初雪と紅葉(もみじ)知らせし紅(あか)に白
紅葉を愛でていると、手のひらの上鮮やかな深紅の葉の中央に、真白い六花の風花(かざはな・雪)が舞い降りる
そんなシーン…
想ひでのワン・シーン
あの日 、あのときあなたと僕は・・
想ひではタイムマシン
素敵なことだけが甦るわけではない
想ひではタイムマシン
向こうを向いて肩を震わせる君
そ . . . 本文を読む
歩道橋の上から道路を見ていた
車、トラック、オートバイなどが走り去っていく
この風景は、二度と同じものを見ることはないんだな、と思いながら眺めていた
今日は12月11日張りつめた空気が肌を刺す
僕は歩道橋の上に立っている約束だからだ
去年の今日 僕はここである女性とぶつかった二人とも転びはしなかった
大丈夫ですか?
大丈夫、でも・・
彼女のバッグが地に落ち 化粧品などが散らばっ . . . 本文を読む
軽い接触事故だった
彼女の黄色い軽自動車は、少しへこんだだけ
僕のサルーンは、バンパーにすり跡がついただけ
降りてきた彼女は涙ぐんだ
昨日納車されたばかりなのよ、ひどい・・
事故の責任は彼女にあった
無理に割り込んできたのは彼女の方だ
でも、言えなかった
車が修理から返るまで、彼女は自分の職場への送り迎えを要求した
無茶な要 . . . 本文を読む
ラヴレターを書き始めた 君宛に
雨が果てしなく 降り続く
雨音だけが 天の歌声だけが庭先から 辿り着く
僕は君が好きだ 大好きだ
いつも僕の全身を君という存在が満たしてる
何を見ても 何をしてても君がそこにいる
出逢いは ささやかなものだった
僕たちは こわごわよそよそしく はじめの言葉を交わした
ねえ 僕に 魔法をかけたでしょ君が魔法使いだなんて 知らなかった
僕は凍結したのに . . . 本文を読む
梅雨入りした
昨日からずっと雨が降り続いている湿った空気が家の中まで忍び込んでくる梅雨の季節は紫陽花の季節でもある僕は着替えた赤いポロシャツとチノパン電車を乗り継いで、とある駅に降り立った透明の傘を開き、小雨の歩道を黙々と歩くなだらかな坂道を登っていくと、目的の場所に着いた「あじさい寺」この時期、この寺はそう呼ばれている小道を辿ると両側に、見渡す限り紫陽花が咲き誇っているいつしか雨はやんでい . . . 本文を読む
ふと思い立って机の引き出しを整理していた
転がりでてきた
モンブランの万年筆
彼が大切にしていたものだ1日だけの約束で借りた
でも、返せなかった別れたからだ
私の我が儘での、一方的な別れ
彼への思いが、万年筆とともに一挙によみがえってきて
胸が苦しくなった
会いたい・・
おそるおそる彼の携帯に電話してみた
「なんだ、君か 久しぶりだね、何の用?」
. . . 本文を読む
とある喫茶店
目の前に、可愛い女の子が座っている
かき氷を食べている
色とりどりのフルーツが載った、可愛い、いちごミルク
やっと許された、わずか20分だけのデート
きっと、彼女のきまぐれ
でも、僕にはそれで十分・・なんて強がりだね
僕はすでに自分のかき氷を食べ終わっている
女の子の形のよいピンク色の唇に
赤い、いちごミルクを載せたスプーンが運ばれるたびに
僕の心はど . . . 本文を読む
僕の部屋には 大きな熊のぬいぐるみがある君がどうしてもって ねだって 僕が買ってやったものだ
それなのに 部屋を出ていくとき邪魔だからって 残していったあれから半年 彼女はどうしているんだろうぬいぐるみが彼女のような気がして捨てられないそんなある日彼女から電話があった
「もしもし元気?あまり元気そうじゃないわね新しい彼女出来た?そうそう ぬいぐるみ捨てちゃった?」
「あるよ」
. . . 本文を読む
僕は新聞を取らない朝コンビニに買いに行く
お目当てはレジの女の子
二ヶ月ほど通っただろうか
いつものように新聞をレジカウンターに置くと彼女が言った
「他に買い物はないんですか、おまけを付けますよ」
「おまけって?」
「私よ
気付いてないと思ったの?私だってあなたが朝、新聞を買いに来るの楽しみにしてたんだから」
こんな風にして僕たちはつきあい始めた
. . . 本文を読む
「明日は君の25歳の誕生日だったね悪いけど、今日急に沖縄に行くことになったんだ」
彼は言葉とは裏腹に ぜんぜん悪びれていない
「ひどい、誕生日に一人にする気?」
「悪いとは思うんだけど、ちゃんと埋め合わせをするからさ」
彼はそう言うと小さな荷物を持って出ていった私は独り静まりかえった部屋で泣いていた彼がそんな人だなんて知らなかったわ帰ってきたら別れてやる
翌日の夕方 彼はひょこっと帰って . . . 本文を読む
いつもの喫茶店僕はコーヒーを飲みながら、本を読んでいた昼過ぎで店はかなり混んでいた
「ここ 相席いいですか」
とても素敵な女性だった
「もちろん、どうぞ」
それからが大変僕は読書そっちのけで、彼女ばかり見ていた
そのうち、目がばっちり合ってしまった
「失礼だけど、何の本を読んでるの?」
僕は彼女に本を手渡した純愛小説だった
一瞬、微笑んだかに見えたが、すんなり返してきた
「今時、 . . . 本文を読む
玄関のチャイムが鳴った出てみると、電報が届けられた
開くと、たった四つの文字だけが記されていた「サヨナラ」差出人は、夏美だった僕には何のことか分からなかった彼女とは3年の付き合いで、もうすぐ結婚しようと約束していた昨日、婚約指輪を買ってきて、近く渡すつもりだったそこへ、突然の「サヨナラ」訳が分からず、彼女の家に電話した。留守電が答えただけ携帯にかけてみる「おかけになった電話は、現在電波の届かない . . . 本文を読む
ねえ 神様の喫茶店って知ってる?どこにあるの
ここ
そこでは 恵みという名の 水をくれる もちろん ただ
でね コップが満杯の人には注いでくれない
減らす為には 人のために使わなきゃならない
そうしないと いつまでたっても減らないからね
新しい恵みも無し
だからさ 君も人のために自分の恵みを使ってごらんよ&n . . . 本文を読む
旅に行かない?
君は突然言った
急に思い立ったようだった
疑うことを知らない僕は答えた
どこがいい?
そうね 京都がいいわ
僕は普段アナログの一眼レフを使っている
仕事用のものだ
しかし、今回は小型のデジカメを買っていった
古都の町で妙にはしゃぐ君を僕は丹念に押さえていった
そして帰りの新幹線
君は再び突 . . . 本文を読む
もしも君が暑いなら
僕は雲の傘になろう
もしも君が闇の中にいるのなら
僕は小さな灯となろう
君のため あなたのため
僕はいる
もしも君が寒いなら
僕は毛布となって君を包もう
もしも君が悩みの中にいるのなら
僕はそばで見守ろう
君のため あなたのため
僕はいる
君はひとりじゃない
僕が君のそばにいるのは
それが僕のさだめだから
それが 愛
少しずつ 少しずつ
一歩ず . . . 本文を読む