旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

塩釜湾の浦戸諸島に行く(1)- 寒風沢島

2012-05-13 22:55:18 | 水の道逍遥
江戸時代の末期に、仙台藩が我が国最初の洋式軍艦を建造した地の寒風沢島。
(注) わが国最初の様式軍艦建造と紹介されたりするが、それは誤り。
     詳細は ⇒ こちらをご覧ください。

そこにある造艦碑が、東日本大震災の津波でどうなってしまったのかとても気になっていた。

定期船の時刻表、島の間の渡船の状況を確認し、一人気ままな歩きをしてきた。




▲歩いたコース図(当然、海の上は船で移動)

設定コースと時間は、次のようなもの。
ただし、強風のため、野々島~石浜(桂島)間は渡船ではなく、定期船を利用することになってしまった。

マリンゲート塩竈発 9:40 →(定期船)→寒風沢島漁港着 10:31 ~造艦碑~日和山展望台・しばり地蔵・十二方角石(危険のため侵入禁止)~弁財天社・砲台跡~神明社~海水浴場(「チリ地震津波被災の地」碑)~韮浜~元屋敷浜~六地蔵~真言宗「松洞山寒山寺」~漁港着13.10 発13:30 →(渡船)→ 野々島港(浦戸諸島開発総合センター前)着 13:40    

※ 野々島港から先は、別途掲載します。


いつもながら、渡船には心から感謝している。
今日も強い風で波が高いので、マリンゲート塩竈を出発する前から半分あきらめていた。
元屋敷浜で昼食をとりながら、携帯電話で航行可能か問い合わせてみたところ、「風が収まるのを待つしかない。とにかく、漁港に着いたら電話して欲しい。」とのこと。
そこで再度電話。
なかなか出ないので気をもんでいるうちに、間もなく船が来てくれた。
野々島と桂島の石浜の間は、強風も強風、高い波で荒れていた。
そこを乗り越え、私たち(声をかけたところ一緒に渡ることになった大学生の皆さん)を運んでくれた。

寒風沢島水道から眺めた港周辺は、何事もなかったかのように見えた。
しかし、桟橋が無くなっている。その背後に密集してあった住宅も・・・。
反対側の野々島の浮き桟橋は、沈んでいる。



▲寒風沢島港(浮桟橋がなくなっている。)


▲対岸の野々島桟橋(沈下。大震災前は、渡船ですぐに渡ることができた。)
  ※ この桟橋が使用不可では、浦戸小・中学校に通う子供たちはどのようにしているのだろう?


▲寒風沢漁港(定期船、渡船の発着場ともなっている。)


▲港背後地の集落(津波で被災し、更地になっている。)


▲これだけ残った十二方角石(複製版):この隣には、休憩所とトイレがあった。



造艦碑は、なぎ倒されていた。
しかし、折れてはいないそうだ。
安心して少し力が抜ける一方、「また、再び! また、ふたたび!!」と思えてきた。



▲造艦碑(左側に倒れているように見えるのは台座。その脇のブルーシートに包まれているのが碑)


ここから、島内の歩きを開始。
立ち入り禁止の日和山展望台から砲台跡へ続く遊歩道の整備に汗を流していた方々(年配の男性2人、女性1人)から、津波襲来時の様子を教えていただいた。
寒風沢島の死者は3名(うち一人はいまだ行方不明)。



▲船入島弁財天大神社、船入島龍神大権現社


▲砲台跡


▲神明社


▲寒風沢島海水浴場手前の菜の花(松が枯れている。)


▲海水浴場


▲無事だった「チリ地震津波被災の地」碑


▲塩害で葉が赤くなった海岸の黒松(元屋敷浜への道分岐)


▲韮浜(防潮堤の後側は、津波に洗われ、損壊している。)



元屋敷浜は、湾側は美しく見えるが、防潮護岸堤の手前側は大きく破壊されている。
もともと湿原地帯だったのだが、それにしても深い冠水状態。
浦戸諸島で唯一水田のあった地帯では、きちんとした基盤整備工事が進められていた。



▲元屋敷浜の防潮堤(陸側)


▲元屋敷浜(積み上げられた土のう)


▲元屋敷浜の景色


▲水田整備が進む(前方を行くのは、東北学院大学の皆さん)


▲六地蔵(以前来たときよりも風車の数が多いように思えるが・・・。)



残念なことに、今回もまた「要の浜」には行かないでしまった。
次回は、美女ヶ浦、鰐ヶ渕水道とあわせて、必ず見たい。




▲寒風沢島を後にする


▲陰田島の脇の水道を、高い波を越えて船は行く


▲陰田島の舳先にある岩(マリア様が手を合わせ、ひざまずいて祈っているように見える。地震崩落でできた。)
  ※映画「風の谷のナウシカ」では、オームの群れの前にナウシカだったが・・・。


▲お世話になった渡船(本当にありがとうございました。)


※ 次に渡った野々島の詳細 ⇒ こちら

※ 以前に訪れた際にまとめた寒風沢島の詳細 ⇒ こちら


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