ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『VRおじさんの初恋』#12~#18

2024-05-11 20:55:40 | TVドラマ全般

「僕が愛したホナミは…」

「穂波だった。」



ネットオタクの直樹(野間口 徹)なら充分に予想できた筈のオチなのに、恋は盲目。そりゃもう仕方がない。

大きな屋敷に独りで暮らす穂波(坂東彌十郎)は、驚きつつも嬉しそうに直樹を迎え入れます。



けど、直樹は自分のことを棚に上げて、VR世界のホナミ(井桁弘恵)と現実世界の穂波とのギャップに戸惑いまくり、あんなに昂ってた気持ちがみるみる萎んじゃう。

それより何より、心のオアシスだった筈のVRゲーム「トワイライト」の世界を、自らの愚行により現実とゴッチャにしてしまったことを激しく後悔し、穂波はおろかホナミと会うことすら気が重くなっちゃう。

そのくせ、穂波のアクセスが途絶えると気になって仕方がない。VR世界でホナミがナオキ(倉沢杏菜)に別れを告げたのは、穂波が間もなく手術を受ける(それほどの病気を抱えてる)からなのでした。



普段にも増してボーっとしてる直樹に、お節介焼きの同僚=佐々木さん(堀内敬子)が「あまり思い詰めない方がいいですよ」と声をかけてくれます。

「分かってるんです。考えないようにしてるんです。でも、考えちゃう。考えないようにすればするほど考えちゃう。これ、どうすればいいんですか?」

すると佐々木さんは即答します。


「行動することです。案ずるより、産むが易しです」

佐々木さんは「直樹さんにカノジョが出来た」と勝手に思い込んでアドバイスしたんだけど、そのお陰で吹っ切れた直樹は穂波に<体調はどう?>とLINEメッセージを送るのでした。

<明日、手術になりました。怖いです>というレスに、直樹は<大丈夫、俺がついてる>と返す。



この辺りで我々視聴者は、本作が単にVR世界を舞台にしたメロドラマなんかじゃなく、そんな幻想が無惨に打ち砕かれた後のストーリーこそが、むしろ本題であることに気づかされる。

初恋相手=ホナミの正体が色んな問題を抱えた老人であることは、これまでの人生で直樹がずっと避け続けてきた「厳しい現実」の象徴であり、問題は彼がそれをどう受け止め、どう乗り越えて、どんな変化を遂げるのか。

先のLINEにおける力強いメッセージに、その兆しがすでに表れてますよね。

で、どうやら手術は無事に終わったようで、二人は「トワイライト」で再会する。

「私、感激です。誘ってくれて嬉しいです!」



けど、以前とは気分が明らかに違う。お互い相手がオジサンであることを知っちゃったし、特に直樹にとって「トワイライト」は煩わしい現実からの逃げ場だったんだから。

「現実でも会いたがる穂波の気持ちが解らない。正直、面倒だ……」



さもありなん。私だってそんな心境になるだろうと思います。けれど直樹は、穂波の病が想像以上に重いことを、まだ知りません。

穂波は、自分の人生が終焉を迎えつつある事実を、誰にも明かしてない。どうやら独りで静かに死のうと考えてる。

私はその気持ちも解るし、なのに残された時間を気の合う友と一緒に過ごしたいっていう、人間ならではの矛盾も何となく理解できます。



「また、家にも遊びに来てもらえますか?」

「……オレは、正直、こっち(VR世界)で会えればいいと思ってる」

「…………」


「オレは、こっちの世界が好きで、ずっと過ごして来た。こっちの世界があるから生きて来れた。それは、この世界を信じて来たからだ。現実と混ぜるのは……この世界を裏切ることになると思う」


「……もし、直接会わないなら、もうこの世界には来ないと言ったら、どうしますか?」

「……解って欲しいんだけど、オレは、穂波が男性で、自分より歳上で、だから会いたくないって言ってるワケじゃない。この世界は、現実と切り離してこそ成り立つんだ」

「…………解りました。直樹の気持ち、受け止めました。そうしましょう」

「ごめん」


「謝らないで下さい。ごめんって言うなら、有難うでお願いします」


「そうだね。有難う」

二人は決別したワケじゃありません。現実世界では会わないと決めただけで、VR世界でのデートはこれまで通り。だけどやっぱり気持ちが伴わない。

「前までは待ち遠しくて仕方がなかったのに、今は……よく分からない」

分からないんだけど、ホナミのことも穂波のことも頭から離れない。さんざん葛藤した末に、直樹が出した結論は……


「……オレ、勝手すぎるな」

現実世界でも穂波とつき合って行く覚悟を決めた直樹は、再び彼の屋敷を訪れるんだけど、ここで物語も再び大きく動き始めます。



まず、穂波の一人娘でIT企業の経営者=飛鳥(田中麗奈)が登場し、彼女の指令により穂波の様子を伺いに来た息子(すなわち穂波の孫)の葵(柊木陽太)が、祖父と謎のVRオジサンとの仲睦まじい姿を目撃してしまう!



けれどかしこい葵は、飛鳥に報告する前に2人の関係を確かめるべく、こっそり穂波のVRマシン(もとは葵が使っていた)で「トワイライト」にログインし、2人の待ち合わせ場所である「生命の森」を探します。



葵のアバターである「アオイ」もやはり美少女(井上音生)。アバターを異性に設定するのはVRプレイヤー“あるある”なんだそうで、もし私がVRをやるとしてもやっぱり女の子を選ぶと思います。理由は、変態だからです。



それはともかく、アオイは目撃してしまう。自分の祖父が謎のVRおじさんに甘えまくった挙げ句……



チュバチュッチュしちゃう姿を!


「とんでもないものを見てしまった……!」

(つづく)


子役の柊木陽太くんがとてもイイ! キュートさが売りだったり泣く演技が得意だったりする「あざとさ」が無くて、芝居がすごくナチュラル。主演映画『怪物』で日本アカデミー賞 新人賞を獲られたのも納得の素晴らしさです。

そしてアオイ役の井上音生さんも第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞と集英社賞(りぼん賞)を受賞して芸能界入りし、舞台ミュージカル『魔女の宅急便』の主演などで知られる実力派。

倉沢杏菜さん、井桁弘恵さんと共に本作でブレイクされること間違いなし! 野間口徹さんはいわゆる“アゲチン”なのかも?


3人の中で一番ファッションモデル顔の井上音生さんが、一番背が低いのが意外。157cmなんだそうです。






コメント (2)
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