旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

多摩川周辺の治水史ー宿河原堰堤と二ヶ領用水

2021-02-03 22:38:25 | 水の道逍遥
これまで眺めてきた宿河原堰堤。
それを対岸の川崎市多摩区宿河原の方から見てみたいと思い、自転車に乗り行ってきた。
この堰には二ヶ領(にかりょう)用水の取入口がある。
※この用水の取入口はすこし上流部の稲田(上河原堰堤)にもあるが、今回は諦め、次回に回すことにした。

二ヶ領用水は総延長32㎞で、川崎市のほぼ全域を流れる神奈川県下で最古の人工用水。
二ヶ領とは、江戸時代この用水が川崎領と稲毛領とにまたがっていたことに由来するもの。

建設は、徳川家康の江戸入府に伴い、治水と新田開発を命じられた用水奉行小泉次大夫の差配の下に、慶長2(1597)年に始まり、14年後の慶長16(1611)年に完成している。
開削から 100 年が経過した江戸中期には、各所で老朽化が目立つようになったため、「川崎宿中興の祖」と言われた御普請役人の田中休愚の下で、「上河原取入口圦樋」や「久地分量樋」など大規模な改修が行われた。
これによって、60 ヶ村、約 2,000 ヘクタールの水田に水が引かれるようになった。

明治以後は、二ヶ領用水から取水する横浜水道が開設(明治8(1875)年)されたり、工業用水として利用された。
また、昭和16(1941)年には円筒分水が完成。
川崎市は二ヶ領用水総合基本計画を策定し、環境整備にも取り組み、官民挙げて現代まで大事に守り続けてきている。



(多摩川から二ヶ領用水への取入口)


(二ヶ領用水取入口)




(宿河原堰堤:左端に魚道がある。)




(頭を水の中に入れて何かを食べているカモたち)




(上記案内板の一部を拡大)


二ヶ領せせらぎ館:多彩なボランティア活動の拠点。その活動には目をみはるものがある。)


(船島稲荷神社)


(この像は山イヌ(オオカミ)かと思ったが、キツネか?)


堰を後にして二ヶ領用水わきの遊歩道歩きに移る。









(取水口)


(上部はサクラ並木の遊歩道)


(川面にデッキが延々と整備されている。)


(JR南武線のガード下をくぐる。高さは150㎝くらいしかない。)


(水路に架かる趣き深い橋)




(子供たちの格好の遊び場になっている。女の子たちが集まって談笑していた。)


(八幡下圦樋)








(少しの時間だったが立ち寄った川崎市緑化センター)


(徒然草第115段「宿河原といふ所にて~}の碑)


(稲田取水口からの用水との合流点:右は宿河原側からのもの)


ここからは一般的な都市内河川の様相になり、JR南武線久地駅を過ぎると面影を探すようになってしまう。
そしてさらに下り、円筒分水へ。
この施設は、まさに知恵の結晶と称すべきもの。



(円筒分水)














(二ヶ領用水と平瀬川(手前)の合流点)


(「久地大圦樋竣成記念撮影 明治43年4月」とある。)


せっかくなので、すぐ近くの稲荷神社にも寄ってみた。





とにもかくにも、先人の苦労の歴史に触れ、感慨深い歩きになった。
サクラの開花の季節には、ぜひとも再訪したいものだ。
またいつか、今回たどらなかった上河原堰側のコースめぐりも実行しようと意を新たにして帰ってきた。

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