竜宮城のような別世界で、耕一は夢のような生活を送っていた。
しかし、そんな生活が3日、4日と続くうちに、さすがの耕一にも疲れが出てきた。
疲れと共に言い様の無い虚しさが彼の心を支配し始めた。
「俺はこのアメリカの女に買われているのだ。そして奴隷のように扱われている・・・」
そう思うと、耕一は一刻も早くそこから逃げ出したくなった。
しかし金髪女人の欲望はまだまだ収まる気配が無い。
彼女は1ヵ月後に帰国する予定であった。本国に帰ったらこんなカミカゼ的な素敵な男に巡り会うことはないであろう。
そんな思いの金髪女人も必死である。疲れた耕一に栄養ドリンク剤を与え、回復するとお酒を飲ませて酔わせた。そして更に求めた・・・・・・・。
しかし、そんな努力も1週間が限界であった。
耕一はベッドから立ち上がることが出来ないほど疲労困憊していた。
翌朝、1週間前ホテルに耕一を迎えに来た運転手がドアをノックした。
トランクがいっぱいになるほどのプレゼントを積んだ将校用の車は、耕一を乗せてゆっくりと竜宮城を離れた。
緑の芝と抜けるような青空。耕一の耳には軽やかなジャズのメロディが流れていた。
キャンプのゲートを出ると、戦後の焼け跡の痕跡が残る横浜の街並みが見えた。
シートにゆったりと腰をおろした耕一は、金髪女人からもらったタバコを一本口にくわえ、火をつけた。
深く煙を吸い込み、そしてゆっくりと白い煙をはいた。
白い煙はゆらゆらと漂い、そして消えた。
走る車の窓から外を眺めると、所々に瓦礫が山となって積まれている。
その瓦礫を眺めながら、耕一はあの頃の事を思い出していた。
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