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南木佳士『落葉小僧』1996・文春文庫-おとなが味わう生きる痛みと哀しさの物語たち

2023年10月01日 | 小説を読む

 2020年秋のブログです

     *

 南木佳士さんの短編集『落葉小僧』(1996・文春文庫)を再読しました。

 この本も本棚を眺めていたら、読んで、読んで、という感じで並んでいて、つい読んでしまいました。

 おそらく20数年ぶりです。

 当然(?)、中身は忘れていて、またまた新鮮な気持ちで(?)、読めました。

 南木さんはじーじの大好きな作家さんのお一人で、芥川賞を受賞した『ダイヤモンドダスト』以来、ずっと追いかけてきている小説家です。

 『阿弥陀堂だより』『冬物語』『医学生』その他もろもろ、いい小説だね、うまいなあ、とうなる小説が多いです。

 本書もすてきな短編小説が並んでいますが、じーじが今回、気に入ったのが、表題にもなっている「落葉小僧」とその続編の「金印」。

 いずれも信州の田舎の村で開業医をしている男性が主人公ですが、なかなかいい味を出しています。

 こんないい小説を長く再読しなかったのは、若い時にはわからなかったところがあったのかもしれませんが、それにしてもおそまつな読者です(南木さん、ごめんなさい)。

 二作とも、あるいは、他の小説も、決して明るい小説ではなく、おとなの生きることの辛さや痛み、哀しみなどが描かれていますが、淡々とある種の諦観とともに書かれていて、後味は悪くありません。

 おとなの小説なので、若い人には少しわかりにくいところがあるかもしれませんが、中年以降の読者にはわかるのではないでしょうか。

 たぶん、長く生きるとは、そういうことなのかもしれません。

 しかし、何度読んでも色あせない深さがあります。

 今度は早めにまた再読をしたいと思います。 (2020. 10 記)

 


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2 コメント

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Unknown (tkgmzt2902)
2021-06-09 14:57:28
ダイヤモンドダスト、同じ感動をしたと思うと嬉しく思います。
その後暫く病気だったようです。
コメント、ありがとうございます (どさんこじーじ)
2021-06-09 15:06:08
『ロビンソンの末裔』もそうでしたが、同じ小説や作家さんに感動できるのって、なんかうれしいですね。
お顔も知らないのに、仲間という感じがします。
今後ともいろいろと教えてください。

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