羽生市宝蔵寺沼ムジナモ自生地は埼玉県の北部のいわゆる加須低地に位置し羽生市の東部にある。高度経済成長期に埼玉県の人口の増加水需要増を安価な地下水依存し地下水の多量に汲み上げにより、地下水位が下がり地表の乾燥化とともに、湧水が途絶し1965年(昭和40年)以降羽生市宝蔵寺沼ムジナモ自生地は、水質汚濁が進行しムジナモの自生が困難となり野生絶滅に至っている。
宝蔵寺沼の水環境を改善するため2009年3月から沼の水をポンプで排出させ水郷公園側からの水の流入を図り、停滞していた沼の水質の改善を図ることにした。ポンプ稼働5~6ヶ月後には永年消滅していたタヌキモ、ヒシが沼の中央部に回復し、時間経過と共に他の水生植物も増え、これらの分布が拡大してきた。2011年7月に前年放流したムジナモが宝蔵寺沼の中央付近で、ウシガエルのオタマジョクシ、アメリカザリガニ、コイ、カルガモなどの厳しい食害に遭いながら、1年以上自然状態で増殖・生育していることが確認できた。その後定点を定め各所に放流を継続している。2015年(平成27年)3月現在沼中央部の1地点では再放流することなくムジナモの継続自生が確認されている。