(H28/10/7 毎日新聞)
広告代理店最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が昨年末に自殺したのは、仕事量の著しい増加で残業時間が急増してうつ病を発症したためとして、東京労働局三田労働基準監督署は労災と認定し、労災保険の支給を決定した。遺族代理人らが7日、明らかにした。 (同日 毎日新聞)
「仕事も人生も、とてもつらい。今までありがとう」−−。昨年のクリスマスの早朝、東京で1人暮らしの高橋まつりさんから静岡県に住む母幸美さん(53)にメールが届いた。あわてて電話し「死んではだめよ」と話しかけると、「うん、うん」と力ない返事があった。数時間後、高橋さんは自ら命を絶った。
高橋さんが中学生の時に両親が離婚。「お母さんを楽にしてあげたい」と猛勉強して東京大に入り、電通に入社した。だが高橋さんのSNSの書き込みは昨年10月以降、「体も心もズタズタ」「眠りたい以外の感情を失った」などと深刻になった。「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」などと上司からパワハラ発言を繰り返されていた様子も書かれていたという。
政府が7日公表した初めての過労死白書は、「過労死ライン」とされる月80時間超の時間外労働をしている企業が2割あると指摘した。幸美さんは7日に都内で記者会見し「娘が生きているうちに対策をしてくれなかったのかという思いでいっぱい」と無念さをあらわにした。
電通は先月23日、ネット広告を契約通りに流さず、広告主に過大請求していた問題を公表している。高橋さんが所属していたダイレクトマーケティング・ビジネス局もこの問題に関わっていたという。
〔 所 感 〕
毎日新聞だけでなく、大手マスコミ各社が身内ともいうべき"電通"のことを採り上げ記事にするということについては、どうも胡散臭さが漂うのだが、まぁそれはともかくとして、われわれ一般国民が、"電通"なるものと直接的に関わるというのは稀な話しである。
テレビ番組をよく観られる人なら、番組最後のテロップなんかで"電通"という文字を目にすることもあるだろう。さらには「アンケート調査会社のデータによると・・・」という下りなんかを、番組司会者などから耳にすることもあるだろうが、この場合のアンケート調査会社とは"電通"を含める、大手広告代理店などが主流となっているケースが多い。
この広告代理店というのは、独自で調査したデータを、メディアなどを通じて拡散させ、そして国民に流行やブームを浸透させる(年代別や性別などを対象に)。そして、流行りやブームというのは、単なる企業戦略だけでなく、政治戦略にも用いられるようにもなり、各党が掲げる政策提言(マニフェスト)などにも影響を及ぼすようにもなる。
さらには、大手広告代理店というのは、世の中の"空気"そのものまでもを自由に操作ができ、知らず知らずのうちに国民の多くが、広告代理店が創造する流行り・ブーム・空気に翻弄され続けていることになるのだが、感じ方は人それぞれなので、ここで否定も肯定もしないことにする。(筆者としては危機感を抱いているが)
そんな中、筆者にはタクシー運転手の知人が多く、その中でも大阪・梅田周辺を中心にお仕事されている運転手さんたちに聞いた"電通"にまつわる話しをひとつ・・・。
大阪・堂島には電通の関西支社があり、社員がタクシーをよく利用するという。そのことについては運転手さんたちも、有難いことだそうだが、問題なのは乗車マナーである。
ある運転手さんが、「電通の社員、あんまり乗ってほしないなぁ。近距離が嫌とかやないねんけど、態度が横柄すぎるねん。完全に運転手のこと舐めとるさかいにな。」と言うと、その場にいた同じ運転手さんたちも、ウンウンと頷いていた。
さらに別の運転手さんが、「最近は車内カメラも付いとったりするから、ワシらも昔みたいに無茶は出来ん。昔に考えたら運転手の質は確実に上がっとる筈やなねんけど、客の質が落ちとる。とくに電通の社員は昔のまんまや。〔同乗した〕若い社員にもボロクソやったで」と言うと、また別の運転手さんたちが、ウンウンと頷くのだ。
筆者としては、タクシー運転手さんに限らず、自社の若い社員に対するこうした電通社員の横柄な態度の"元"にあるのは何なのか、というのが一番気になるところでもあったが、そのことは、この電通という戦前戦後における企業の成り立ちや経緯、また戦略十訓(現在は使われていないとするが)というものを鑑みたとき、「なるほど」と納得させられるのだが、まさに一般庶民的な感覚を一切もたない、なにかしら得体の知れない集合体(選民思想集団?)であるかのように感じてしまった。
これ以上多くを述べても仕方がないので、このあたりで留めようと思うが、"電通"というものの存在を深く知ることで、この国の実態みたいなものがより垣間見えてくるともいえよう。
そして今後、さらにマスメディアと広告代理店との関係性というものを観察し、できる限りこうした選民思想的な考え方の人たちとは関わらない人生を送っていきたいものである。
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