車から降りた耕一は、しばらくその場に立ち尽くしていた。
白い将校宿舎のあのドアを開けたら、どんな女性が現れるのかと想像しただけで、足が動かないのだ。
それも当然である。耕一はその時まだ二十歳。まだウブな青年である。初めて接するアメリカ人の女性になんと声をかけたらいいのか分からないのだ。
その時、宿舎のドアが開いて金髪の女人が姿を現した。
「ハーイ リトルボーイ カムイン!」
金髪女人が明るい声で耕一に呼びかけた。
耕一はハッとして10m程先のその女人の容姿を凝視した。
顔はかなりの美形。身体のプロポーションも抜群だ。
肌にぴったりフィットしたTシャツの下の豊かな胸、短パンから伸びたすらりとした脚、はちきれそうなその太もも!!
その肢体を見た瞬間、若い耕一の思考回路のヒューズがはじけた。
気がついた時は大きなベッドの上だった。
そしてその後の耕一の身体は、金髪女人のなすがままとなった。
思考回路の止まった耕一は、その金髪女人の宿舎に一週間滞在した。
いや、滞在したと言うよりは、軟禁状態になっていたと表現した方が的確であろう。
金髪女人は耕一をすっかり気に入ってしまい、彼を解放しようとはしなかったのだ。
その当時、独身(単身)の進駐軍女性将校(兵)達は、密かに「ニッポン男児狩り」を楽しんでいたらしい。
彼女達の間では、ニッポンの男の性能の良さが評判になっていた。
「カミカゼの彼らのテクニックは凄いわよ!」
と、その噂に尾ひれが付いて面白おかしく広まって行ったという。
よって、任務を終えて帰国するまでには、一度でいいから東洋の神秘の国のニッポンの男を体験してみたいと、彼女達は熱望したのであった。
そして幸か不幸か、耕一はそのターゲットの一人となってしまったのである。
しかし、いずれにしても耕一は、まさに夢の世界に引きづり込まれたのである。
そこは現代の竜宮城であったかも知れない。
戦後の食糧難の時代に、そこでは厚くて大きな美味しいビフテキが毎日食べ放題であった。
それまで見たことも無かったチョコレートやクッキーなどがカゴにいっぱい入っていた。
大型冷蔵庫の中には、コカコーラという不思議な味の飲み物やジュースのビンが何本も入っていて、いつでも冷えたドリンクを飲むことができた。
部屋の中には軽やかなジャズナンバーが流れていた。
「ここはこの世の世界か・・・・」
と、思考回路が止まった頭で、耕一はぼんやり考えていた。
そして耕一の若い身体は、日ごと夜ごと美人女人将校のなすがままとなって行ったのであった。
(作者注:この話はフィクションであり、作者が妄想の翼を広げて書いたものであることを申し添えます)
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