【生産】
タロットの女帝のカードは、生産性を象徴しています。女帝は、絶えず何かを生み出し続ける存在です。その生産には、終わりがなく、また決して、同じものを作りませんでした。女帝のカードから、世界が初めて動き出します。全てが流動的になり、その流れは、一時も固定化されません。世界は展開され、顕在化に向かいます。女帝は、ただ生産するだけで、考えもしなければ、反省もしません。数字の3は、結合による新しい生命の誕生を意味しています。
【母性】
女帝は「結婚」「妊娠」「出産」を経て、母親になった女性です。そのため、母性を司っていました。女帝は、出産することによって人間を創造します。カードの女帝も妊娠中です。そのため、白いマタニティドレスを着ています。白いマタニティドレスは「女性性」や「純粋さ」の象徴です。そのドレスは、ザクロ柄をしています。ザクロは「女性」「妊娠」「豊穣性」「多産」の象徴です。
【豊穣】
カードには、美しい小川が流れています。小川は、生命を育む「命の水」の象徴です。その背後には、その水の恵みで豊かに実った穀物畑が広がっています。その収穫物は、人々の努力の成果です。女帝のモデルは、ギリシャの女神デメテルだとされています。デメテルは、豊穣と多産を司る大地母神です。そのため、カードの自然豊かな庭園は、あらゆる実りに恵まれています。女帝が座るゆったりした王座は、豊かさと繁栄の象徴です。王座の赤いクッションは「恋愛」や「結婚」への情熱を表しています。赤なのは、情熱の色だからです。
【女教皇との関係】
タロットの2番のカード「女教皇」と女帝は、女性の二つの側面です。女教皇は、精神的豊かさを、女帝は、物質的な豊かさを象徴しています。女帝の豊かさは、外面的です。そのため、女教皇と女帝は、対極にあります。物質世界の生産は、精神世界の喪失を意味していました。何かを手に入れることは、その欲求が消えることだからです。
カードの背景の黄色は、太陽を表しています。太陽は、光や知性の象徴です。女帝の知性は、女教皇のように神秘的なものではありません。どちらかと言えば現実的な知性だからです。
【愛】
女帝は、武器を持っていません。それは、他人を攻撃せず、平和を愛することを意味しています。女帝の持ち物は「金星」のマークが入った「ハート」型の盾です。ハートは「人の心」や「愛」を象徴しています。金星の方は、ギリシャ神話の愛の女神アフロディーテのことです。また、女帝は、鷲の盾を持っていることもあります。鷲は、権力の象徴です。そのため、よく王家の紋章に描かれました。その鷲を描くことは、女性の中の最高位であることを意味しています。
【支配者】
女帝は、左手に「黄金の王笏」を持っています。黄金の王笏には、天上界とつながってるという意味がありました。王笏の十字架は「霊」を、球体は「地上の世界」を表しています。球体を持つことには、手の中に世界をおさめているという意味がありました。女帝がつけている7つの真珠のネックレスは、7つの惑星を象徴しています。12個の星の付いた王冠には、宇宙の生みの母親であるという意味がありました。その星々は、黄道12宮のことです。それは、六芒星の形をしていました。六芒星は、支配を意味しています。