走ってはいかない
君がびっくりするからさ
ぶつかって 飛んでいくかもしれない
だから ゆっくりと 近づくんだ
ねえ あの日のことを覚えているかい
僕たちはあまりにも早く 近づきすぎた
そして
気がつけば ふたりは
広大な空間の中に散らされ
離れ離れになってしまった
でも 数年を経て 再びこうして巡り合えた
だから . . . 本文を読む
ひさしぶりだね 元気にしていたかい
ひさしぶりだね 恋はしているかい
気になっていたんだ とても
気になっていたんだ きみが
遠い昔だね あの日は
遠い昔だね あの夜は
あれは 何年前のことだっけ
あれは きのうのことだった
どっちでも いいかな
どっちでも いいよね
空には同じ 太陽が光る
. . . 本文を読む
午後の遅い時間
群青の日本海にそそり立つ
崖にベンチが ひっそりと置いてある
そのベンチに腰掛けて
一羽の海鳥を見ている
その海鳥は 空中に浮かんでいる
目に見えぬ 風 に身を任せているのだ
そして 次の瞬間青い空を 滑って行く
美しい
そうだかつて 今のように 海を往く鳥を見ていた
いつのまに僕は鳥のこころを忘れてしまっていたのだろう
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