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西洋、東洋哲学
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西洋神話

オリンポス12神「ディオニソス」

2023-11-04 21:55:00 | 西洋の神話

【冥界神】 

 ディオニュソスは、神々の王ゼウスとテーバイの王女セメレの息子です。セメレは、雷神ゼウスの正体をみた時、その光で焼死しました。そのセメレの遺体から取り出されのが、胎児のディオニュソスです。ディオニュソスは、ゼウスの股のうちに縫い付けられました。それを臨月になって取り出したのがヘルメスです。このことから、ディオニュソスは、二度生まれる者と呼ばれました。またセメレは、ディオニュソスによって、黄泉の国から救出されています。母親を蘇らせたので、ディオニュソスは、死と復活の神とされました。 

 【農耕神】

 死と再生は、よく農耕と結び付けられました。植物は、死んで種となり、地下の大地から再び甦るからです。そのことから、ディオニュソスは、農耕の神ともされています。自然の生産力は、ディオニュソスの象徴でした。農耕神としてのディオニュソスは、鎌や鋤を持っています。植物の生産力は、動物の繁殖力とも関連づけられました。繁殖力とは、性欲のことです。そのため、性欲の象徴である豹が、ディオニュソスの聖獣とされました。また、戦争に行く時には、チーターの毛皮を着るとされています。性愛の象徴である鹿も、ディオニュソスの聖獣でした。ディオニュソスは、鹿の皮を身につけ、仔鹿をエンブレムとしています。 

 また、ディオニュソスの乗り物は虎です。その虎に、アルテミスの従者アメジストを襲わせました。アメジストとは「酒に酔わない」という意味だとされています。アルテミスは、アメジストを水晶に変身させました。ディオニュソスが、その水晶に葡萄酒を注いた時、それが紫水晶アメジストになったとされています。ディオニュソスは、葡萄酒の色である紫の衣を着ています。この紫は、ディオニュソスのシンボルカラーであり、平和の象徴でした。 

 【葡萄】 

 紫色の葡萄は、ディオニュソスの聖なる植物とされました。そのため、ディオニュソスは、葡萄の冠を被っています。毎年、死んでは甦る葡萄は、死と再生の神ディオニュソスの象徴でした。ディオニュソスの持ち物は、霊杖テュルソスです。テュルソスの先端に付けられた松毬は、ディオニュソスの心臓で、柄に巻かれた葡萄の蔓は、永遠の生命の象徴だとされています。ディオニュソスは、永遠の若者でした。常緑な松が、その永遠の若さの象徴だとされています、そのことから、松がディオニュソスの聖樹とされました。


 【酒神】 

 ディオニュソスは、森の神シレノスや狂信的な信女の群れを従えています。彼らと共に、世界中を巡り、人々に葡萄の栽培法とワインの製造法を教えたので、酒の神とされました。酒神としてのディオニュソスは、酒盃を持っています。ディオニュソスは、特に葡萄酒「ワイン」の神です。そのため、ワイン色をしたザクロも、ディオニュソスの聖果とされています。葡萄から作られるワインは、植物の本質だとされました。ワインは、人々を、日常生活から解放するものです。酒が、人々の舌を緩ませ、よく喋らせたので、ディオニュソスは「ゆるめる者」と呼ばれました。

 陶酔は、人々を喜ばさせるだけではありません。自然と合一するという宗教的な意味もありました。陶酔による忘我は、狭い自我の枠と、大自然の融和だとされています。それによって、人々は、自然との一体感を感じました。

 【演劇の神】 

 ディオニュソス信仰は、陶酔状態による集団的興奮のうちに忘我の境に入るという祭儀です。それは、秩序を重んずる信仰の対極にありました。ディオニュソスの祭儀は、正体を失ったかのように、熱狂的だったとされています。それは、無尽蔵で、自分を制御することを知らない自然を再現しているとされています。自然の再現は、一つの演劇のようだったので、ディオニュソスは、演劇の神とされました。ギリシャ劇は、ディオニュソス神への奉納として行われたとされています。