老いの才覚
著者 曽野綾子さま
25
かつては、損のできる人間に育てるのが、教育の一つの目標でした。
152
句碑、歌碑、文学碑は、背景の邪魔になります。
私は、死んだ後のことは何一つ望まない。自分の葬式も必要ないと思っているくらいです。
肉体が消えてなくなったのを機に、ぱたりと一切の存在がなくなるようにしてほしい。
何もかもきれいに跡形もなく消えるのが、死者のこの世に対する最高の折り目正しさだと
思っているからです。
168
私は、孤独と絶望こそ、人生の最後に充分味わうべき境地なのだと思う時があります。
この二つの究極の感情を体験しない人は、たぶん人間として完成しない。
孤独と絶望は、勇気ある老人に対して 『 最後にもう一段階、立派な人間になって来いよ 』
と言われるに等しい、神の贈り物なのだと思います。
著者 曽野綾子さま
25
かつては、損のできる人間に育てるのが、教育の一つの目標でした。
152
句碑、歌碑、文学碑は、背景の邪魔になります。
私は、死んだ後のことは何一つ望まない。自分の葬式も必要ないと思っているくらいです。
肉体が消えてなくなったのを機に、ぱたりと一切の存在がなくなるようにしてほしい。
何もかもきれいに跡形もなく消えるのが、死者のこの世に対する最高の折り目正しさだと
思っているからです。
168
私は、孤独と絶望こそ、人生の最後に充分味わうべき境地なのだと思う時があります。
この二つの究極の感情を体験しない人は、たぶん人間として完成しない。
孤独と絶望は、勇気ある老人に対して 『 最後にもう一段階、立派な人間になって来いよ 』
と言われるに等しい、神の贈り物なのだと思います。