震災の思い出

2025-01-16 08:44:48 | 日記
きのうのことである。この日は震災の話で始まった。
私は起きがけにスマホで「朝日新聞紙面ビューアー」を覗く癖(へき)があるのだが、この日の第1面には次の見出しがでかでかと踊っていた。

(亡き子と家族の30年 阪神・淡路大震災:上)大好きな姉、泣けなかった私 小6は心にふたをした

紙面を読み進むと、次にはテレビ番組紹介欄に次のようなNHK・Eテレの紹介記事がのっていた。

阪神・淡路大震災からまもなく30年になる。NHKのバラエティー番組『バリバラ』では9日、『障害者は闘った!』が放送された。

これを見て、私は「おお、こいつは面白そうだ!見てみよう」と思ったのだが、後の祭りだった。この番組が放送されたのは1月9日、1週間も前のことである。

この番組を見てみたいと思ったのは、私自身が障害者だということもある。けれどもそれだけではない。「阪神・淡路大震災」という出来事に少なからず興味を持っている私なのだ。
現に私は、(1月10日に放送された)NHKの「時をかけるテレビ」を見ている。MCは池上彰。この日のテーマは阪神・淡路大震災だった。

それにしてもどうして今、これほど次々と「阪神・淡路大震災」のネタなのか。ーー考えてみれば、もうすぐ1月17日。ちょうど30年前に阪神・淡路大震災が起こった日である。

でもなぜ、私は阪神・淡路大震災に興味を持ったのだろう。考えてみると、いや考えるまでもなく、NHKの朝ドラ「おむすび」の影響がある。
この朝ドラは、阪神・淡路大震災の被災体験のトラウマから立ち直れずにいる少女の姿を印象的に描いていた。

この大震災については、私自身、生々しい記憶がある。あれは1995年のことだった。今から30年前、私が45歳のときのことである。
私は年明け早々、白い息を吐きながら出向いたある大学の「非常勤講師控室」で、それを知った。控室に入るなり、「すごい地震があったようですよ」と女性講師。「けさ早くですが、信じられないぐらい、すごい地震だったようです。テレビで見たのですが・・・」

女性講師の話は決して大袈裟ではなかった。家に帰ってテレビをつけると、倒れかかった高架道や、そこから今にも落ちそうになっているバスの映像など、衝撃的な映像が次々と飛び込んできた。
「ああ、こんなことがあるのだ・・・」
この世の中、何が起きてもおかしくはないーー、私にそう思わせた最初の出来事だった。

あれから早いもので、もう30年がたつ。神戸の被災者たちの心痛にくらべれば、私自身が受けた衝撃など屁のようなものだ、・・・そう思い知ったのは、朝ドラの「おむすび」を見たからである。

その朝ドラ「おむすび」だが、きのうは東日本大震災が起こったシーンから始まった。
この大震災についても、私自身、忘れられない思い出がある。
2011年3月11日。その1日前、私は脳出血に見舞われ、隣町の救急救命センターに担ぎ込まれたのだった。意識が戻ってから、大津波や、福島原発が大爆発を起こしたニュースを、病院ロビーの大画面テレビで知ったのである。福島原発の、その事故処理の経過を伝える枝野官房長官の姿がなぜか記憶に残っている。

あれから何年がたつのかーー。毎年、3月11日が近づくと、テレビは「あれから**年がたちます」と教えてくれる。
「10年一昔」というスパンでいえば、この震災ももはや「昔の出来事」である。この昔の出来事を朝ドラはどう描くのか、興味は尽きない。きょうは、ボランティア活動に意欲を燃やすアユミたちのけなげな姿を描いていた。


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民主主義の根幹を蝕む新型ウイルスのうごめき(その6)

2025-01-14 09:12:23 | 日記
(承前)

先の衆院選で政権与党の自民・公明を大敗に追い込んだ原因の一つは、裏金問題を除けば、SNSを利用した「中国の関与」だった可能性がある。その可能性に、どうして石破首相は思い及ばないのだろうか。

「え?中国がSNSを利用して、日本の国政選挙を操作した疑いがあるって? 南シナ海で大暴れしているあのバリバリ武闘派の中国が、『ペン派』の牙城のようなSNSを利用しようとするだろうか?」

石破首相は中国の武力行使を警戒するあまり、そういう素朴な疑問にとらわれたのかもしれない。

だが「事実は小説よりも奇なり」である。中国の矛先は実際、サイバー空間にも及んでいる。私は、先日の朝日新聞が次のように伝えていたことを思い出す。目的のためには手段を選ばす、なのだ。

サイバー攻撃、中国政府関与か 19年以降、210の標的 警察庁発表

警察庁は8日、中国系の『ミラーフェース』と呼ばれるハッカー集団が日本国内の政府機関や企業などを対象に、安全保障や先端技術に関する情報の窃取を目的としたサイバー攻撃を繰り返している、と発表した。捜査などの結果、中国政府の関与が疑われる組織的なサイバー攻撃と判断したという。

(朝日新聞1月9日)

この記事を読んで、
「そうなのか。だったらあの衆院選に中国の関与があったとしても、まあ、おかしくはないかな」
そう考えた人は、比較的マトモな判断力の持ち主である。
逆に、そういう判断力を持たない(石破首相のような)人がいたとしたら、その能天気のほうが数段ヘンだと言わなければならない。
サイバー攻撃に手を伸ばす中国が、その魔の手をSNSに伸ばさないとは考えにくいからである。

たとえばSNSの言論空間に、中国が次のような「意見」をばらまいたと考えてみればよい。
「政権与党の自民党は軍事予算を倍増し、中国に戦争を仕掛けようとしています。
戦争になれば、中国は日本中に核ミサイルの雨を降らせます。日本は80年前のヒロシマやナガサキのように、焼け野原になることでしょう。
皆さんはどう思いますか?」

LINEか何かのコメント欄でこれを読んだ日本人は、
「う〜む、自民党が政権をとる限り、戦争は避けられないのか。これはヤバいぞ!」
と思うのではないか。

もちろん、悪知恵に長けた中国なら、もっと巧妙な手を使うだろう。「中国が関与した」という証拠も残さないだろう。
だが、朝日新聞が伝えるように、中国のサイバー攻撃の手口を暴いた実績のある警視庁の有能なハッカー対策班なら、先の衆院選に関与した中国の手口も暴けるに違いない。

中国の関与が明らかになったとき、日本政府は先の衆院選を(ルーマニアに倣って)無効にするだろうか。

自民党総裁の石破さんよ、ひとつお願いがあるのだが、そうなったとき、あんたは中国に対して、ぜひとも毅然とした対応をとってほしいものだ。
旧民主党の菅直人が首相だったときのように、いたずらに中国との対立を恐れ、尻尾を巻いて逃げ出したりしないでほしいのだ。
自民党を盛返そうと思うなら、ここに来て「事勿れ主義の頬被り」はしないことだ。わかっていると思うけど。
(この項、了)

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