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発信者情報開示請求とは何か?

2023-12-04 20:02:00 | インターネット関連

【発信者情報開示請求】 

 発信者情報開示請求とは、プロバイダーに対して、発信者の情報開示を求める制度のことです。プロバイダー責任制限法第4条には、請求できる「人」と、請求できる「条件」が定められています。発信者情報とは「氏名」「住所」「電話番号」「IPアドレス」「メールアドレス」など総務省で定められた情報のことです。被害者は、条件を満たせば、発信者「加害者」に対して「損害賠償」を請求することが出来きます。損害賠償とは、民法上の「不法行為」に基づく責任のことです。 

 【損害賠償と名誉毀損】 

 運営によって問題のある書き込みを削除されても、同じような内容が書き込まれ続ける場合があります。その場合、発信者に対して、民事上の「差止請求」をしなければなりません。書き込みだけが削除されても、書いてる人間がやめなければ、加害行為が止まらないからです。発生するのは、民事上の「損害賠償」だけではありません。誹謗中傷をする書き込みの場合、内容によっては「名誉毀損」などの刑事上の犯罪が成立することも あるからです。

 【相手の特定】 

 匿名の高いネット上では、相手がどこの誰だか分かりません。損害賠償を請求するためには、加害者の人物を特定する必要があります。それを可能にするのが「発信者情報開示請求」です。発信者情報開示請求をするには、専門的な知識が必要とされるため、通常は弁護士に依頼します。ちなみに民事上の請求権は、裁判所手続きによらなくとも請求することは可能です。

 その場合「弁護士会照会」による「任意開示」が出来ます。弁護士会照会とは、弁護士が、職務活動を行うために、官公庁や企業などに対して、証拠などの必要事項を調査するために設けられた法律上の制度のことです。ただし、弁護士会照会には、強制力がありません。そのため、プロバイダーが応じるケースは稀です。だいたい「警察からの照会が先です」「調査に3ケ月くらいかかります」などの返答が返ってきます。そのため裁判上の請求が一般的です。 

 2段階】 

一度の請求で、発信者が特定されるわけではありません。発信者情報開示請求には、二つのステップがあります。

⑴まずは、サイト管理者に対して、通信履歴ログ情報をもとに、プロバイダーの特定につながるIPアドレスを開示させることです。サイト管理者とは、SNSYouTubeなどをさします。IPアドレスとは、通信の相手先を識別する番号のことです。

⑵プロバイダーが特定されたら、次にプロバイダーに対する開示請求が行われます。 発信者情報開示請求が、認められるためには、次の7つの要件が必要です。

 ①「不特定の者」 誰もが閲覧可能な情報発信であること。

 ②「自己の権利を侵害されたとする者」 

自己とは「法人」「社団法人」も含みます。誰でも行えるわけではなく、第三者は含みません。 

 ③「権利侵害の明白性」

 権利が侵害された事実が明らかでなくてはいけません。権利侵害は、発信者側の「プライバシー」や「表現の自由」が考慮されるため請求者側が立証することになります。ただし、公益性があるなど「違法性阻却事由」が存在する場合は、発信者情報開示請求が認められません。違法性阻却事由とは、通常なら、違法性がある場合でも、特別な理由があれば、正当化されることです。

 ④「正当な理由」 

 発信者側の不利益が考慮されるので、取得するには「合理的」な理由が必要です。「損害賠償請求」や「刑事告発」するために必要であるなら、認められる傾向にあります。ただし、相手を脅すなど「私的制裁」が目的のためなら認められません。すでに賠償金が支払い済みの場合も同様です。もしプロバイダーが、正当な理由がなく情報を開示した場合「通信の秘密侵害罪」により、発信者から責任追及を受けることになります

 ⑤「開示関係役務提供者に該当すること」 

 開示関係役務提供者とは、サーバーの提供者である企業や個人のプロバイダーや、掲示板サイトの管理者などのことです。 該当するとは、つまり開示請求の相手方にあたるかのどうかです。その場合、営利性は要求されません。

 ⑥発信者情報に該当することです。 

 ⑦「保有の要件」 

 保有とは、法律上又は、事実上、自己の支配下に置いている状態をさします。つまり、開示関係役務提供者が、開示対象の情報を開示できる権限を有していることです。第三者でも、開示が実行可能であれば、保有にあたります。




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