どうしてこの寒いのに 公園なんて行かなきゃなんないのよ
やはり君は反対した
森林公園だよ 普通の公園とは違うんだ アスファルトなんてないんだよ
幸い雪も降ってないし 行って見ようよ
嫌がる彼女を車に乗せ 僕は森林公園を目指した
着いてみると先日降った雪がまだ残っていた
君は着いてすぐに走り出した
すごーい 足の下がぜーんぶ落ち葉よ 天然のソファーみたい
君は大の字になって寝転がった
風邪引くよ
僕が手をもって起こしたとき 君はじっと僕を見据えた
そして目に涙を浮かべた
こんなとこに連れてきて 別れを言い出すつもりなんでしょ
見なさいよみんな枯れてしまってるわ
あなたの心も枯れてしまったのね
君は涙を飛び散らせながら また走り出した
僕は必死で追いかけた
君は木の根っこで つまずいて転んだ
幸い落ち葉のクッションが君を守ってくれた
横に座ると君はしゃくり上げていた
何 早合点してんだよ
ごらん あの二本の木を あれは桜
あんな細いのに 雪にも寒さにも負けずに生きているんだよ
今は裸だけれど 春になれば花をいっぱい咲かすんだ
そして秋になれば葉を落とし また春を待つ
その間落ち葉は熟成され 木の養分となる そして育ってゆく
僕たちもあの木に負けないで
ずーっと一緒に頑張っていこうって言いたかっただけなのに
君はまだ泣いていた
本当?
私を捨てたりしない?
この落ち葉みたいに
僕は君をしっかりと抱きしめて言った
いつまでも二人でいよう
あの二本の桜の木が 何度も花を咲かせながら育っていくように