ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

予算、そして国家

2025-02-25 08:59:30 | 日記
読者は「トラス・ショック」ということばをご存知だろうか。私は知らなかった。先日、起きがけにスマホで朝日新聞を読んでいて、はじめて知ったことばである。こんなふうに書かれていた。

(予算案の)修正にあたり、政権がこだわったのが財源だった。維新が求める教育無償化には約6千億円が必要で、国民民主が主張する所得税の課税ラインの引き上げには、7兆~8兆円の税収減が見込まれる。財務省幹部は『政権が(野党の言い分を)全部受け入れれば話はまとまる。そのかわり財政は持たない』と言う。
背景には、2022年秋に起きた英国の『トラス・ショック』がある。当時、(イギリスの)首相に選任されたばかりのトラス氏は、財源の裏付けがないまま、歳出拡大や減税などの政策を打ち出した。それに市場が反応し、金利が急騰して英ポンドも急落。混乱の責任を取って、首相は退陣に追い込まれた。

(朝日新聞2月22日)

私が「トラス・ショック」なることばを聞いて、「おっ、これは使えるぞ」と思ったのは、今の我が国の、その国会審議の状況を把握するのに、これは便利なことばだと思ったからである。

目下、石破政権は、少数与党に転落したことから、2025年度の予算を成立させるために四苦八苦している。予算案を通過させるには、衆議院の過半数の賛成が必要だから、石破政権は野党の要求を極力飲まなければならない。だが、財源には限りがあるから、石破政権は野党の要求をなんでも「はい、はい」と聞き入れるわけにはいかないのだ。そんなことをすれば、政権は「トラス・ショック」の轍を踏み、石破首相はトラス首相と同様、辞任に追い込まれるだろう。

国会審議の現状をめぐっては、「足し算だけでは駄目だ。引き算も必要だ」という声をよく聞くが、これも同じ懸念から出たことばだろう。

国家運営の要をなす予算審議の出発点は、財源の議論をしっかり行うことである。「トラス・ショック」が示すように、それはある意味、国を潰さないための、つまり護国のための必要条件でもある。
石破自公は維新と組むことで窮地を脱したようだが、この「自公維」の連合政権をいっそのこと「護国救国臨時政権」とでも呼んだらどうだろうか。


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