日産自動車の会長だったゴーン氏が、金融商品取引法違反(有価証券報告書
の虚偽記載)容疑で逮捕された。ゴーン氏はなぜ「有価証券報告書の虚偽記
載」などという行為を行ったのか。
ゴーン氏は「(報酬を)もらい過ぎだ!」との批判を気にして、報酬を少な
く見せようとし、そのために虚偽記載をしたのではないか、というのが、
(サイト「現代ビジネス」に関連記事を書いた)井上久男氏の見解である。
したがって、虚偽記載の行為はさほど悪質ではない、と井上氏は述べるが、
私にはよく解らないことがある。そもそも「有価証券報告書の虚偽記載」は、
なぜそれほど目くじら立てて騒ぐことなのか。ーーそれは、有価証券報告
書が投資家の判断材料になる、重要な文書だからだ、と言う人もいるだろう。
有価証券報告書の虚偽記載を行った場合、個人は10年以下の懲役もしくは
1000万円以下の罰金又は併科、法人は7億円以下の罰金と定められている
のだよ、と。
けれども、投資にまわすカネも関心もない私のような者にとっては、有価証
券報告書など、ただの紙切れに過ぎないではないか。
そんなことより、会社の金の私的流用のほうが悪質だと井上氏は述べるが、
たしかに一般の感情からしても、そういうことが言えるだろう。たとえば、
ベンチャー投資名目で海外子会社をつくり、自宅用の高級住宅を購入させた
とか、フランスのベルサイユ宮殿を借り切って、再婚相手と結婚式をあげた
とか、会社の金で贅沢三昧、会社の私物化は度を越えている。
ゴーン氏が斜陽の日産自動車をV字回復させたことは事実だが、だからといっ
て会社の私物化は許されない。斜陽の会社を立て直すために彼が行ったのは、
徹底したコストカットである。リストラで職を失った多くの従業員の苦境を
思えば、会社を私物化しての贅沢三昧はトンデモな行為だとの思いを禁じ得
ない。
また、ゴーン氏を追い落とそうとした日産の一部勢力にとっても、この不正
流用の意味は重い。資金流用という会社への背信行為は、彼を会社から追放
する充分な理由になり得るからだ。
では、日産の一部勢力は、なぜゴーン氏を追い落とそうとしたのか。個人的
な恨みや妬みといった感情以外に、ゴーン氏を会社から追放しなければなら
ない理由がーーのっぴきならない理由が、なにか他にあったのだろうか。井
上氏によれば、それはゴーン会長の下で、次第に強まるルノーの影響力を排
除し、日産の独自性を維持したいとの、生え抜き企業人の思いである。日産
の西川CEOは、そのためにはゴーン会長の影響力を殺(そ)がなければなら
ないと考えたという。
今回の事件では、ゴーン会長の特異なキャラクターという個人的側面ばかり
にメディアの関心が集まっているが、この事件がグローバル・アライアンス
企業の内部抗争の面を持つことも見逃してはならない。
この抗争の背後には、仏企業(ルノー)と日本企業(日産)との統合を阻止
しようとする日本政府の国家意思が働いており、したがって東京地検による
今回の捜査は「国策捜査」ではないか、という見方もある(「リテラ」)。
そういう国家意思を尻目に、仏企業と日本企業との統合がうまく行けば、そ
して日仏の国境の垣根が低くなれば、日仏戦争が起こる可能性は限りなく低
くなるのではないか、ーーそう考える天邪鬼爺のこの頃である。
の虚偽記載)容疑で逮捕された。ゴーン氏はなぜ「有価証券報告書の虚偽記
載」などという行為を行ったのか。
ゴーン氏は「(報酬を)もらい過ぎだ!」との批判を気にして、報酬を少な
く見せようとし、そのために虚偽記載をしたのではないか、というのが、
(サイト「現代ビジネス」に関連記事を書いた)井上久男氏の見解である。
したがって、虚偽記載の行為はさほど悪質ではない、と井上氏は述べるが、
私にはよく解らないことがある。そもそも「有価証券報告書の虚偽記載」は、
なぜそれほど目くじら立てて騒ぐことなのか。ーーそれは、有価証券報告
書が投資家の判断材料になる、重要な文書だからだ、と言う人もいるだろう。
有価証券報告書の虚偽記載を行った場合、個人は10年以下の懲役もしくは
1000万円以下の罰金又は併科、法人は7億円以下の罰金と定められている
のだよ、と。
けれども、投資にまわすカネも関心もない私のような者にとっては、有価証
券報告書など、ただの紙切れに過ぎないではないか。
そんなことより、会社の金の私的流用のほうが悪質だと井上氏は述べるが、
たしかに一般の感情からしても、そういうことが言えるだろう。たとえば、
ベンチャー投資名目で海外子会社をつくり、自宅用の高級住宅を購入させた
とか、フランスのベルサイユ宮殿を借り切って、再婚相手と結婚式をあげた
とか、会社の金で贅沢三昧、会社の私物化は度を越えている。
ゴーン氏が斜陽の日産自動車をV字回復させたことは事実だが、だからといっ
て会社の私物化は許されない。斜陽の会社を立て直すために彼が行ったのは、
徹底したコストカットである。リストラで職を失った多くの従業員の苦境を
思えば、会社を私物化しての贅沢三昧はトンデモな行為だとの思いを禁じ得
ない。
また、ゴーン氏を追い落とそうとした日産の一部勢力にとっても、この不正
流用の意味は重い。資金流用という会社への背信行為は、彼を会社から追放
する充分な理由になり得るからだ。
では、日産の一部勢力は、なぜゴーン氏を追い落とそうとしたのか。個人的
な恨みや妬みといった感情以外に、ゴーン氏を会社から追放しなければなら
ない理由がーーのっぴきならない理由が、なにか他にあったのだろうか。井
上氏によれば、それはゴーン会長の下で、次第に強まるルノーの影響力を排
除し、日産の独自性を維持したいとの、生え抜き企業人の思いである。日産
の西川CEOは、そのためにはゴーン会長の影響力を殺(そ)がなければなら
ないと考えたという。
今回の事件では、ゴーン会長の特異なキャラクターという個人的側面ばかり
にメディアの関心が集まっているが、この事件がグローバル・アライアンス
企業の内部抗争の面を持つことも見逃してはならない。
この抗争の背後には、仏企業(ルノー)と日本企業(日産)との統合を阻止
しようとする日本政府の国家意思が働いており、したがって東京地検による
今回の捜査は「国策捜査」ではないか、という見方もある(「リテラ」)。
そういう国家意思を尻目に、仏企業と日本企業との統合がうまく行けば、そ
して日仏の国境の垣根が低くなれば、日仏戦争が起こる可能性は限りなく低
くなるのではないか、ーーそう考える天邪鬼爺のこの頃である。
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