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合歓の花この世は見えざるもの多し西嶋あさ子
合歓の花は夏の季語ですが、「合歓」という言葉の響きがとても柔らかいので、花に限らず詩やさまざまな施設などのネーミングなどにもたくさん使われています。花言葉は「歓喜」とか「胸のときめき」となっています。やはり柔らかく美しい響きではあります。
昭和30年代に住んでいた家の裏を小さな川・・・本来は農業用水路・・・が流れていました。子供にとってはかなりの高さの土手に合歓の木が一本ありました。
泥だらけになってチャンバラごっこをしている私の眼には、手を触れると小さな葉が連なった不思議な葉っぱが一斉に閉じる変わった木という以上の何物でもありませんでしたが・・・。
この句、見たいものや会いたい人が沢山あるのに、もう見えない‥姿も気配も・・・という悲しみなのでしょうか。切ない思いを切ない言葉ではなく、「見えざるもの多し」と言い切っているところに深い余韻と作者の生き様が見えるような気がします。