遠くの空を 眺める目には
鳥の群れさえ うつりはしない
風の色すら 気づきはしない
誰かの庭に その家の人が
朝に夕に 丹精こめた水をかぶって
ひそかにかおるグラジオラスの香
言い忘れたあの言葉を拾い
伝えるすべを 空にたくせと
囁く声が聞こえたようで
季節外れの 涼風ふけば
心は 遠くの空にのぼり
想いのたけを雲にのせたよ
遠くの街のあなたの元へ
雨となってまい降りたのを
あなたはきっと 気づきもしない
冷たい雨だと伝える声が
電波を使って 耳に届く
お天気ニュースの言葉は現実(うつつ)
グラジオラス
花言葉 密会、用心、思い出、忘却、勝利