【海の民】
「海の民」とは、古代の東地中海世界で活躍した船を巧みに操る海洋民族たちの総称的な呼称です。他国を襲撃し、略奪を繰り返す海賊のような集団だったとされています。ただし、襲撃した国に定住して、その地を支配することはありませんでした。海の民は、自然に集まってきた多国籍の集団だったとされています。好戦的だったので、傭兵として、他国の戦争に参加することもありました。 もともと、どこから来たのか不明ですが、クレタ島出身だったとされています。海の民の民族系統は不明です。非セム系のインド•ヨーロッパ語族、民族だったとされています。セム系とは「アラブ人」「ユダヤ人」「フェニキア人」などのことです。
【文化の伝播】
海の民は、ヒッタイト帝国とエジプト王国を滅ぼしたことで有名です。ヒッタイト帝国は、鉄の加工技術を独占していました。海の民がヒッタイト帝国を滅ぼしたことによって、鉄が各地に伝播したとされています。海の民は、一ヶ所に国を作って定住しませんでした。その彼らが、各地を移動したことで、文化が伝播したとされています。文化以外では、果樹栽培を広めました。各地を移動していたのは、飢餓が原因だったとされています。
【ペリシテ人】
中東には、パレスチナという地名があります。パレスチナとは「ペリシテ人の土地」という意味です。その地域は、イスラエル人にとって「約束の地」と呼ばれる聖地でした。旧約聖書に登場するペリシテ人も、海の民の一派だったとされています。ペリシテ人は、イスラエル人にとって最大の敵とされ、両者の間では、何代にも渡って戦いが繰り広げられました。旧約聖書とは、イスラエル側から描かれた書物です。そのため、旧約聖書では、ペリシテ人はあまりよく描かれていません。イスラエルとは、文化風習が異なっており「割礼なき者」と呼ばれていました。割礼とは、イスラエル独特の風習のことです。ペリシテ人は、旧約聖書の「サムソン」と「ダビデ」の話に登場します。
【サムソンとデリラ】
旧約聖書には、デリラと呼ばれるペリシテ人の女性が登場します。デリラは、イスラエルの英雄サムソンが愛した女性です。サムソンは、最も有名な士師「英雄的な指導者」として知られています。名前の由来は「太陽の人」や「神に仕える者」です。当時、イスラエル人は、ペリシテ人に苦しめられていました。そのペリシテ人と戦ったのがサムソンです。サムソンは、人並み外れた怪力の持ち主でした。ライオンを素手で引き裂き、ロバの顎骨で、ペリシテ人を1000人打ち殺したとされています。
ある時、サムソンは、ペリシテ人の女性デリラを愛するようになりました。デリラという名前は「弱くする」や「誘惑する女」という意味です。デリラは、ペリシテ人の領主に金で買収されていたとされています。彼女は、サムソンを欺き、言葉巧みにサムソンの怪力の秘密を聞き出しました。その秘密とは、神の力によって、髪の毛が切られない間は、怪力を保てるというものです。デリラは、サムソンが眠っている隙に髪の毛を切り、怪力を失ったサムソンは、ペリシテ人の領主に捕らえられました。そのため、デリラは悪女だとされています。サムソンは、目を抉られたうえ、異教の神殿の柱に縛りつけられました。しかし、サムソンは、神の力によって、一時的に怪力を取り戻し、神殿の柱を破壊して、ペリシテ人を下敷きにして道連れにしたとされています。
【ゴリアテ】
旧約聖書には、もう一人、有名なペリシテ人が登場します。それは、身長⒉9mの巨人「ゴリアテ」です。ゴリアテは、英語では「ゴライアス」と言います。彼は、イスラエル人の神であるヤーウェを嘲り、散々挑発した上で、挑戦者を募りました。そこで名乗り出たのが、当時、羊飼いの少年に過ぎなかったダビデです。ダビデとゴリアテは、一騎討ちをすることになりました。ダビデが得意としていた武器は投石器です。ゴリアテは、ダビデの投石が額に当たって気絶し、倒れたところを自らの剣で首を刎ねられました。
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