埼玉県・群馬県は現在水道水の水の一部30%程度を地下水に依存している。両県の各自治体が広域で地下水をくみ上げているため、地下水位が低下し地表の乾燥化を招いている。その結果、野生動植物は乾燥に強いものが生き残り、乾燥に弱い動植物は衰退していると考えられる。かつて羽生市宝蔵寺沼のムジナモが野生絶滅に至ったのは地下水位が下がり湧水が途絶した時期に重なっており、多々良沼のムジナモも同様と考えられる。地下水汲み上げによる地下水位の低下は夏のヒートアイランド現象を加速し、両県の夏の暑さは当然の帰結といえる。自然環境の保全・涵養には、両県の各自治体による水道水用地下水の汲み上げは早急に停止すべきである。水道水用の表流水を確保には、八ッ場ダムは極めて重要である。東京都は水資源の確保に力を入れたが、埼玉・群馬の両県は表流水の確保を怠り、安価な地下水に頼った結果自然環境を破壊してしまったことを、我々は反省すべきである。自然環境の変化の実態は、長期にわたる定点観測の継続が重要で、自治体による地下水くみ上げ量と地下水位観測井の関連データは重要で、相関関係があると思われる。地下水を汲み上げを停止すれば、地下水位は上昇快復し、汲み続ければ下がったままとなる。このままでは、野生の動植物にとっても、人の住む環境にとっても悪化したままとなり、地下水の涵養は生態系にとって極めて重要な因子になっているのである。
八ッ場ダム堰堤コンクリート打設中
八ッ場ダムの上流部
八ッ場ダム堰堤コンクリート打設中
八ッ場ダムの上流部