ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

相模原事件 あれから1年

2017-07-27 14:12:09 | 日記
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で無残な殺傷事件ーー障害者の殺
傷事件ーーが起きてから、ちょうど1年が経つ。きょうの新聞は、3紙がこの
事件をテーマに取りあげている。朝日の《やまゆり1年 内なる差別を問い直
す》と東京の《相模原事件から1年 社会の尺度を柔らかく》は、ともにこ
の事件と、バニラ・エア事件とを突き合わせながら論じていて、興味深い。

バニラ・エア事件とは、鹿児島県の奄美空港で、車いすの男性が「歩けない人は
飛行機に乗せられない」とバニラ・エア航空のスタッフから言われ、自らの腕の
力でタラップを上ったという事件である。この事件はメディアで大きく報じら
れ、航空会社は謝罪したが、ネット上では、車いすの男性を非難する意見が多
く寄せられた。朝日は健常者からのこの反応に、「内なる差別意識」がはたら
いているのではないかと指摘し、この「内なる差別」を各自が問い直し改める
べきだと訴える。

他方、東京は、航空会社の対応に「心身の機能不全を問題視し、社会から締め出
そうとする発想」を見、こうした「経済効率を優先する資本の論理」は「ややも
すると異質な人々の疎外に結びつく危うさ」を内包しているという。東京によれ
ば、バニラ・エアの対処は、この点で、相模原事件の犯人の差別思想と無縁では
ないのである。

相模原事件と、バニラ・エア事件。同じ2つの素材を取りあげたこれら2紙の
論述は、どうしてもその優劣を比較したくなる。どちらがより深い観点を差し
だしているのか。判断は読者にまかせよう。

産経の社説《相模原殺傷1年 再発防止策は置き去りか》は、これら2紙とはが
らりと趣きを変え、相模原事件の再発を防止するための対処として、司法や行政
面での対策の強化を訴える。こうした強化策に対しては、「『人権』の壁」が立
ちはだかる、と産経は不満げに書いている。アンチ人権派の産経らしい書きぶり
だが、そんなことより、この期に及んでも(馬鹿の一つ覚えのように)人権思想
を振りかざすオメデタイ人たちがまだ健在だとしたら、これはとんだ驚きである。
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