もう随分前になるけれど
雪だるまの父つまりお父さん雪だるまは会社の事故で入院をした
会社の近くの病院に入院をして生死の境をさまよっていた
会社関係者から送られてきた大きな花束で病室は一杯だった
でも病室の空気はどんより重苦しくて灰色だった
そんな時ご近所の方がお見舞いに来てくださって
庭で摘んだすみれの花で作った花束をくださった
ちいさな ちいさな 手の中に隠れるくらいの
淡いむらさきのすみれの花束
細いリボンをかけてはかなくて可憐な花束
ほのかな上品なかおりがした
どんな豪華な花束よりも嬉しかったことをよく覚えている
お父さん雪だるまは奇跡的に回復し
今でも元気に大好きなあんこのお菓子を食べている
すみれの花の咲くころになるとあのときの事を想い出す