私は一戸建てに独りで住んでいる 独り暮らしなので名札は出していない
両親が海外赴任、私は都内でOL ある日郵便受けに 切手のない封筒が入っていた
中を見てみると 手書きで 次のように書いてあった
初めまして 僕はあなたの名を知りません
住所は解りますが名前が解らないので郵便は出せません
僕の名は原 裕次といい 丸の内で勤務するビジネスマンです
先日車でここを通りかかったとき あなたを見ました
本当はあなたの後をついて廻りたいのですが ストーカーと間違われてはいけないので
手紙を入れるだけにします 今後こういうことは致しませんので ご心配なさらずに
寒いおりお体にお気をつけてお過ごし下さい
一瞬気味が悪かった すぐ破いて捨てようかと思ったが 字がきれいなので取って置いた
私の勤務も丸の内である
それから3ヶ月 変わったことは何もなかった
手紙もないし どこかから伺ってる様子も無いし つけられてる感じもなかった
私は手紙のことを忘れかかっていた
ある日 社員食堂でトレイをもって並んでいると 前に素敵な男性がいた
見たことがなかった ここは他社には解放してないので うちの社員が案内したようだ
ぼーっとした私は 思わずトレイの上の料理を落としてしまった
その男性は 手際よく拾って モップを持ってきて拭いてくれた
その時二人の目があった 彼は何故か驚いたようだった
ごめんなさい スーツ汚してしまいましたね 洗濯代お支払いします
そんなことより 昼をご一緒してください それでいいです
私は食事を買い直し 彼と一緒に座った
見ない顔ですね どこの会社の方?
彼は名刺を出した 丸山商事 原 裕次
これって ストーカーの・・
ストーカーじゃありません あの日 どうしてもあなたに手紙を差し上げたかったのです
その後あなたの家に近寄ったこともない でも思いは募るばかりで・・
私はシステム手帳を取り出して一枚破った
はい 名前と住所と電話番号
今度はちゃんと郵便で送ってくださいな
いいんですか そんなの いきなり教えちゃって
あなたの誠実さは今さっき見せて貰ったわ
さ 食事にしましょう ストーカーさん
彼はとても嬉しそうだった
私はというと 胸がどきどきしていた